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  HOLY QNIGHT 作者:AKIRA
~間奏曲~

「はあ~」

 私は部屋に入るとすぐにベットに突っ伏した。
 もう今日は色々ありすぎて頭がついていかずオーバーヒート気味で、私はすぐに寝てしまいたかった。
 身も心も疲れたとはこの事だろう。
 手に持っていた白い小さな袋を握りしめ、思い返していた。

 ※  ※  ※

「あ、自己紹介がまだだったわね。この事務所の一応肩書きは所長、水華月 夏美。『夏美さん』って呼んでくれて構わないわ。よろしくね。」

 手を差し出してきたので、私は握り返す。
 透き通るように白い肌の女性の手。こんな人があんな化け物を倒したのだろうか。私は信じられなかった。
 手を離すと私は話題を戻すため、不安に感じながら話を切り出す。

「えっと…、さっきの話、私の解釈なんですけど…、自分の身は自分で守れ、と」

「うん。そんだけの素質を持っているなら尚更ね」

 俯きながら前にいる夏美さんに言うと黙って頷いた。
 私は愕然とした。
 だって私は今まで誰かと争ったりした事ないし、そもそもそんな事したくない。

「そんな! 無理です! 私そんな事出来ない---」

「なら、今日みたいなのに出くわして潔く死ぬ?」

 そう言われて私は黙ってしまう。
 『死』…。言葉としてはなんて簡単な言葉だろう。まだ高校生でこれからだと言うのに死にたくなんか無い。
 私は黙って首を横に振った。

「ごめんなさいね。あ、でもあなたに退魔士になれと言ってるわけじゃないのよ? ただ守る術を身につけて欲しいってだけ。無理矢理この世界に連れ込まれるなんて嫌でしょ?」

「そう、なんですか?」

 そう言われ私はホッとする。
 もしかしたらこれからあんな化け物とかと戦う日々を送る、なんて少年マンガとかにありそうな流れになると思っていたから。
 すると夏美さんが胸ポケットから白い小さな袋を取り出す。

「あなたの事は一応当てはあるんだけど、今日は遅いからこれで終わりにしましょ? とりあえず今日はこれを持って帰って。話はまた明日」

「あの、これは?」

 袋をもらうとごつごつとした感触がした。
 私は袋の口を少し開く。そこには群青色の石があった。
 これは何だろうと思っていると、夏美さんは微笑みながら教えてくれた。

「ちょっとしたお守り。その石は『ラピスラズリ』って言うの。『幸運の守り石』とも言われているのよ。知り合いからもらった物で、効果は抜群よ」

 石を取り出し手に乗せ眺めてみた。
 ボールのように丸く、群青色をして少し光沢のある綺麗な石。
 見ているとなんだか吸い込まれそうな気がした。
 そんな私をよそに、夏美さんは男の子の方を見る。

「成瀬君、帰りは一応送ってあげて」

 話が終わると、連れて行かれた事務所から成瀬くんと呼ばれる男の子に送ってもらう事になった。
 その男の子は、了解っす、と返事をして私の所まで来た。

「じゃあ行く?」

「あ、う、はい…。よろしく…、お願いします…」

 いくらそういうお仕事をしていると言われても、知らない男の子なのでなんだか不安だった。妙に馴れ馴れしいし。
 まあ見た感じ、あの綺麗な女性の下で働いているようだ。私みたいな子なんて興味ないだろうけど…。
 不安そうに見ながらそんな事を考えていると、男の子は頭を掻いた。

「あの、そんな身構えないでよ。傷つくよ?」

 私は、すいません、と言うと男の子は笑いながら、冗談だよ、と返してきた。
 出て行く男の子の後に付いて行き、事務所を後にした。

 ※  ※  ※

 事務所を出ると、私が道順を教えながら帰っていく。
 道を教える以外黙っていたが、何も会話しないでいるのもなんだから話しかけてみた。

「すいません。送ってもらってしまって」

「いや、気にしないでいいよ。て言うか俺の方が年下なんだから、そんな敬語使わないで---」

「え! 成瀬君って年下なの?」

 あんな事しているし馴れ馴れしい態度だし、背も結構高いから、同い年か年上かと思った。
 と言うか言葉遣いが年下っぽくない。

「俺の事呼ぶの呼び捨てでも構わないよ? 名前でもいいし。ちなみに俺の名前は『湧樹』。よろしく」

「あ、よろしく…、お願いします成瀬君…。桜井 凛です」

 あれ?、私また敬語だ。
 まあ恩人ではあるわけだしいいだろう、という事にしておく。
 成瀬君の方も、まあいいや、なんて言って先を歩いていく。と言うかホントに成瀬君は年下っぽく感じない、なんて思ったけど口に出さない事にしておく。
 夜も遅くなってきて空には満天の星空。まあ都心から近い事もあって結構明るいから星が見づらいんだが…。
 進んでいく住宅街の家々から笑い声や話し声が漏れてくる。それを聞きながら私は口を開く。

「私は…、普段いつもあんな風に家族みんなでしゃべったりしてたんだよね。そんな時に夏美さんや成瀬君はあんな事をしたりしてたんだ」

「まあいつもじゃないけどね。だいたい中学入ったくらいからだから三年ぐらい?、やってきたかな」

「そうなんだ…。
 でも大変だって思った事は無いの? 同じ歳の友達とかはいろいろ遊んでたりしてたんだから、羨ましいとか思ったりしたでしょ?」

「う~ん、どうだろ。確かに大変だとか思ったりしたけど、友達らしい友達もいなかったし、同い歳の奴を羨ましいとか思った事は無いよ。
 この仕事も『仕事だけど仕事じゃない』、て言うか、なんて言ったら良いんだろうな。まあ家族みんなでこういう事していたから特別な事をしてるつもりは無かったし」

 家族って…。そんな環境で育ったんだ。
 私には考え付かなかった。家族みんながあんな仕事をしているなんて。
 私は両手を頭の後ろに置いて隣を歩く成瀬君を見た。
 こんな風にしているとどこにでもいるような男の子だった。とてもあんな仕事をしている人には見えない。
 視線に気付いたのか成瀬君がこちらを見た。

「ん? どうしたの?」

「え、あ、いや、なんでもないよ。なんでも」

 ふ~ん、と言って成瀬君はまた前を見て歩く。
 それからはあまりしゃべる事も無く歩いていった。
 しばらくすると家に着いたと思ったら、家の前で母が待っていた。

「お母さん?」

「あ、凛ちゃん。やっと帰ってきはった。どこ行ってたん…、ん?」

 声をかけてきた母は、私の横にいる成瀬君に気付いた。
 その成瀬君は後ろ手になって笑顔で挨拶した。

「凛さんのお母さんですか? こんばんは」

「そやけど…、そちらさんは?」

「凛さんの後輩で成瀬って言います。今日は街中で凛さんを見かけて声をかけて遊んでたんですよ。それなのにこんな遅くまですいません。凛さんを怒らないでください」

「…あ、成瀬君---」

 私が声をかけようとしたら、母が割って入ってきた。

「そやったん。別にええで。無事に帰ってきはったんやし。付き添いおおきにな」

 母は成瀬君にお礼を言う。成瀬君は、いえ、こちらこそ、と答えた。
 その横で私は額から汗を流していた。
 成瀬君は話が終わると、じゃあこれで、と言って帰っていった。
 それを見送りそそくさと家の中に入っていこうとした。

「ちょっと待ちい」

 後ろから母が呼び止める。私は汗を流しながらゆっくりと振り返る。
 そこには、ニヤニヤと笑っている母が…。

「凛ちゃんの高校て、女子高やなかったん?」

「私お風呂入るね!」

 そう言って私は駆け足で家に入っていった。


 ◆  ◆  ◆


 帰り道、俺は来た道の途中にあった公園のベンチに座っていた。

「確かあの女の人、リリィって言ってたよな…」

 そう言って俺は持ってきたバックの中のミ二PCを開き、電源を点ける。
 これは持ち運びが楽だし、使い勝手もいいので愛用している。
 PCが立ち上がるとすぐに携帯端末をつなぎ、ネットにアクセスする。

「案件対象、『リリィ』っと」

 夏美さんにああは言ったが、やはり気になった。
 あれだけの強さ…。案件が出ていてもおかしくない。きっと何か引っかかるはずだ。

「ん? あれ…」

 だが表示されたのは『cannot be found』と言う文字。
 その後も何回かやってみたが、何度やっても同じ。ヒットしなかった。
 信じられなかった。対峙してみて感じた危険、実際に俺は殺される寸前だった。そんな奴が誰からもマークされていないはずが無い。
 もう一度やってみる。画面にはやはり見つからないという表示。頭を抱えてしまう。
 夏美さんが『姉』と呼んでいたあの霊。その霊が言っていた言葉。

―また、私を殺すの?―

 あの者と一体何があったのか。俺は知りたかった。
 風は止んだと言うのに、俺の頭の中は風が吹き荒れ、ぐちゃぐちゃに掻き回されているようだった。

やばい!
東アジアカップが気になって書けない。
小笠原頑張れ!俺も頑張る!


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