人は生まれたその時に
我が身に種を宿しておられます
オギャーのお声で芽を出して
あんよは上手と若葉をつける
地に向かって、根は縦横無尽に伸び続け
天へと昇り、茎は遥か彼方を目指す旅
隣の茎とも絡み合い
大地の力も奪い合う
それでもただただ大きくと
どこまでも、どこまでも、はるけき空の彼方まで
天を目指したイカロスのロウで固めた鳥の羽
禁忌を侵して神の元
怒りに触れてハラハラと
ロウの羽の溶けるまで
しかし種は知りません
どこに向かって伸びるのか
何のために育つのか
何を獲るのが良いことか
考える事などありもせず
考える暇もありもせず
僕はどうして生まれたの?
そんな意味など知りもせず
ただ無秩序に、混沌と混沌と広がり続ける天の空
トントンとトントンと鳴らす木靴の足の音も
進むことには意味も無く
意味が無くとも時は経つ
やれ綺麗な花を咲かすとも
つぼみのままで終えるとも
けれど最後は決まって同じ
同じ同じで、流れ流れてたどり着く
伸びた茎葉は腐り落ち、根っこと共に土へと帰ります
懐かしきは土の中
母の胸へと帰りましょう
種は種へと戻ります
たしかその種には名があって
「欲望」
と申します。
今もどこかで産声が
あちらこちらと聞こえます
あなや人とは異なものと
笑い飛ばしておきましょう
うふふふ、はははは、わはははは
トンデケとんでけ、空の果て
私も笑ってとびましょう
ひゅーんひゅーんと空たかく
ひゅーんひゅーんと
どこまでも
種を世界にばら撒くぞ
おしまい☆ |