無色透明
ある日 突然に僕は気付いた
自分が無色透明の人間であることに
何色にでも染まれ
誰とでも合わせられ
何色とも喧嘩せず
誰とでも協調性があると言われ
でも、どの色からも本当には相手にされない
でも、誰からも親友扱いされない
自分に気付いた
その時の絶望
その時の切なさ
そんな気持ちでさえ透明で実体がない
個性とか自分色とか、自分なりとか
おおよそ 他人と自分を区別する手段の 何もない自分
他人との違いは他人が色を持っていることで。
自分からは身動き一つ取れないちっぽけで消えてしまいそうな自分
そんな自分が生きている意味などあるのだろうか
透明とは何もないことに他ならないことに気づいてしまった自分
生きる意味などあるのだろうか
あるのだろうか あるのだろうか
分からない 分からない
無限のループとなって襲う問い
世間からの問い
お前は生きている意味があるのか
わからない ワカラナイ
あぁ 神様 私に色をください
否、叶えられぬ
あぁ 神様 私の側に永久に共行くきれいな色を
否、叶えられぬ
では せめて
せめて 孤独に耐えうる強さを 私に下さい
否、叶えられぬ
僕の願いをすべて拒絶した神様は
それでも贈り物をくれた
神様から渡されたのは 一粒の透明なモノ
それは誇り
それは無色透明な自分への尊厳
神よ、感謝します―。