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1Rの花嫁
作:秋風



24、鷹につかまったハムスター


鷹ににらまれたハムスターな僕は、苦し紛れに質問をする。
「えっと、あのう、村上さん、どうしてこんなに僕のこと、かまってくれるの?」
「そんなこと、当然でしょ、先輩! わたしにそんなこと言わせる気ですか?」
そんなことって、どんなこと?
ま、ま、まさか・・・ね?

でも、そのまさからしい・・・・。

「あのう、一応の一応言っとくけど、僕、結婚してますから。」
これで、大丈夫だろう。まさか、不倫しようなんては考えてはいないよな。

村上さん、ハトが豆鉄砲で撃たれたのような顔。
目をパチクリ、そして、言葉を失って唖然。

「誰と結婚してるんですか。」
「この間来たでしょ、大田さん。」

アハハハ!! ガハハハ!! ダハハハ!!!

村上さん、ひざたたいて笑ってる。

「せ、せ、先輩・・・お、お、面白すぎる・・・だから、先輩のこと・・・」
笑っていたと思ったら、ふっと笑い声が止まる。
目が真剣

「好き・・・」

え! 
何言った彼女?

・・・・・・ありえない。

そう言ったかと思うと、彼女、またガハハハと、笑い続ける。

・・・・な、何なんだ・・・。

しばらく彼女は大笑いしたと思ったら、また急に真剣な顔になって言う。
「どうして、そんな見え透いた嘘つくんですか。わたしが嫌いなんですか?」
「っていうか、本当のことなんだから。」
「良いです、もう言わないでください。わたしが嫌いなんですね!!」

何、黙っているのかと思うと、なんか、すねまくって泣いてるし・・。

「いや、嫌ってなんかいないよ。ねえ・・!」
彼女、パッと顔を挙げたと思ったら、もう泣いてない。
「じゃあ、好きなんですね!」
「まあ、好きというか、同じ研究室の仲間だからね。」
「好きなんでしょ!」

そんなことやってると、村上さん椅子を動かして、僕にぐっと近づいてくる。
僕、逃げる。でもすぐに、ガンと壁にぶつかる・・・・。もう後ろには逃げられない。
教室の隅に追い込むように、近づいてくる。

彼女のミニスカートから伸びるひざが、ピッタリと僕のひざにくっつく。
僕を見つめる大きな眼。むせるような女性の香り。
おい、待て、ちょっと、なんなんだよ。ここは学校だし、僕には僕には妻が・・・。
体を捩じらせて逃げようとする。
突き飛ばすか・・・。
い、いや、いくらなんでも女の子を突き飛ばすなんて・・・。
焦り迷ってる間に、間合いはさらに近づいて、ハッとすると、既に目の前に村上さんの顔。
僕、体を思いっきり引く。ガンと頭を打つ。

え? と思った瞬間。

彼女、僕の太ももに手を突いて、チュッとした。

瞬時に危険を察知した僕は、かろうじて顔を逸らして、唇でキャッチすることは避けれたがそこまで。
頬っぺたにランディング。

彼女、しかめっ面で、何で逃げんのって感じ。
でも睨んだあと、なんかにんまり笑う。してやったりという感じ。

僕は突然のあまりのことなので、茫然自失。

彼女、ふっとため息付いて元の場所に戻る。
それからちょっと視線を逸らして、こんなことを言った。
「それにね、先輩。ああいう、純情そうな娘って、結構、遊んでるもんなんですよ。先輩、女の子、知らなさすぎ!」

何だと・・・!
さすがに僕は嫌な気分になる。
しばらく沈黙したが、おもむろに彼女を置いて外に出る。


気分めちゃくちゃになって、ガツガツ廊下を早足で歩く。
良子さん、こんなこと知ったら傷つく・・。隠し事無しが僕らの原則なのに、こんなことを抱えちゃうなんて・・・。しかも、良子さんのことをあんなふうに・・・。

やることは山のようにあるのだが・・・・
あの雰囲気の部屋に、どうしても入られない。
これからどうしようかと考えているうちに、まあ少し息抜きがしたくなって、校舎を出て、ちょっと学内を歩く。
学内には、素敵な並木通りがある。僕はそこが気に入っていて、気分転換に時々そこを歩くのだ。

歩いていると、向こうのほうで、陸上部が部活してるのが見えた。
それに、小鳥が飛んでたり、学生が屯して歓談してたり・・・。
僕は伸びをして、深呼吸する。

ありふれた風景だけど、穏やかさの中に営まれる一つ一つは、なんともステキに思える。
今日は空気も気持ちいい・・。

今日もしばらくそこを歩いていると、なんだかホッとしてきた。
一息つけたので、やることが山積みなんだから、長居は出来ない・・・。急いで研究室に戻る。

ここだけは、空気悪い・・研究室に帰ってきてそう思う。

恐る恐る僕の部屋を開けて見ると、お! 村山さんいない。胸をなでおろす僕。さっきみたいなことの後、どんな顔して彼女と会えば良いのか、困り果てていたから。ほっとして部屋に入る。

しばらくすると、隣の大部屋から大歓声。
すごい盛り上がってる。
なんだろうと思って、隣をのぞきに良くと、村山さんそこにいた。

「あ、大田せんぱ〜い・・。」
なんだ村上さん、その甘い呼び方は?!
小林が言う。
「おい大田、今聞いたぞ! おまえ、すごいな、村上さんかよ!」
「な、何のことだ!」
「おまえ、村上さんと付き合ってもらえるんだって!」
「なに、それ!」
今、村上さんが話してくれたと、みんなが一様に僕に言った。
「せんぱ〜い、そんなに照れなくても、良いでしょ!」
村上さん、どうして・・・。

呆然と立ち尽くす僕。
そんな僕になおも投げかけられる、祝福の言葉・ことば・・・。

「もういい・・。」

僕はもう嫌になって、仕事仕事と言って外に出た。
こんな忙しいときに、みんな何に油売ってるんだ。悔しくって、当たりたくなる。

      
後ろで、村山さんがみんなに話す声。
「先輩、照れてるだけです。そんなに責めちゃ意地になるから、これ以上、言わないであげてくれます?後は必ず、わたしが何とかしますから・・・。」

みんな、おーと感動のため息。
「村上さん、良い彼女になるね!」    
「いえ、なんか、照れちゃいます・・・。」

村上さん、本気に本気なのか?
    
   
良子さん・・・どうしよう。
  
  
         












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