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にっこり笑う君は「死んじゃえば?」と僕に言った。 作者:RN

第一章:遭遇

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06:謝らないで。悪いはあなたじゃなくてわたし

 その翌朝。
 僕はいつもの場所で立っていた。
 フェンスの向こう側の景色を眺めている。
 昨日は、とても嫌なことを思い出してしまった。
 心のなかにポカリと空いた穴。
 それは深い傷跡となって残り続けている。
 まぶたを閉じると昨日のことのように鮮明に思い出すことができる。
 今でも痛いし吐き気がするから、忘れたいできごとだけど。
「なあ」
「……ぅん?」
 嫌なできごと。
 辛い記憶。
 悲しい過去。
 それらは誰にでもあるものだ。
 僕はそれらを他の誰よりも嫌なこと辛いこと悲しいことを体験してきたつもりだからわかる。
 負の感情は他人にぶつけてはいけない。
 痛いからといって他人に同じ痛みを与えてはならない。
 辛いことを思い出したからといって、他人に八つ当たりしてはならない。
 上の人間が、下の人間を傷つける。
 繰り返してはならない。
 誰かが、それを変えるべきなんだ。
「昨日はごめん」
「……うん」
 僕は、自分が受けた痛みを他の誰かにぶつけたくない。
 それは間違いだと思うから。
 誰かに同じ痛みを与えても、何か感じる物はない。
 けど『優しさは自分も他人を笑顔にできる』と唯一の味方だった彼女は言っていた。
「本当にごめん」
「うん」
「ごめん」
「うん」
「ごめん!」
「うんうん」
「本当に。本当にごめん!」
「もういいよ」
 コイツは……女の子は……君は言った、
「謝らないで。悪いのはあなたじゃなくてわたし」
 ありがとう。
 優しい君に感謝します。
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