第四話:“声”
「…で、倒れた所をエリエが拾ってきたのね」
確認するユイにルオンがおそらく、と付け足しながら頷く。
一呼吸置いてからユイが喋る。
「とりあえずキミは感情を持ったのね。……良いわ、FRはキミを保護します。でも不審な行動を取った時は、容赦しないからね」
にこやかに笑った。だがその笑みにはどこか黒く、渦々しいモノがあり、無言の脅迫をしている様だった。
次の言葉を発する時には医師の顔に戻っていた。
「それにしても驚いたわ。貴方もう麻酔切れてるんじゃない?」
自由奔放に言う事だけ言っていくユイ。返事がどうあっても変わらず話を続けていきそうな勢いだ。
「まだ若干残ってますが、普段と変わらないくらいには動けます」
ルオンは仰向けの体勢を起こしながら言う。
問われた事にだけ答えていくルオンは、何を言われても無関心でいる雰囲気だ。
「とりあえず、ルクフ・ガルグ‥でしたっけ? 入って来て下さいよ」
唐突に言い出すルオン。と、ドアが開き、ガルグが入ってくる。盗み聞きしていた様だ。
「話しは聞かせて貰った。感情を持ったなら、俺達は君の味方だ。‥だが、皆が君を仲間だと思うかどうかは別の話だ」
真剣な顔で話すガルグ。
「ココに居た方が何をするにも都合が良いので、取り敢えず頑張ってみます」
言ってから少し驚いた様だった。昨日までのルオンでは言えない台詞。“取り敢えず頑張ってみる”なんて曖昧な言葉、今まで使った事もないルオン。
「しっかし驚いたゼ。ガーディアンでも1、2を争う強さの君がガーディアンを裏切るなんてねぇ‥一体何したんだ?」
興味深げに聞いてくる。
「よく判りません。声が聞こえて、急に頭痛がしたら、警報が鳴って、自分が異端だと…」
冷静に説明をしていく。そこでガルグが口を挟む。
「ちょっと待て。今の話だと、その声が原因で頭痛がしたと解釈出来なくもないんだが?」
「‥そうかもしれません。“聞こえた”と言っても空気の振動による聴覚的音というよりは、脳に直接働き掛けられているような、変な感じでした」
あの時の事を思い出しながら喋る。−−と、その時だった。
「?!! …貴女は何なんだ? 一体何処から話してるんだ?!」
ルオンが唐突に言った。その声にガルグが困惑の声を挙げる。
「ルオン・スターティッド‥君は、一体誰と話してるんだい?」
「!! 貴方達には聞こえなかったんですか? マリアと名乗るAIの声が…」
「「!?」」
驚くガルグとユイ、唖然とするルオン。
ソコには戸惑いの沈黙が流れていた−−
|