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宇宙戦争

作者:eizi
 ぐっ。体が痛い。体全体にとんでもない力がかかっている。俺の周りにいる人たちも皆苦しんでいる。
 意識が朦朧としてきた。これが死ぬってことなのかな?お母さん、お父さん先立つ不孝をお許しください。サミ、ごめんな。こんなお兄ちゃんで…
     
 ************************************

「おーい。ケイこっち手伝えー」
「はーい。今行きます」
 俺はここで建設の仕事に携わっている。数年前に比べたら技術は見違えるほどに進歩した。都市部には巨大なビルが何本も建ち並び中心にはその巨大なビルを見渡せるほど高いタワーが建っている。俺はそこではなく、少し離れたところの場所でビルをつくっている。
「なんですか?」
「おー。わりーわりー。ちょっとそっち持ってくれるか」
「わかりました。っていうかこれぐらい自分で持ってくださいよ」
「そりゃーな。俺だって若い頃はこれぐらいもてたけどよ、今はもうおっさんだぞ。その分若いお前がやってくれなきゃな。だはははは」
 はあ。めんどくさい。いつもこうして人にやらして。本当は自分でも全然できるのになんでやんないんだろ?


 はあ。めっちゃ疲れた。今は休憩中だから今のうちに逃げてきたよ。休憩していた若いやつらが絡まれてるなー。ご愁傷様。よかったー俺じゃなくて。今のうちに違うところの作業場へ移動するか。まあ、まだ全然組み上がってないからすぐにこっち来るんだけど。
「お疲れ」
「ああ、疲れたよ。っていうか知ってたんだったら助けてくださいよー」
「えー。だってそんなことしたら俺が絡まれるじゃん」
 クソ。どいつもこいつも。なんで俺だけ絡まれなきゃなんねーんだよ。
「おい。あれ見てみろよ。ほら、あそこの小さな点。隕石かもしれないぞ」
「んなわけないだろ。隕石なんて最近全く落ちてないんだから」
「じゃああれなんだろう?」
「知るわけないだろ。さあ、俺は仕事するから、あいつがきたらどうにか追い返しておいて」
「おー。わかったよ」
 本当に任せて大丈夫か?まあ、悩んでても仕方ないか。よし仕事だ仕事。


「もう、なんだよ」
「だからさ、さっき言ってた隕石?が近づいてるんだって」
 はあ、何言ってんだか。まだ数十秒も立ってないじゃないか。外を見たって何もあるわけ…
「おい、なんだよ…あれ…」
「だから言ってるじゃん」
 空には、さっきまでゴミのように小さかったものがだんだん大きくなって野球ボールくらいの大きさになっている。
「おいおい、この距離で野球ボールくらいってどんだけでかいんだよ…」
「とにかくみんなに知らせなきゃ」
「あのおっさんに伝えればなんとかしてくれるだろ」
「それもそうだな」


 あのおっさんに伝えて正解だったよ。すぐに電話を取り出してどこかにかけたかと思いきや、「よし、すぐに逃げるぞ!」と言い都市の中心のタワーに向かってたら、放送でタワーへ避難しろと市長が放送しだしたんだから。やっぱりあのおっさんただ者じゃねえな。普段の行いが悪すぎなんだけど。
 タワーへ向かっている途中たくさんの人が同じ方向へ流れている。通りが広いからあまり混まなくてよかった。空はもう夕方のように暗くなってきている。あれは本当になんなのだろうか?


 タワーについたらおっさんはそのまま上に通されて、俺たちは皆地下へとはいっていった。さも当たり前のように通されるあのおっさんはなんなのだろうか?



 ドシン!
 避難してからだいぶたったときに急に地面が揺れた。俺たちは地下でも浅いところに避難したので外の様子が見える。そこにはがあった。さっきまで山や街があったところに横は霞んで見えないほど長く空へと届くのではないかと思うほど高い壁がある。
「あれが落ちてきたのか…」
「ああ、そうみたいだね。あそこにあった街はどうなったんだろう…」
 あそこの街はここには劣るが結構発展していたはずだ。しかし今は巨大な壁に潰されている。
「もうどうなってるんだよ」
「さっぱりわからない。だけど一つだけ言えることは、あれは危ないってことぐらいだな」
 そう、一つしかわからないのだ。そのほかのことが全くわかってないのだから。



 ドッシン!!ドッシン!!
 何かが二つ降ってきた。一つは巨大な山を削り、もう一つは郊外の住宅マンションを破壊しながら落ちてきた。そして急になくなったかと思うと、
 ドッシン!!ドッシン!!
 また違うところ破壊していった。
「おい、あれ見てみろ!」
「見てるよ!!」
 ドッシン!!ドッシン!!
「違う。下じゃない、上だよ」
 何を馬鹿なことを言ってるのだ。次にここに落ちてこないか?俺たちは死ぬのだろうか?などほとんどの人が考えているのに、何を呑気に上をみろだ。
「あれは二つでセットだ」
「はあ?」
 本当に何を言ってるのだろうか。上の方を見たけど高すぎて見ることができない。
 ドッシン!!ドッシン!!
「それは本当なのか?」
「絶対そうだよ」
 ドッシン!!ドッシン!!
 そんなことがわかったって何も変わらない。ただ街や山を破壊されていくのを見ることしかできないのだ。
 ………
 ……
 …
 あれからどのくらいたったのだろうか。二つの壁はタワーを破壊したりはしなかった。けれど壁はタワーのすぐそばにあった。
「助かったのか?」
「そう…かもな」
 壁はあれから動こうとしない。タワー以外の周りのものは全て破壊されていた。タワーも上の方は壁にぶつかったのか折れて倒れていた。幸い地下の避難所まで破壊されてはいなかった。
「おい、また何かはじまったぞ」
 外をみていた仕事仲間は空を指差して言った。
 おいおい、嘘だろ。これ以上何かするっていうのか。俺たちは指差された空を見上げている。
 空からまた二つの壁が降ってきたのだ。しかしさっきと違ってゆっくりと落ちてきてるし、大きさもとても大きいがさっきのと比べると小さい。
 その壁は街の両端にそれぞれ落ちた。
 急に地面が揺れた。周りにいた人たちは揺れに耐えきれずタワーの奥の方へと吹っ飛ばされた。俺はなんとか吹っ飛ばされずに外を見続けることができた。空がものすごい勢いで回り、さっきの壁の向こう側にあった山はなくなりまるで壁の内側だけ宇宙に飛ばされたみたいだ。
 急に夜になった。太陽の光が見えなくなり、辺りが真っ暗になった。星も一切輝いておらず、本当に真っ暗で何も見えなくなった。


 急に朝になったら、体が押しつぶされた。周りには何もないのにとんでもない力で押されている。苦しい。苦しい。ふと周りをみると周りにいる人たちも皆苦しんでいる。ああ、やばい。意識が朦朧としてきた。これが死ぬってことなのかな?お母さん、お父さん先立つ不孝をお許しください。サミ、ごめんな。こんなお兄ちゃんで…
     


 〈数年後〉
 私は今あの事件の調査をしている。突如現れた二つの巨大すぎる壁により都市部が破壊され、その後街の中心部が宙に浮きなくなってしまった事件だ。ケイお兄ちゃんを含めた多くの人がその事件のせいでいなくなった。街の中心のタワーに全員避難してしまい、中で何が起こっていたかを知るものは誰もいない。しかし遠くからみていた人はたくさんいた。私の仕事はその人たちに聞き込みをしてなにが起こっていたかをまとめることだ。今日はすぐそばにある小さな街のお店で聞き込みをしよう。絶対にお兄ちゃんがどうなったかのかを調べるのだ。


「二つの壁が地面にめり込んだと思ったら、街が浮いててそのまま空へと飛んでいってしまったんだよ」
「飛んでいくときに何か見えましたか?」
「えーと、あ!そうそう、飛んでいって見えなくなったら街を破壊してた壁も空へ飛んでいったんだよ」
「ほかに何か覚えてることはありますか?」
「うーん、これぐらい…」
 …グラグラ…ゴゴゴゴ…
 急に地面が揺れ出した。
「すぐに逃げろ!!」
 外から悲鳴や注意を促す声などが聞こえてくる。
 お店の従業員やお客が外へ飛び出したら皆同じ方向へ走っていく。その流れについていくとなぜ走っているのかがわかった。
 超巨大な壁が迫ってくるのだ。大きいとかそういうレベルではない。ここらで一番高い山が笑えるくらいの高さだ。遠目からでも近づいているのがわかる。巨大な壁は地面を深く削りながらせまってきている。もっと早く逃げなきゃ。


 巨大な壁に追いかけられるなかたくさんの人を抜かしてきた。けれど壁はすぐそこに迫ってきていた。
 ふと足元の感覚がなくなった。何が起こったのだろうと考えていると後ろから思い切り突き飛ばされた。後ろを振り返ると壁に押されていた。押された衝撃で地面に思い切り叩きつけられる。痛い。でも早く逃げなきゃ。地面が割れたと思うと、天地がひっくり返った。壁に巻き込まれてしまった。巻き上げられた地面に押しつぶされる。
 ああ………早く……逃げ……なきゃ……


 ************************************


 はあ、何か面白いニュースないかな?
 お!なになに、月での仮移住が始まったって⁈こりゃあすごい。ええと…

『今から5年前月面から月の石の回収に成功。その石には小さな街並のような凹凸や高い塔らしきものがあった。専門家によると、風が吹かないことにより、隕石の落下の時の衝撃が当たっただけであり、生物が生息している可能性はありえないと推測された。
 そして今、月面の掘り下げ用ブルドーザーが稼働中で地面を平らにして仮移住区間を作成する。今後この範囲を広げていく予定だ。』










壁とは人間の足でありなんのために破壊しているのだといえば、ただ歩いているだけである。月の石は居住区に入れられ大気圧によって押しつぶされて死んでいった。サミはブルドーザーによってひかれてしまった。
戦争をしているというよりも一方的な殺戮に近い気がする。しかも殺そうという考えはなく、ましてや殺していることに気がついていないのだ。もう殺戮はどこかで始まっているかもしれない。

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