挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
駆除人 作者:花黒子

~海へと繰り出す駆除業者~

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

47/250

47話


「これが我輩の知っている地図だ」
 黒竜が、地図を渡してきた。
 ボロボロの帆船の上である。
 俺は、黒竜からゾンビ駆除の報酬を受け取っていた。
 地図には、2つの大陸と、その間に複数の島々が丁寧に描かれていた。
 そして、南の方には真っ直ぐな線が引かれ、その南に、ぼんやりと島の影が描かれている。
「これは?」
 俺が黒竜に聞くと、
「我輩は南半球の生まれだ。ただ、幼き頃のため、あまり覚えていないのだ、すまん」
「南半球?やっぱりあるんですか?」
「無論、ある。神々の戦いによって消失したのか、精霊のイタズラか、およそ千年前から、行けなくなってしまったがな」
 俺は勝手に、太陽と月と呼んでいるが、恒星や衛星があるのだから、世界が惑星であるのは当たり前だ。
 それよりも、何故行けなくなったかのほうが重要だ。
「南半球に行こうとするとどうなるんですか?」
「押し返されるというか…行けない。いや、我輩も行ってみたことがあるが、いつの間にか北半球の方に戻ってきてしまっている、という感じだな」
「うーん…」
 そんな不思議現象があるのか。
 前の世界で「ぬりかべ」と言っていた妖怪に似ている気がするが、赤道すべてがぬりかべになってしまったということか。
大規模な魔法でもかけられているようだ。
 空間魔法なら出来るのか?赤道すべてに?
「どんな神だよ」
「まさに神の所業だな。ま、その神に立ち向かう者たちが後を絶たないようだ。この船もそうだ」

 船は立ち向かったであろう傷跡が無数についている。
 船室に入ると、壁に『冒険者に冒険を』と書かれた羊皮紙が貼られていた。
 船室には壺や食器などが床や机に散乱している。
 別の部屋を覗くと、破れたハンモックが張られた部屋や、酒樽が詰まった部屋などがあったが、人の骨はなかった。
 きっと、黒竜が気を使って片付けたのだろう。
 帆を新しく張り直し、壊れた箇所を修復していけば、使えるようになるだろう。

「うん、いい船ですね」
「ならば、良かった」
「ただ、俺達3人だけで、この大きな帆船はうごかせませんし、船乗りでもないんで…」
「それなのだがな。水竜に近くの港町まで送らせるので、そこで船乗りを見つけてくれんか?」
「ああ、そうですね。そうします」
「すぐに出発するか?必要な物があれば、うちの屋敷からでもいいし、町の家からでも構わないから、持って行くといい」
「ええ。ありがとうございます」


 屋敷に戻ると、アイルが騒いでいた。
「どうした?」
「見ろ!私の冒険者カードに称号が!」
 アイルが自身の冒険者カードを見せてきた。
 カードには『竜の守り人』と『剣王』と記載されていた。
 レベルも58とかになっている。
 先代の勇者を超えたんじゃないだろうか。

「あ、私もだ」
 ベルサが自身の冒険者カードを見ている。
「ベルサも冒険者カード持ってたのか?」
「ああ、一応、船旅をするかもしれないと思って、マリナポートで取っておいたんだ」
 ベルサのカードにも『竜の守り人』と記載されていた。
 レベルは25と、そこそこだった。
「レベルも上がってる。マスマスカルを殺しすぎたかぁ」
 ベルサは実験でマスマスカルを解剖するし、回復団子を仕掛けまくったので、ゾンビ化した魔物を倒したことになったのだろう。

「あ、俺にはない」
 俺の冒険者カードには、特に称号は記載されてなかった。
 レベルは95と、なんかヤバい。こいつは見せらんないな。

「我輩たちは、お主たちに感謝しているから、称号を得たのだろう。ナオキに称号がつかない理由はわからん」
「称号ってなんか得することとかあるんですか?」
「ステータスの成長速度が上がったりするのではなかったか?我輩はレベルが上がらなくなって久しいから、よくはわからんが」
 黒竜が答える。
「数値に特定の補正がつくんだ。むぅ…鑑定スキルが欲しい!」
 アイルは喜んでいる。
「なぜ、ナオキにつかなかったのかなぁ?」
 ベルサの疑問に、俺は「異世界人」だからかな、と思った。
「まぁ、特に俺は要らないから。それより、船旅の準備だ!必要なもの揃えて、出発しよう!」
「了解!」
「OK!」


 荷造りをして、俺達は船に乗り込んだ。
 荷造りと言っても、アイテム袋に入れるだけなので、そんなに大変ではない。
 必要そうなものを、かたっぱしから入れていくだけである。
 あとはイヤダニが入ったビンを抱えて、船に持ち込んだ。
 二人は「まだやってるよ」という目で見てきたが、まったく、ダニの重要性があの二人にはわかっていないんだ。
 竜の娘さんたちに、菊のような花はないか聞いたが、白い眠り薬を作る時の花しかわからない、とのことだった。
 島を丹念に調べたわけではないが、なさそうなので、この島では諦めることにした。

 出港の時には、竜たちが見送ってくれた。
「早く乗るのよ。あーしが送ってあげる」
と、水竜が言っているのを、黒竜がたしなめていた。

「では、また、いつか会おう!しばらくは、ここにいるつもりだ。もしはぐれ竜がいたら、ここに連れてきてくれると助かる!」
「ああ、もちろんだ!我々は『竜の守り人』だからな!」
 アイルが安請け合いしている。俺は知らんけどね。

 水竜が竜の姿で、船の先端ロープを引き、ゆっくり出港した。
 竜の娘さんたちと俺たち3人は、姿が見えなくなるまで、手を振っていた。

 島が小さくなり、水竜ちゃんをガン無視して船室に向かう。
 船室で、今日の寝床を作りながら、俺は我慢していたことを宣言した。

「すまない。ちょっといいか?最近、俺がちょっとおかしいことは気づいているだろうか?」
「いや、会った時からナオキはおかしいが」
 アイルが言い、ベルサが同意するように首肯する。
「そうか。実はな。最近、いろんなことにムラムラしちゃって、しょうがないんだ。アイルの匂いでムラムラするとか、竜の娘さんたちの格好に目が行ったりしちゃうんだ」
「なんだ、そんなことか。しょうがない奴だな。男ってのは。まったく」
「生物のオスとして、当然のことだ。ナオキなら私も知らない仲でないし、吝かではない」
 アイルとベルサはそう言いながら、服を脱ごうとした。
「待て待て!俺が吝かだ。今後、君らと付き合っていくうえで、そんなことはしたくない。いや、何が言いたいかというと、次の港町についたら、別行動をしよう。ちょっと俺は娼館行ってくるから」
「それを先に言えよ。まったく」
「なんだぁ、そうか。わかった」

 窓の外に水竜ちゃんの目が現れた。
「あーしの話、聞いてる?」
「「「聞いてない」」」

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ