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Gundam Divine The Hero of the Splitting War
作:ダビデ


プロローグ
はるか未来、地球後記(After. Earth.) と呼ばれる時代の314年目の通称314A.E.。人類の技術によって、宇宙に住む事が可能になった時代のはるか未来。宇宙に移ろうとしない人々と、その異常に発達した技術によって汚染しきって住めなくなった地球。それから更に先の話、地球と言う存在自体が忘れられていた時、宇宙である戦争が起こっていた。
宇宙連邦軍(U.F.S.A.)と宇宙帝国軍(S.E.A.)の戦争。元々一つだった宇宙のコロニーの総合政府が洗脳によって力を得たテロリスト集団によって築かれた帝国と対立した。話は宇宙連邦軍の第23MS前線部隊に属する一人の男から始まる。
機動戦士 ガンダムデヴァイン 第一話
『戦士達』
男は警報の音にベットから起き上がり目を覚ます。半分寝ている状態でパイロットスーツに着替え、急いで部屋を出る。男の身長は高め、金の混じったような茶髪で、なかなか変わらない表情と目は何処か冷たさすら感じさせる。格納庫にたどり着くとそこには15mを超す、人型の兵器「モビルスーツ」、通称MSがあった。警報は今だ鳴り止まず、女性の声で放送が入る。
「敵モビルスーツ接近中、イーグル型が2機とシェルが6機です。モビルスーツ隊出撃して下さい。繰り返します・・・」
この頃には男はモビルスーツのコクピットに入っており、起動させていた。
「こちら、ルーク。ギルガの発進はいつでもOKだ」
ギルガとはルークが乗っているMSは隊長機で、左手にはシールド、右手にはライフルの形をした粒子砲、通称「ビームライフル」が装備されており、腰に小型ミサイルランチャーと背中には大型なバックパックと粒子刃を出す「ビームサーベル」が付いている。又、隊長機の特徴として頭の右側には大きめなアンテナが付いている。
ルークにも聞こえる通信二つが入る。
「こちらジェーン。ホーク一号機スタンバイ」
「同じくケント。二号機スタンバイ」
ホークとは遠距離支援用MSの事でギルガとは違いビームサーベルの代りに遠距離粒子砲「クロウズ」と頭にはバルカン砲が付いている。
すると、放送の通信がもう一つ入る。
「了解、敵の数が多いので離れないようにしてください。ではどうぞルークからカタパルトへ。」
すると、ギルガから順番に発進されていく。出撃した先は宇宙であった。ルークは自分がどんどん戦艦から離れていくのが分かる。戦艦は上も下も分かりずらい様な形をしていて、短く太く、巨大とも言える砲台が無数についている。
ルークに続き、他の二人も追ってくる。二人ともルークに追いつくと速度を合わせる。
「まだ時間があるな・・・」
ケントから通信が入る。確かに、レーダーでは近づいてはいるが肉眼で確認する事は出来なかった。余った時間でケントが更に喋る。
「全く、艦長はもうちょっと寝させてくれっての、なぁコナー少尉?」
しかし、ルークは全く反応をしない。するとジェーンが代りに喋る。
「でも大丈夫かな?いくらルークがいると言っても、シェル6機って多くない?。」
しかし、ケントは前向きに反応する。
「大丈夫だよ、シェルなんか何匹固まったって意味ないって、それにこの数なら援軍呼ぶんじゃないの?」
「そうかなぁ・・・」
ジェーンは不安そうに答える。しかし、この間、ルークは不安どころか面倒くさいと言う感情しかなかった。彼はこんな事とっとと終わらせて又眠りたい、と言う事しか頭に浮かばなかったのだ。そして、敵が戦艦の射程距離内に入った事を確認するとルークは部下に命令する。
「無駄口はそのぐらいにしとけ、敵が見えるぞ」
この冷たい言葉にも二人はしっかりとした返事をする。
「はい!」
通信は途絶え、ルークが敵に向かって加速する。ジェーンとケントも敵が「クロウズ」の射程距離に入るまで近づき砲撃を始める。戦艦も砲撃を開始するが、動きを封じるための攻撃はあたるはずもなく避けられる。しかし、戦艦の主砲と「クロウズ」のおかげで先頭にいるホークはまるでギルガに気づかないでいた。この隙を突き一気に近づいたルークはビームサーベルでホークを横から真っ二つにした。その一撃でホークは爆発する。その爆発に驚き気が取られたのか、敵のシェル一機も「クロウズ」を三発受け撃破される。ケントは思わず喜ぶ。
「ひゃっほうーざまみやがれ!」
敵のもう一体のホークはいつのまにかギルガに近づいていた。ここで始めて敵の機体がよく見える。
ホークは近距離戦闘用の隊長機でその奇怪な外見からは無数の棘が出ており、右手にはビームライフルと左手には盾の代りなのか、巨大な爪のようにみえる、通称「ビームクロウ」があった。
シェルは宇宙帝国軍の遠距離支援用MSでその名の通り丸い殻のような形をしていて、手と言う形はそもそも無く、腕の代りに大きめな粒子砲「ビームカノン」が付いおり、背中にはクロウズより一回り小さい実弾大砲「シェルブレイカー」が付いている。
近づいてきたホークはビームクロウで切り掛かるがルークは辛うじてビームサーベルで食い止めた。ビームクロウから出る粒子刃はビームサーベルと比べ数は多いが、その一つでも止めれれば封じる事が出来る欠点を持つ。ルークは相手に隙を与えず、至近距離であるにもかかわらず腰のミサイルランチャーを発射し、ホークのコクピットに当てる。爆発が大きくなる前に敵から離れると、ホークは爆発した。その隙に近くにいるシェルにビームカノンを撃たれるが簡単に避ける。
ルークが改めて敵の数を見ると、残り3機まで減っていた。そして、自分を撃っている2機に一気に近づくと一体づつ無残にビームサーベルで切り捨てる。近距離装備を全く持たないシェルは成す術もなく撃破される。最後の1機になってしまったシェルは背中を向け全速で逃げようとするが、ルークのビームライフル、四発の「クロウズ」、そして戦艦の砲台から逃げ切れるはずも無く撃破されてしまう。これを確認すると戦艦から通信が入る。
「敵全機破壊確認!どうぞ帰還して下さい。」
一体ずつ帰還すると、コクピットから降りてそれぞれの部屋に戻る。その時、ケントは嬉しそうな顔でルークに話し掛ける
「いやぁ、さすが隊長!一人で四機も撃破するなんて、すげーぜ!」
「運が好かっただけだ」
ここで始めて笑顔を見せるルーク。するとジェーンが会話に入る
「そんなことないですよ。ルーク少尉が居なかったら今頃私達生きていないですよ」
「それは俺にとっても同じだよ、ジェーン。君たちじゃなくて、他の人達だったらきっとここまで生きてこれなかった」
この言葉を聞いて、ケントが少し悲しそうな顔をして話す。
「でも、ここまで強くなるのに、たくさんの犠牲が出ましたよね」
「・・・そうだな」
どうやらこの小隊には悲しい過去があるようだ。
この言葉を最後に、それぞれが部屋に戻る。部屋に戻ったルークは、又眠りにつく事が出来るはずも無く、部屋にある引き出しからビーフジャーキーを取り出しかじり始める。戦争中は戦闘自体よりも、それが起きるまでの待つしかない間の方が恐ろしいと言う話は良く聞くがルークにとってはそれはもはや平和で暇な時間でしかなくなってしまっている。彼はふと狭いスペースのベットの上に座ると考え事を始める。彼は考えていた、自分が今まで殺した人達を。モビルスーツは恐ろしい兵器だが、何よりも恐ろしいのは敵の人間性をなくしてしまう所だ。ルークは今まで殺した「敵」の素顔を一度も見た事すらない。そして歴史に詳しいルークは敵の顔を見ながら戦いあった人達は一体どんな気持ちで戦争をしたのか、いったい人類はどうやってそれから生きて出てこられたのかが不思議だった。考えていけばいくほど、考え事の深さが無くなり、やがて眠気となった。
次に目を覚ました時は警報は鳴っていなかった。代りに、聞き覚えのある声と体を揺さ振る手があった。
「おい!飯だ!起きろ・・・おきろってば!おら、おら!」
そう言う今度は足でけり始めた。この声は戦艦の砲撃手だった。さすがに蹴りで思い切り目を覚ましたルークは手で砲撃手にあっちへいけの合図を送った。
「ちっ、早く来いよ?」
そう言うと彼は部屋を出ていった。そのとたんにルークは、ゆっくりと起き上がり私服に着替えると部屋を出ていった。しばらくルークが歩くと、テーブルの周りに座る仲間たちが居た。彼女彼らは様々な食べ物を前に食事を取っていた。決して豪華とは言えなかったが。
ルークはいつもの席に座ると、食べ物を皿の上に乗せ、ゆっくりと食べ始める。その食事には妙な沈黙があった。ここ数日、この小隊は何度も敵と戦い続け、他の部隊とはぐれ、孤立した状態が続いていた。戦争の状況的にはU.F.S.A.の方が有利な状況だが最前線で戦う彼らにとってはやはり辛かった。その沈黙にはその辛さが出ていた。まともに情報も無いためいつ又敵に襲われるかわからない状況がプレッシャーとストレスを作り出していた。
食事が終わり、それぞれが部屋に戻る。
何時間寝ただろうか。
ルークには寝る直前の記憶すらなかった。しかし、又鳴り止まない警報に体を起こさなければいけないと思い。パイロットスーツに着替えいつものようにブリッジに向かう。そしてギルガに乗ると説明が始まる。
「敵モビルスーツは3機です、今回は相手の戦艦も一隻射程距離に近づきつつあります。敵モビルスーツはシェル二機と・・・認別不能機が一機あります気を付けてください!」
何となくであった。ルークは不安な気持ちになっていた。何かがいつもと違うように感じた。
三人ともMSに乗るとルークから先に出撃する。敵はかなり接近していたため時間が無かった。ジェーンとケントが出撃した頃には敵は肉眼で確認でき始めていた。この時ケントが通信である事を言う。
「なんだあの惑星は!?皆左側を見てみろ!俺達は一体何処にいるんだ?」
カメラの左側を見ると、ルークもその存在に気付いた。
「あれは・・・」
そこにあったのは青と緑と白でおおわれた美しい星だった。
「地球だな。全く、最初出撃した時は木星付近だったってのに・・・」
ルークがあきれてそう言うとジェーンも反応した。
「綺麗だね。でも今又私達襲われてるのよね・・・」
ジェーンがこれを言った頃には敵はすぐそこまで来ていた、その敵は驚くべき姿をしていた。その姿はどのモビルスーツよりも人間らしさを持ち、どのモビルスーツよりも恐ろしい武装を持っていた。そしてそれを見たものは皆ある物を連想する。
「ガンダム!?・・・くそ!」
ガンダム。それは人が地球に住む権利やら宇宙でも自由を持つ権利やらで争い合い、傷つけ、悲しむ戦争で初めて作られた、量産機開発用高性能試作型モビルスーツ(Mass Productive Development Intentioned High Proportional Prototype Mobile Suit)。その性能は戦場でであったが最後、生き残る術はないとされてきた。少なくとも、その伝説はそこまで膨れ上がっていた。
そのモビルスーツはガンダムと認識できる距離まで近づくと、一気に加速を始めた。その加速はあまりに速く、もはや戦うしかなくなった。
「お前らは後ろから撃っていろ、俺が近距離戦をする!」
「隊長!」
ケントは気持ちを押さえ切れず思わず叫ぶ。だがルークは冷静に話し掛ける
「安心しろ、死ぬ気はない」
そう言うと一気にガンダムに近づきながら腰のミサイルを発射し、ビームサーベルを取り出す。敵も反応して盾でミサイルを防ぎながら肩からビームサーベルを取り出しギルガのビームサーベルを止める。この時ルークはある事に気付く。ガンダムはギルガの二周りは大きく、ビームサーベルから出ていた粒子もまたギルガのそれとは長めなナイフと日本刀の違いがあった。これを見たルークは瞬時に悟った、自分達は皆殺されてしまうと、ミサイルを撃てないギルガはこのガンダムにとってはもはや毒の無い蜂も同然の存在なのだと。そしてそのミサイルをすぐに撃ってしまった事は間違いであった事を彼は悟った。次の瞬間ガンダムはそのおおきな盾を使ってギルガを跳ね飛ばしいっきに接近して切り掛かった、ギルガはよろついていたもののルークは反射神経で避けたがこの時ビームサーベルを持っていた右腕を切り落とされてしまう。
しかし、敗北を覚悟していたルークにはどうでも良い事だった。残った右腕の肩をガンダムに向け思い切り体当たりをするとガンダムは地球のあった方に吹っ飛んだ。この隙を突いてルークはすかさず左腕で敵の懐である腹を捕らえ地球めがけて全速前進を始めた。意外な行動に驚いたのかガンダムのパイロットはしばらく行動せずに待ったが、地球に近づき始めると焦りを見せビームサーベルを振り回し始める、しかし、ガンダムの体にぴったりとくっ付いているギルガに直接切り掛かるのは自殺行為であり、足を切り落とす事しか出来なかった。地球の大気圏に突入し始める時ガンダムはやっとギルガの左腕から逃れる。地球の大気圏から出る直前ギルガにビームライフルを向けるが、ルークは大気圏で燃えてなくなるだろうと判断したのか、あるいはただ情けをかけただけか、撃たずに去る。
一人取り残されたルークは無論左腕と体とメインカメラの頭部しか残っておらず既に脱出不可能だった。冷却装置のおかげで気体の温度の上昇を遅めてはいるもののそれを止める事が出来ずにいた。ついにはメイン画面に「WARNING」と警告の文字すら現れ始めていた。
(ここまでか、あのガンダムは大気圏を脱出するために結構エネルギーを消費したがケントとジェーンは上手く生き残る事が出来るだろうか?戦艦のクルーも心配だな。・・・ちっ、どんどん熱くなってきてやがる、燃えて死ぬのは本望じゃねぇな。)
そして色々考えているうちに、高熱でルークは気絶してしまう。
ガンダムデヴァイン 第二話
「美しき星で」
ルークは目を覚ます。しかし彼は地獄に落ちた訳でも天国にいった訳でもなかった。彼が目を覚ましたのどうやら動物の毛皮で作られた布団のようなもののなかにいた。体をゆっくり起こし、あたりを見回すと彼の周りには、濃い茶色の肌をした人達が居た。その人達は起きたルークをじっと見つめていた。やっと目を覚まし始めた彼は周りに居る人達は合計三人だと言う事に気付き、三人のうち二人は女性だと分かった。二人の男女は夫婦なのか年をややとっており、三人目の女性はまだ子供だった。
「いったいなにが起きたんだ?ここは何処だ?」
その人達と目を合わせ、質問を聞くが、言葉が理解できなかったのかまるで反応しなかった。しばらくすると、女の子が親と何やら話していたが、その言葉はルークには理解できないものだった。少し混乱しているルークはゆっくりと立ち上がろうとするが意外と難しく、頭痛が激しかった。ルークはやっとの思いで立ち上がったがなぜそんなに難しい事だったのかを理解できなかった。体が痛い訳じゃないのに、まるで体が重くなったように感じたのだ。この時、彼はある二つの事実を思い出した。まず一つは彼は地球に落ちた事。そしてもう一つは地球の重力は宇宙で体験できるそれと比べて強かった事である。宇宙で生まれ、宇宙で育った彼が体験した自然な重力はせいぜい月の重力しかなかった。彼は学校に行っていたときに聞いた地球の重力を身で体験しているのであった。辛うじて立った状態の彼は今一度周りを見まわし、自分が何やらテントのようなものに入っているという事に気付く。この様子の彼に危険を感じたのか、離れていた女の子は両親の方に近づき又何やら話し掛けていた。しかし、言葉が理解できないルークはそっちのけである事を考えていた。
(自分が地球に落ち、奇跡的に陸地に着陸し、奇跡的に人に発見され、助かったと言う事なのか・・・ばかな。まずあのモビルスーツが熱に耐えられた時点で・・・)
しかし彼は考えるのをやめた。今、彼にとって重要なのはこれからどうするかであった。そして彼の今の問題はこの言葉の通じない人達とどうやってコミュニケーションをするかであった。絵を描いて会話をしようにも紙も鉛筆すらない。しかし、彼らのテントはたしかに絵などでデザインされたものだった。彼が考えているうちに夫婦のうちの男がテントの出口に立っており手招きをしていた。立つ事すら厳しい彼はそこまで歩くのも一苦労であったが、男がいる所まで行くと男と一緒に外に出た。そこには少数民族が住む村があり森に囲まれていた。
このテントはやや中央にある物のようだ。外に出ると体に何やら派手な刺青や飾りがついている男性が近づいてきた。彼は村の村長であったがルークにはそれが分からなかった。その村長はルークに近づきあごをつかみ顔の左と右を片方ずつ見る動作をした。ルークは何をされているのかが分からなかったがどうせ動く事すら難しい彼にとっては襲われていたとしてもどうせ抵抗は出来なかった。すると村長は男性に何か命令口調で話し掛け、指で何か、あるいは誰かを連れて来いの動作をした。それを聞き、見た男性は大声で二つの言葉を村長の指を指した方向に言った。しばらくすると、体格のがっちりした若者が二人歩いてきた。二人はルークの前まで来ると一言何かを言う。すると男性は森に指を指し、二人に何らかの命令をした。その方向では煙が立っていた。若者二人はルークの腕のしたをつかむとその煙の方向にルークを無理矢理連れていった。
しばらく森の中をあるき、煙が立っていた場所にたどり着き、ルークはやっと何が起きているのかを理解した。彼らはルークのMSが落ちた所に連れていっていたのだ。彼らはそこでルークをおろし、ルークは膝をついて着地する。
そこには黒い、もはやMSとは思えないような鉄塊があった。それはルークが乗っていたMSの残りだった。唯一残っていたはずの左腕は燃え落ち、左肩と頭部、そしてコクピットがある胴体があったように見えた。コクピットは開いたままにされていた。二人の若者はルークの横にいまだ立っており、監視していた。ルークは辛うじて起き上がるとその鉄塊に近づき触れて見る。その鉄はまだ少し温かく、その温かさは(大気圏の空気抵抗摩擦でおこる熱との違いからして)ルークが何日眠っていたのかを物語る。しかしルークにはコクピットに入って見る体力は当然残っていなかった。
それから、ルークは仕方なくその村で6ヶ月近く過ごした。重力に慣れるだけで一ヶ月間掛かり、残りの五ヶ月は森の中で生き残る術やその少数民族の単語を少々学んでいた。その民族は彼に優しく接し、彼もまた、自分に可能な限り優しく接したつもりだった。
重力にもなれ、森に関する知識も得た彼は村から出る事を決意する。単語とジェスチャーだけで彼は自分がいかなければいけない事を説明し、又、別れを告げた。彼が森の奥を歩いて捜すものは昔地球にあった技術の残っている基地か何かであった。森の中で何が食べられ、何に毒があり、どうやって水を探すかなどを知っている彼には案外問題はなかったが、昔の文明の破片も見付からなかった。旅を始めて一ヶ月、彼はついに大昔の町の廃虚を発見する。しかしそこには、宇宙に打ちあがるための施設はなかった。代りに彼が見つけたものはほとんど風化して見ずらい世界地図と、しっかりと保管してあったため意外と状態が良い小型飛行機だった。その小型飛行機の中には操縦のマニュアルがあったが、彼はそれが読めず、ただそれが空を飛ぶための機械である事しか分からなかった。取り合えずはとコクピットに入ると彼はMSよりも複雑でボタンが多い事に気付き、思わずため息を吐いた。彼は取り合えずはと飛行機を諦め、町を出て探索をした。
彼は運が好かった。彼が歩いた方向には少し大きめな軍事施設があった。その施設には宇宙に上がるための施設は無いものの、そこにはかなり旧式のMSがあった。ルークは、これなら長距離のたびが出来るとしたが、マニュアルは見つからなかった。見た感じではどうやってそのモビルスーツに乗ればいいのか分からなかったが、胸部まで伸びている橋が二階から出ていた。それを見てそれがコクピットにはいる為に使う橋だと思い二階まではしごで登り胸部まで行くがやはりどうやって入るのかが見当もつかなかった。
そうやって色々触っているうちにコクピットが勝手に開いたように見えた。何処かでボタンか何かを押したのだろうか。取り合えずルークは中に入る。するとコクピットのハッチは自動的に閉まりMSが起動を始めた。現代のMSにすらない自動性に少し戸惑いつつもルークは画面を見た。その画面は起動のときルークも使う宇宙共通の言葉でそのMSの名前が映された。
「(Mass Productive Multi-Purpose Mobile Suit Uelbo)
量産汎用型MSウェルボ」
その後、現在使用可能な武装リストの確認に移り、ルークは素早く確認するシステムを目で追った。
胸部バルカン、ヒートナイフ、そしてマシンガン。何とウェルボにはビーム兵器が一つも着いていなかったのだ。そしてヒートナイフの数の多さから、近距離で突くのではなく投げて使う様だった。しかし、地球で戦闘をするはずはないのでとりあえずスラスター出力と燃料を確認すると、空中で飛んでいる状態を維持できるほどの出力とそこそこ長距離を移動できる程の燃料(少なくとも彼の感覚では)があった。ビーム兵器を載せてないせいか、武装意外の所は量産型とは思えないほど高性能だった。
ルークはとりあえず、このモビルスーツで行ける所まで行こうとボロボロの地図を開いた。しかし、地球の事をあまり知らない彼は何処に行けばいいかわから無かった。その地図には飛行ルートがいくつか書かれており、そのほとんどが、昔のアメリカ大陸の方面を指していた。これからルークはそこに重要な何かがあったと判断し、そこに向かう事にした。
本来、MSは長距離移動をするためのものではないが、MS以外に何も運転した事の無いルークにとっては飛行機よりはマシだったのである。そのMSを使ってアメリカ大陸を目指し、海面すれすれを維持して低空飛行をした。その飛行中、得体の知れないボタンなどを試しに押したりした(無論、武装を発砲する場合もあった)そしてその中の一つはオートパイロットで(この事からこのMSは長距離移動が可能である事も分かり)やっとコクピットの椅子から立ち上がりストレッチしたり寝たりしたがある程度時間がたつと、ルークはある重大な事に気付く。
MSの中では食料の調達が出来なかった。この長距離移動にどのくらいの時間が掛かるか知らないルークはこの事実には本当に慌て、島を見つけると立ち寄り、食料を探したがほとんどの場合、彼が身につけた知恵は役に立たず、更にアフリカから離れるにつれその知識がもっと役に立たなくなってきた事に気付く。しかし、宇宙のコロニーにもある程度地球に元々居た生き物が保護されており(無論食用もあった)、植物の中に食べれるものがある事に気付き食料として集める事もあった。こんな事もあり、旅は一ヶ月におよんだ(この間、MSに乗っていたのは半分の15日くらいであった)。
この長旅を終えたルークはアメリカ大陸(今のニューヨークあたり)で彼は又あの恐怖に出会ってしまう。燃料切れになったモビルスーツから東を歩くと彼はある軍事施設を見つけた。しかし、それは決して古いものではなく、森に囲まれいているものの設置されたばかりと言う感じだった。その建物の一つに、Earth. Revolution. Force. (地球革命軍)と地球の絵が入ったロゴがあった。こんな軍が存在していた事はルークは知らなかったが、森の中から隠れながら見るとたくさんの軍人が働いていた。しかも、この施設には最新型らしきMSもありそれも作業に使われていた。この時のルークの考えは、この地球革命軍はきっと宇宙から来ていて、最新型MSを使って何かを企む連中なのだから宇宙に上がるための施設もあるはずだと判断した。そうすると、ルークはそれを探すために偵察を続けた。しかし、数日間偵察してもそれらしき物を見つける事は出来なかった。降りてきたばかりなのでまだ作り終えてないのだろうか。いくら外から見ても仕方ないので、作業員を一人捕まえて服をとって作業員に成りすまそうと考えた。これを実行に移すのに時間はかからなかった。
周りに他の作業員が居ない事を確認すると、首を絞めて掴み、森の中に引きずり込んでツタで縛ると、服を奪いそれを着て施設に入った。この時ルークはあえてこの人を殺すような事はしなかったルークは怪しまれないよう、自分の名前のプレートに書かれている「ジョニー・マック」という名前を覚えた。

「ジョニー・マック」に成りすましたルークは意外とばれず、内部から情報を得始めた。どうやらこの地球革命軍が地球に降りたのは10ヶ月以上前の事で、そこにある新型機は大昔に開発された高性能MSを元に開発されたものらしい。
大昔に開発された高性能MS・・・といったらまずルークが考えるものは「ガンダム」であった。しかし、作業員はその高性能モビルスーツが「ガンダム」なのかそうでないのかは分からず、そういう事は極秘の秘密だったらしい。その「極秘情報」が保管されている大きな倉庫までルークは見つける。その倉庫の近くを歩くとき、ルークはまれに機械音が聞こえた事に気がついていた。そして、ルークはついにその「極秘倉庫」に人が入っていくのが見えた。その人は年を取っていて、技術者のようだった。彼はポケットからカードを取りだし、更に暗証番号を打ち、中にはいっていた。その倉庫だけはそのドア以外に入れそうなものは何も無かった。しかし、ルークはチャンスを見つける。
実は夜中、作業員が寝る所の窓から、その倉庫に人が入っていくのが見えた。夜なら人が中から出てくるときの隙を突いて中に入れそうだった。これを思い付いたルークは早速次の夜、正確には朝の4時ぐらいに、人が倉庫から出てくる隙を突いて素早く中に入った。中にはまだ人が居たがルークが入ったのに気付かず、ルークはすかさず近くにおいてあったコンテナの後ろに隠れまわりの様子を確認した。
そして彼は自分の目を疑う。
ガンダムデヴァイン 第三話
「二頭犬と翼」
頭では分かっていた、だが本当にここにガンダムが、しかも二機もあるとは思わなかったのだ。その二機のうち一機は全体的に黒い赤とオレンジの塗装をされており右手にビームライフルと胸部は奇妙なデザインになっており大きなビーム砲のようなものもついていた。通常、シールドは戦闘用MSの基準だったがなぜかついていなかった。もう片方のガンダムはまだ未完成品のようで、背中のスラスターがまだ露出されていたが、後はほとんど完成されていた。しかし、シールドもろくに武装もついてなかった。ルークはこれだけ見て外に戻ろうと思っていたのだが突然警報がなり始める。
「只今、「ジョニー・マック」作業員から報告が来ました。我々の中にスパイが隠れています。彼は「ジョニー・マック」の服とプレートを来たものを発見しだい捕らえて下さい!」
これを聞いたルークはすぐさま胸のプレートを投げ捨て、完成されていた方のガンダムに向かって走り始めた。技術士達は彼に気付き追うが間に合わず、ルークはガンダムのコクピットに入り起動させる。そのMSはルークが使い慣れているものとほとんど同じ仕組みになっておりすぐにコクピットハッチにロックを書け、そのガンダムを動かす事が出来た。そして起動したときにそのMSの名称が画面に現れた。
「High Performance Attack usage Prototype Mobile Suit Orthros Gundam
高性能攻撃用試作型MS オルトロスガンダム」
ルークはオルトロスガンダムに一歩前を歩かせ。ドアが無い方の壁に体を向けるとバルカンで穴を開けたあと、突進して壁を壊し、外に出た。外に出たと分かったルークはすぐさまスラスターを全開にして空に舞い上がった。全身に強力なスラスターのついたそのMSは重力があるにもかかわらず高速で移動する。そのスピードはそのまま大気圏離脱が出来てしまうのではないかと思うほどであった。このMSを使ってとりあえず逃げようと思ったルークであったがそうは行かなかった。実は彼のすぐ後ろにあの未完成のガンダムが急接近していた。そのMSのスピードはオルトロス以上だった。そのMSがオルトロスに十分近づくと通信が入る。
「このスパイめ!このエウリュアレガンダムから逃げられると思うなよ!」
「くっ!」
仕方が無いと判断したルークは思わず悔しくスピードを抑え、追ってきたガンダムにビームライフルの標準を合わせた。そして、取り合えずわと撃つがあたるはずも無く避けられる。相手のMSには何も武装がなかったようにみえたが接近してくる途中で左手の代りについているビームクロウを初めて展開する。ルークはもう一発ビームライフルを撃つと更に上昇し自分も負けないと背中のビームサーベル発射ポッドからビームサーベルと取り出し、構える。
「逃すか!」

気合いを入れてその男は通信を入れてきた。しかし、オルトロスを確認するために見あげた頃にはオルトロスは既にビームサーベルを振り下ろそうとしていた。エウリュアレガンダムに乗ったパイロットはすぐにビームクロウで防いだがその衝撃で地面の方に落ち始める。この隙を突いてルークは更に上昇を図る。
そのオルトロスは不思議な構造になっていた。胴体のいたるところにスラスターがついていた。というのは、バックパックや足だけでなく肩と頭部にもついていた。背中のバックパックスラスターが出す出力に関してはあらゆるMSと比べると異常の一言。もう一つの不思議な構造は、頭部以外に胸部にもう一つのカメラがついていると言う事だ。オルトロスは今、全身についているそれらのスラスターは全て最大の出力を出していた。
雲をつきぬけ、上空がどんどん薄くなり、ついには星までもが見えるようになってきていた。エウリュアレも又、追ってきてはいたが、なぜか途中で引き返した。ルークはこの時、自分では気付いていなかったが、大気圏の離脱をしていた。その血のように赤い機体はまるでスピードを落とさず、重力に逆らい前に進み続ける。
気がついたらルークは宇宙に出ていた。本人も当然ながら予想し得なかった事であった。地球の事をあまり知らないとはいえ月のそれとは少なくとも重力の違いを桁外れに感じていた彼はそう簡単に地球の大気圏を離脱できるとは思っていなかったのだ。しかし、簡単だった訳でもないようだ。
「ん?これは・・・」
ルークはオルトロスにはあと10%しかエネルギーが残っていない事に気が付いた。あまり長い間ではないとはいえ、最大出力を出し続けた報いである。あたりを見回すと、何も無い。コロニーも、基地も、戦艦も無い。あるのは文明と戦争が残した残骸だけ。その残骸までもが遠くにあったが、その方向に機体は進んでいた。もう休戦を含めて4年も続いてる戦争・・・それは悲しみの繰り返しであった。オルトロスの中は地球の温かさで今だに満ちていたはずだったが、宇宙で一人ぼっちなルークは、凍えにも似た感覚です少し震えた。地球に戻れば待っているものは死、運が好くても拷問・・・しかし、見渡す限りが無のルークにとってはこのまま地球から離れ続けるよりはマシだったかもしれない。ルークはそれでも戻る気にはならなかった。せっかく宇宙に戻ったのだから、どうにかして仲間の元に戻りたい・・・彼にはその想いしかなかった。宇宙の残骸は、新しいかどうかは分からなかった。とにかく、近くに人がいるかどうかひたすらカメラで周りを見渡す。すると、遠くに少し大きめな光物体があったのに、ルークは気付いた。カメラでズームしても、何なのかは確認できなかったが、ただ漂っているよりはマシなので、とりあえずその方向に向かった。燃料の残りの50%を使って加速したら、結構スピードが出たのでそれに近づくまでに時間は掛からなかった。そして、十分近づいたら、それが何なのかに気付いた。隠してあるため、気付きづらいが、そこにあったのはコロニーだった。その見えていた光るものはソーラーパネルで、恐らく必要最低限の電気を貯えるために半分だけ露出した状態で、残りは黒い布のようなもので覆われていた。宇宙と同じ色で覆われたそのコロニーは星が無くなっている事に気付かなければ、遠くからそう簡単に見えるものではなかった。ルークはオルトロスの通信機能を使ってコロニーに通信を試みた。
「こちら、宇宙連邦軍のコナー少尉ですが、えーと・・・その・・・」
ここでルークはなんて言えばいいか迷った。今まで戦死したと思われていただろう人物(最低でも行方不明)、から急に通信が入った相手に何と言えばいいかわから無かった。仕方が無いのでルークはこう言った
「まぁ、その、・・・入れてくれますか?」
するとコロニーから通信が入った。
「えーーと・・・了解です、レーザー誘導を出しますのでそれに沿って入り口まで来て下さい。」
指示にしたがってコロニーに入ったルークはMSから降りるとそのコロニーの代表が彼の元に来た。その人は宇宙連邦軍の制服を付けていたため、ルークは彼を見たとき、瞬時に安心した。そのひとの髪の毛は白く、彼の年季を語っていた。身長はそれほど高くなかったが、その見た目からは威厳のようなものが出ていた。ルークが着ていた服を見て彼はこういう
「本当にコナー少尉かな?地球革命軍とはなんだ?・・・それにこのMS・・・ガンダムか?」
しかしルークは冷静に答えた。
「そんなに一度に質問されても仕方ありません・・・とりあえずもっとマシな服を下さい、その後に説明します、全てを・・・」
「これは失礼した。予想外の客に驚いて思わず、な。おい!誰かコナー少尉に服を持ってきてやれ!」
宇宙連邦軍の制服に着替え、これまでのいきさつを全てその人に説明した。その話を聞いた彼とかれの部下はまるでおとぎ話を聞く少年達のように驚いた顔つきになっていた。それも仕方の無い事だ、ルークはこのコロニーに来るまで、様々な奇跡を体験してきたのだから。
「・・・つまり、このMSはその地球革命軍が作ったもので、それを使って大気圏を離脱してここまで来た・・・こういう事か?」
コロニー代表がルークに聞く。
「そうなりますね。信じなくともおかしくありません、自分でも生きてるのが不思議で・・・」
そのコロニー代表は彼のオフィスの窓から今一度オルトロスガンダムを見てからこういった。
「いや・・・君の話が本当なのはあれが何よりも証明している。信じるよ。そう言えば紹介が送れたな、私は軍のものではないが宇宙連邦軍の側についているこのコロニー「オアシス」の代表フィノールだ。よろしく」
そう言うとフィノールは手を差し出した。ルークは彼の手を握る。
「よろしくお願いします。・・・オルトロスの整備は出来ますか?」
「うむ、そのことだが、ここの技術者達が言っていた事だが、整備は出来るらしい。それにしても奇妙な構造をしているらしいが」
すると、ルークは興味深い顔をして聞く。
「奇妙な構造ですか?」
「そうなのだよ。どうやらまるで足や腕の接続部が外れやすいように作られていたり、スラスターのそれぞれがメイン燃料タンクとジェネレーターに繋がっているだけでなくそれぞれ電池と小型燃料タンクを持っているらしい。私はMSは詳しくないが、言わさせてもらえれば、まるでバラバラになっても大丈夫かのような構造をしているようだな。奇妙だが・・・」
ルークはオアシスの技術者達がこの短時間でそこまで分かった事とその奇妙な構造に驚いた。そして彼は思い出す、コクピットの中にはやたら目立つ「D. L. System」と書かれたスイッチがあったが、使用中それだけは押さ無くとも起動した事を。もしかしたら・・・と思ったがそこでフィノールがルークに提案をする。
「まぁ、我々が考えても仕方ないので、又明日にしましょう。今日はともかく軍事施設の空き部屋で休息を取るといいでしょう」
ルークは考えるのを辞めた。
「そうさせてもらいます」
ガンダム デヴァイン 第4話
「休息」
次の日ルークは長い眠りからやっと覚めた。部屋を出ると早速オアシス軍事技術者の一人が彼を案内する。
「フィノールさんがお待ちです、どうぞこちらへ」
その人は長く黒い髪と四角いメガネが目立つ女性だった。彼女は案内しながらも他の技術者達の質問に答えていた。実はこれらの質問のほとんどはオルトロスに関する者だったが、ルークは目覚めたばかりだからなのか、気づかなかった。彼女はあるドアの前に立つと、それの横にあるロック装置をパスワードで解除した。
「私は忙しいので失礼します」
そう言うと、彼女は去っていった。ルークは中に入ると、フィノールがとりあえずは席に座れと言って、ルークは従った。その部屋は広いオフィスで、フィノールの机には様々な写真やMS開発書類などがあった。部屋にはオフィスである事以外の特徴はなく、しっかり働く男の部屋と思わせる感じがあった。そこでまずはルークが自分の今後について話す。
「これから私は軍の上層部に会わなくてはなりません。彼らに地球革命軍の存在を伝えないといけませんし、オルトロスもそこの方が安全です。」
するとフィノールは少し考え、ルークの意見に賛成した。
「そうだな。問題はその方法だが、実はこのコロニーで作られている戦艦があってな。それと一緒にMS部隊が前線に送られる事になったんだが、それにはしばらく時間が掛かる。そこで、その戦艦が完成し、部隊編成が完了するまでの間、ここにあるMS部隊とここを守ってもらう。地球に最も近いコロニーをな」
そこで会話は途絶え、二人はそのオフィスの外を窓を通して見渡した。そこにはオルトロスガンダムとルークが知らない新型機が3機あった。その3機の内二機は同じ種類のMSで、後一機は特に目立った外見だった。やはり、一年間近く離れていれば新しい量産期が開発されるのは当然だった。それを見てふと思ったルークはフィノールにある疑問を聞いた。
「私が居ない間、戦争はどうなったんですか?」
すると、フィノールは一瞬戸惑いつつも答えた。
「悪化した、としか言えない。君の話から推測すると、君が地球に落ちてから3ヶ月ぐらいで、帝国群はあらゆる手段で軍を強化している。数が少ない彼らはすさまじい技術力で不利な状態を一気に対等に渡り合える状況にしていた事だけはあるが。ついに彼らは、無理矢理人を軍に入れていると聞く。あくまで我が軍の諜報部の情報だが洗脳なども行っていて、18歳以上の制限を15歳以上にかえているらしい。」
奇妙にもフィノールは“あくまで噂”かの様に話していた。彼にはそれが信じられなかったのか。
「私の息子と、同じ年齢の子供たちがな・・・」
ルークは何も言わなかった。否、何も言えなかったのだ。そしてただ、ぎこちない空気だけが流れていた。すると、そこにさっきの女性が入ってきた。彼女はフィノールのディスクの前に書類を置いた。
「あのMS、オルトロスガンダムの解析が終わりました、これが書類です。あくまでこれは推測ですが帝国軍のMSの構造と似てるので実際は多少違うかもしれません」
フィノールはとりあえず書類を一目見て女性に礼を言う
「ありがとう。」
その書類にはオルトロスの解明された謎が多くかかれていた。その中でフィノールがまず目に留めたのはDLシステムの正体だった。そのシステムは本来ガンダムに使われる物ではなく、どうやら地球革命軍がそれを開発しオルトロスに搭載したようだった。
これを読んだフィノールはルークにその書類のそのページを開けたまま渡した。ルークはそこにあったDLシステムの説明を読んだ。
“DLシステムとは、Detachable Limbs Systemのことでその名の通り、機体の腕や足、頭部などと言った部分を空中で取り外し、その各所についているスラスターでAIによる自動回避、元の胴体に又空中で強力な磁石のような仕組みで元に戻ると言うシステムである。その磁石のような仕組みの原理は、自軍と比べオーバーテクノロジーである為、分からないが更に調べる必要がある。このシステムは決して攻撃用の物ではなく、あくまで攻撃を回避する事を目的に開発された者でその空中分離中は攻撃など出来るはずも無く、仮に出来たとしても、そんな事が出来るパイロットなどいる訳も無い。胸部についている拡散ビーム粒子砲も又、分離中の唯一の攻撃手段として着けられているようである。DLシステム自体は失敗ではないが、このMSのバランスが悪いのはDLシステムを実現するためだけに機体が複雑な構造になってしまっているせいだと思われる。又、この機体は試作型なのでDLシステムの簡略化を実現しようとするとおもわれる。簡略化が成功すれば理想的なシステムといえる。”
ルークは書類を机の上に戻し、ただひっそりと言う。
「こんな事が可能なんですね・・・」
フィノールはその言葉をきいて、面白味と皮肉を込めていった。
「君はとんでもない物を盗んだようだな。」
そう言うと座っていた椅子から立ち上がり、ドアの方に歩きながらも喋り続ける。ルークは目で彼を追う。
「敵かどうかも分からない相手のMSを盗んだ。それもただのMSじゃない、何とあのガンダムの設計思想に基づいたその軍の最新技術を使って作った高性能MSだ。やはりこの機体を可能な限り早く本部に送る必要があるな。少々危険だがここに残るよりは安全だ。明日本部に向かってもらう、それまでせいぜい体力を養ってくれ」
フィノールはそう言うと自動ドアを開けた。忙しいから今は出ていってくれと言う事か。やはり彼も忙しいようだ。ルークは立ち上がりドアの近くまで歩いてから軽く敬礼をして出ていった。疲れが残っているとはいえ、昨日の夜ぐっすり寝た彼は眠くはなかった。そのためどうすれば良いかわから無かった所、一人の若い兵士が彼の方に歩いてきた。その兵士はルークに対して敬礼すると話し始めた。
「このコロニーの専属防衛部隊所属のヒデキ・ハリマーです。明日のために緊急結成された“ガンダム輸送部隊”の一員であり、最新機“レオ”のパイロットです。よろしくお願いします!」
もちろん、“レオ”何て聞いた事も無いルークには何ともいえないが、とりあえずは頼りなりそうな男でよかったと思っていた。
「よろしく・・・」
ルークは、この時ふと地球で過ごしたある日を思い出していた。この間ヒデキはいろいろと話しながら、二人で軍事施設から出てコロニーの町中を歩いていた訳だがルークは適当に反応しながら思い出していた
地球におちてから4ヶ月がたち、ある程度の会話が出来ていたころ。一番自分の言っている事を一番理解してくれていた若い村人と森に食料探索していた。彼はポワルと言う名前でたくましい男だった。
ルークが地面に生えてるキノコをとろうとしたときにその会話は始まった。ポワルは少し慌てて彼を止めた。
「それは、危ないよ。」
そう言うと彼は自分の腹を抑える動作をして、説明したが、ルークはひとつの言葉しか理解できなかった。
「痛い。」
ルークはこれを理解し、キノコを取るのをやめた。そのあと、二人は更に森の奥へ行った。狩りの道具でもある弓矢(ルークには扱えなかった)を持ったポワルがルークの前を歩いていた。その時、ポワルは手で待てのサインをだし、二人は身を潜めた。自然の感覚がまだ無いルークには分からなかったが獲物を見つけたようだった。ポワルは弓を引き適当に放った様に見えたが見事に遠くにいた猪のような生き物をしとめていた。二人はその獲物を取り村に持ち帰ろうと歩き始めた。あまりの大物だったため二人がかりで運ぶ訳だが、この時ポワルがある質問を聞いた。ルークが一番強く覚えていたのはこの会話だった。
「ルークは、空に帰るのか?」
その村の人達はMSや、コロニーの存在が分かるはずも無くルークは“空から落ちたもの”として知られていた。ルークは下手な言葉で説明した。
「これから村に戻るのと同じ、私も帰らなければならない」
ポワルはこれを理解していた。誰でも、自分が来た所に戻るの当たり前だった。しかし、せっかく村以外の所から来た人と知り合ったのに、別れなければいけないというのは、彼にはもったいなさにも似た気持ちがあったのだ。だが、ここでポワル特有の冒険心が現れた。
「ならば私も行く」
・・・
「少尉?」
改めて周りを見たらコロニーの中は作られた夜になっていた。そこには出会ったばかりの若い部下が心配そうな目でこっちを見ていた。
「大丈夫ですか?やっぱり疲れてるんでしょうか?出発まであまり時間ありませんから寝るなら今のうちですよ」
ルークは何ともいえなかった。やはり疲れは残っていた。
「そうだな。・・・とりあえず、ありがとう。やはり私は戻って睡眠を取る事にする。」
次の日、ルークはヒデキ他のMSパイロットやクルーとともに戦艦“ブルグ”にのって軍の本部に向かった。恐怖のMSを持って。
第五話
「追撃者」
ルーク達がオアシスから出て5日近くが経っていた。先はまだまだ遠かったが後二週間でたどり着ける、が艦長の判断だった。
ルークはオアシスから出てから自分が地球の事ばかりを考えている事に気づく。彼が地球での体験はまるで子供の頃のおとぎばなしで聞いた場所に行くような体験だった。地球の事を考えて休憩室でコーヒーを飲んでいたときだった。ヒデキが部屋に入ってきた。
「少尉、少し話したい事があるのですが・・・」
部屋に入り、ルークの座っている椅子の前にあるテーブルの向かい側に座りながら話し始めた。ルークはコーヒーを見ていた顔を上げヒデキを見た。
「・・・なんだ?」
本当は話などしたくなかった訳だが、話を止める方法など思い付かなかったのでとりあえず応えた。
「少尉はオルトロスで逃げた時、追手がいたんですよね?その時は諦めたっていいましたけど、オルトロスのような重要な物をそう簡単に諦めるとは思えないのですけど・・・。」
ヒデキは心配そうに話していた。追手のMSも又ガンダムだと知って心配するのは仕方の無い事だった。
「そうだな。だが奴等に宇宙に上がる施設は完成していなかった 。少なくとも、俺がいたときはな。」
これを聞いてヒデキは安心していたようだった。しかし、この時逆にルークは心配し始める。そろそろ施設が完成してもおかしくなかった。奴等の施設が完成すればまずやる事はオルトロスを取り返す事だからだ。
サイレンがなり始める。ルークとヒデキはすぐさま反応し、ブリッジに向かった。アナウンスの声がまだ出てない事から、デッキに向かう前に状況を確認しようと思ったルークにヒデキがついていったのだ。
丁度二人が入って間も無い事だった。レーダーなどを担当の男の人が慌てて状況を説明していた。
「繰り返します!ほぼ全方向から未確認モビルスーツが7機接近中!」
艦長が冷静に命令し始める。
「モビルスーツ隊すぐさま発進準備!敵を近づけるな!」
すると、オペレーターが艦長を止めた。
「待って下さい。敵から通信が入ってきてます。どうしますか?」
これに反応するようにレーダー担当が言う。
「敵全機動きが止まりました。距離はMSの通信距離ギリギリです。」
艦長がしばらく考えた。ルークはこの時嫌な予感がしていた。
「囲まれてしまってはな。仕方ない、通信通せ!」
すると通信画面にはパイロットスーツとヘルメットで顔も見れない男が写った。声は低く、若干威圧感を感じさせた。その声はルークにとって聞き覚えのあるものだった
「この戦艦に、オルトロスガンダムと言うMS があるのは分かっている!大人しく渡せば危害は加えないと約束しよう。さもなくば・・・言わなくとも分かるよな?」
この言葉には艦長は頭を抱えた。せっかく手に入れたガンダムを手放す事など出来なかった。かといって、少なくとも数では圧倒的に勝っている敵に逆らう事はクルー全員の命を危機にさらす事だった。しかし、艦長が答えをだすまえにルークが口を開いた。
「おまえ・・・地球にいた奴だな?諦めが悪いな」
この声に相手も反応した。
「ふん・・・そういうお前こそ、他人の物奪ったらこの様だろう。良いか、よく聞け。お前が乗っている戦艦のクルーの命が今危機にさらされているのはお前のせいなんだぞ?」
彼の言っている事は真実だった。しかし、ルークは不安にもならなかったし、恐くなどなかった。ルークの行動に艦長は決断を下す。艦長はオペレータに目をやりうなずくと、突然通信が切られた。
「全MS発進だ!ルーク、お前もオルトロスで出ろ!その方がオルトロスも安全だろう。」
「わかった」
そう言うとルークはあます時間無くデッキへと向かった。そこには既にレオ一機とオルトロスしか残っていなかった。ヒデキとルークはそれぞれのMSに乗り発進した。発進した先は既に戦場で敵の量産型MSもルークがやりあったことの無い物だった。しかしそのMSらは何処か猛犬を連想させる物があった。こっちが5人に対し相手は7人と言う不利な状況である為、敵のMSはもちろんルークにも胸部にある粒子砲で撃ってきた。それに構う暇も無いルークは真っ先にエウリュアレの方向に向かった。その時敵MSが二機付いてきた。
「他の奴等はなにやってんだ?ヒデキ、今二人に付けられている、俺にこいつらの事を構ってる余裕はない。何とかしてくれ」
「了解!」
そう言うと突然一つの光線が付いてきていたMS一機の胴体を貫いた。これを見て安心したルークはエウリュアレにねらいを付けビームライフルを何発か撃った。しかし、高い機動力を誇るエウリュアレは難なく避けオルトロスの方へと向かった。
「決着を付けさせてもらうぜ!」
パイロットはそう言いながらエウリュアレのビームクローを展開させていた。これに気付きルークはすかさずビームサーベルでクローを止めた。この時エイリュアレの肩から何か霧のような物が出たと思うとオルトロスに異変が起きた。それは急にシャットダウンしたかのように動かなくなったと思うとルークの目に前にある画面にノイズが入ってきた。
「しんが・・・いき・・・りょく・・・うだ!」
エウリュアレのパイロットから入ってきた通信さえノイズのせいで上手く聞き取れなかった。何が起こっているのかが分からないままオルトロスに突然衝撃が走り後方に勢い良く動き始める。するとノイズが霧が晴れるように徐々に消え、やっとカメラが見えると思うとエウリュアレはまたビームクローを構え急接近していた。
さっきの衝撃でビームサーベルが手から取れたらしくもう一つ取り出す余裕が無いルークは上に避けたが、この時さすがに避けきれずオルトロスの右足がビームクロウによって破壊されてしまう。しかし、ルークはこれにひるまずにエウリュアレの背後へと周り、翼の形をしたスラスターを掴むと残った左足をエウリュアレの左肩につけ、そのままスラスターを引き千切りはがした。
「なに!?」
エウリュアレのパイロットは驚きを隠し切れずにいた。エウリュアレはスラスターが壊れていた事もあって素早く振り返る事が出来ずにオルトロスに後ろからしっかりと掴まれてしまう。背中のスラスターが取れてしまった事とビームクロウで背中に攻撃できない事が重なりエウリュアレにはどうする事も出来なかった。ここで何も殺す事はないと考えたルークはそのままエウリュアレごとブルグのデッキに突っ込みブルグ内の地面にエウリュアレを押さえつけた。この時ヒデキから通信が入る。
「敵が退却しました、どういう事でしょうか?」
これにルークは答える。
「頭を叩かれたヘビは死ぬしかないって事だろ?隊長機を抑えたからだ」
これに対してヒデキは察する。
「でも退却するって事は敵にも戦艦があるって事ですよね?」
「そうなるな・・・」
ルークはオルトロスをエウリュアレの上に乗せたままオルトロスから降りる。
しばらくして、出ていったレオが一つ少なく帰還する。ルークは当然帰ってこなかった人を知っている訳ではなかった、悔しそうな顔で帰ってきたレオを見ていた。
すべての残りパイロットが残った後エウリュアレのパイロットとブリッジから交渉が始まった。交渉と言うよりは拷問だったかもしれないが。そこにはヒデキとルークもいた。
「とりあえずそのガンダムから降りてもらおうか?」
艦長が通信を通してエウリュアレのパイロットに話し始める
「まずオルトロスをどかしてくれ」
パイロットの反抗的な声が聞こえてきた。しかし、戦闘が始まる前程は威厳を感じない。
「分かった、だがもしも妙な動きをした場合は撃つ。」
そう言うと艦長はルークとヒデキをデッキに向かわせた。ヒデキはレオに乗りルークはオルトロスに乗ってエウリュアレの上からどいた。これが右足が無いため又難しい作業だった。結局ルークは横に倒れるようにどいた。この後エウリュアレはゆっくりと立ち上がり、ひざまずき、コクピットハッチが開いた。エウリュアレから出てきたのは金髪の若い男だった。ヘルメットを外したパイロットは彼に拳銃を構えていたメカニック達に対して手を上に上げていた。ルークも倒れていたオルトロスから降りてその男を見た。男を彼を睨むように見た後、メカニック達にブリッジに向かわせられた。
ルークがブリッジにたどり着いた頃にはその男に手錠がかけられており、丁度艦長との話が始まっていた。
「・・・で、まずお前の名前はなんだ。」
「捕虜の名前なんか聞くのかよ?」
男の反抗的な態度は変わらずだった。
「これから色んな事を聞く事になるんでな。名前を知っていた方がやりやすいだろ?」
「は!俺は口が堅いぜ!お前らにやる情報なんて無いね!」
このセリフに艦長は呆れていた。
「名前すら教えてくれないのか?少なくとも政治的に我が軍がお前の軍と敵対関係かどうか知らないんだぞ?地球革命軍が何のためにあって、どういう成り行きで作られたのかは見当も付かないが、我が軍と敵対関係になる理由私には見当たらないが。」
これに対してそのパイロットは少し考えた。
「・・・デビッドっていうんだ俺は。スワン・デビッドだ。」
「ありがとう、デビッド。あのガンダム二機の質問はまだしないとしても、せめて地球革命軍に関してもうちょっと教えてくれないか?」
いつのまにかデビッドには最初あった反抗的な態度が縮んでいた。しかし、彼のいう事は変わらなかった。
「お前らに話す事なんか無いっていってんだろ。」
しかし今度は彼の声には震えるような不安が感じられた。
結局、デビッドからはなにも聞き出せずに一日が過ぎた。デビッドは独房に入れられ、次の日彼から又情報を聞き出そうとしたときに宇宙連邦軍本部から通信が入った。
「先日、我が軍に“地球革命軍”と名乗る軍隊と交渉した結果、彼らと友好関係を築く事が出来ました。軍的活動目的が一致しており、これからは友軍として共に宇宙帝国軍と戦う事が決まりました。地球革命軍と名乗る者たちと交戦中の部隊は直ちに戦闘中止をして下さい。」
デビッドは全てを話した。
第六話
「狂気、絶望、そして恐怖へ」
何時間寝ただろうか。戦闘後、ルークはいつも眠くなる。そのためデビッドが話した情報はほとんど聞かずにいた。敵ではないのならそいつが何ものなのかなんて関係無いのだから。
目が覚めて少し時間がたったあと、デビッドがルークの部屋に入ってきた。
「入るぜ?」
ルークは何も言わずにただ入ってくる彼を見た。彼は背が高かったため一人用の部屋にいささか狭そうに見えた。その狭い部屋の中、何とか椅子に座るとルークは挨拶もせずに問い掛ける。
「何の用だ?」
デビッドは少し驚いた表情を見せた後、答える。
「いや、何。礼がいいたかっただけだ。俺を殺さないでくれてありがとうってな」
ルークはがく然とした。しばらく何を言えばいいかわからずに時間が過ぎたがルークが何か言う事を思い付く前にデビッドは又話し始める。
「でもなんで殺さなかったんだ?背中のスラスターを引き剥がす暇があったらビームライフルを撃った方が安全だし、俺を助ける理由なんて何も無かったはずだ。」
この質問にルークは首を下げて考えた。彼自身にも良く理由が分からなかった。ただ・・・
「何も殺す事はないなって思っただけだよ。この戦争のためには既に十分すぎる血が流れたっておもってな」
この言葉にデビッドは感動したのか、真剣な表情になっていた。しかしここでデビッドは会話を明るく終わらせる。
「まっ、何はともあれ、これからは味方同士。よろしくな。」
そう言うとデビッドは手を出し、ルークも手を出して握手をした。その握手が終わった後彼は部屋を出る際にいいのこす。
「聞いたかどうか分からないが、これからこの戦艦と俺が乗ってきた戦艦“ブラト”は帝国軍から今無防備状態になっている地球を守るために地球に向かう事になった。俺はブラトにもどる、じゃあな」
部屋の自動ドアは閉まり。ルークはこれから地球に戻ると言う事から自分が地球でしたある約束を思い出し、自分の服の中からネックレスを取り出し見つめていた。緑色の宝石の周りに木などを彫って作られた見事なデザインの物だった。彼はそれを地球に落ちる前には持っていなかった。
「昔からな、こういう言い伝えがあるんじゃ」
何とか思い出せる村長の顔を思い浮かべながら、彼が言った事を思い出していた。
「“空から人が降りしとき、空の上で争いごとが起こりし証である。その人に地球の素晴らしさを伝える事が出来れば、争いごとを止め、避ける事の出来ない災いを防いでくれるであろう”とな・・・。ワシは詳しい事を知らんがお前には教えられる事を教えたつもりじゃ。どうか、争いを止めてくれ」
そしてルークは自分がその時言った事を口に出してもう一度言った。
「俺にそこまで力があるかどうかは分からない。だが、出来る事はする、必ず争いを止めて見せる。」
ルークはその後自分の服の中にそのネックレスを戻した。その後、ルークは自分の部屋から出るとブリッジに向かった。ブリッジにたどり着くと戦艦の正面から右側に見た事の無いあおい戦艦があった。ブラトであった。ルークは艦長と話をして、地球へは急いで向かわなければいけないため、オアシスで補給を受けるのも含めて4日かかると言っていた。ただ、ルーク達が乗っていた戦艦“ブルグ”は大気圏突入が出来る訳ではないのでブラトに乗せられるだけ乗せてブラトで大気圏突入をする事になっているようだった。この時艦長はルークにもう一つある重大な事を教えた。
「これはお前にしか言えない極秘情報だが、実はお前の乗っているオルトロスとデビッドのエウリュアレのデータを本部に送った所、そのガンダム二機のデータを元に連邦性ガンダムの開発が決まったらしくそれのテストパイロットを早くもお前に決めたらしい。だから地球にオルトロスを戻した後、お前には本部に向かってもらう」
「わかりました」
ルークは自分が選ばれる理由も分かっていた。今連邦軍でガンダムに乗った経験があるのは彼だけだったし実際、行方不明になる前の彼はちょっとしたエースだった。最も行方不明になって又発見されるまではK.I.A.(戦死)扱いされていた。ヒデキもまたブリッジに入ってくる。彼はルークの姿を見るとすぐに話し始める。
「昨日の敵は今日の友!昔の人は上手い事言ったね。あれ、逆だったっけ?」
何となく喋りながらヒデキはルークに近づく。ルークはヒデキの言葉を無視しながらただ外を眺めていた。地球の方角を心配そうに見つめるその目は真剣そのものだった。
4日後、ブルグとブラトは予定通り地球にたどり着いた。しかしそこでルーク達を待ち受けていたのは帝国軍の5隻もの戦艦であった。まだ帝国軍側はルーク達に気づいてはいないようだったが、今から地球に入ろうとしているかのようにも見えた。地球の前に来ておきながら何をためらっているのかはルークには理解できなかったが、じっとしている訳にも行かずヒデキと他パイロットを一人を連れてMSを使ってブラトに移った。ブルグは大気圏突入の機能が無いため、オアシスコロニーにて敵戦艦の動きを見て待機するとの事だった。今戦闘を始めるのは得策ではない。まずは補給と援軍を手に入れた方が良いと判断したのだ。
ブラトの艦長が戦艦に乗っている人達全員に艦内放送を利用して伝える。
「これから、地球の大気圏内に突入する。各員位置についてくれ」
デビッドの隣にいたルークは頭に浮かんだ疑問を聞いて見る
「大気圏突入はした事あるのか?」
デビッドはルークの質問に普通に答える。
「テストならした事あるらしい。安心しろ、少なくともMS一機で突入するよりは上手く行くはずだ。」
ブラトは直接地球革命軍本部に向かう経路をたどり、敵戦艦に見つからずに大気圏突入への姿勢を整えた。既に一度大気圏突入を経験しているルークにとっては予想以上に問題無く成功した事に驚いていたが、気がついた頃には地球革命軍本部の上空だった。
地上に降りるとデビッドは早速、本部に到着した事と地球のすぐ外に敵が待ち構えている事を伝えに行った。また、ブラトの乗組員達は補給やら整備やらで忙しく、ルークとヒデキと後一人のパイロットのみが何もする事はなかった。そんなルークがあたりを見渡していると、あるMSが目に入る。そのMSは紛れも無い「ガンダム」タイプだったが、オルトロスやエウリュアレとは全く違った設計思考のように見えた。というのも、装備されている武器は種類が多く又、一つ一つが大きかった。カラーリングは地球では保護色の薄い茶色と緑だった。しかし近距離用の武器は見当たらずどうやら後方支援機のようだった。
もっと良く見るために近づいていると技術士が一人近づき、手を広げてルークにつきだしながら言った。
「下がった、下がった、今からテストするから近くにいると危ないよ。」
気づいたように彼を見るとルークはゆっくりと後ろに歩き始める。技術士がルークから離れていくと今度はそのガンダムの下にパイロットスーツを着た男がいる事に気づく。男はまだヘルメットを被っておらず、少し長く黒い髪をなびかせていた。ルークは彼の事を男だと思っていたが少し見えたその表情は何処か女らしさや怪しい色気すらあったように見えた。そしてこの感覚はルークを怖がれせた。彼には何処か不自然な非人間的な何かがあったように感じたからだ。しかし、そのパイロットの顔を覚える暇も無くデビッドが帰ってくる。これにルークはとっさに反応する。
「早かったな?」
「ああ、地球のすぐ外にいるあいつらは一週間近く前からいたらしい。」
ルークはこれを聞いて驚く。
「いったい何でそんなに長い間何もせずに外で待機してるんだ?」
デビッドは少し考えてから不確かに言う。
「俺にも分からないがガンダムの情報が欲しい可能性は高い。」
しばらくしてルークは思い出したように質問をする。
「そう言えば地球革命軍ってどうやって誕生したの?」
デビッドはすんなり答えようとした。
「俺達は宇宙革命軍から・・・」
しかし彼の言葉は警報にかき消される。
「大気圏内に敵が入ってきました!MS部隊は直ちに出撃して迎撃に向かって下さい!」
ルークはブラトの方に走り始める。デビッドとヒデキは後を追う。しかしここで思わぬ事態が発生する。テスト出撃をしようとしていた「ガンダム」タイプのMSが施設を破壊し始める。これに気づいたルーク一行は一瞬と惑い、更に速いスピードで走る。全員がMSに乗り込み出撃するのにはそれほど時間はかからなかったが外に出た頃には暴れていたガンダムの姿は既に遠く、敵と合流していた。しかし、空を飛ぶ事が出来る宇宙帝国軍のMSに対し地面をホバーリングするような動きしか出来ないそのガンダムはその敵MS二機に持ち上げられ敵の戦艦の上に乗っけられた。その乗っけられた場所はブリッジのの中ではなかった。それは戦艦から攻撃できるようにするための工夫だったのだろうがそれをするにはそのガンダムの情報が無ければならないと言う事になる。
エウリュアレガンダムから通信が入る。
「こうなったらガンダムごと、敵をせん滅するしかない!」
そう言うとオルトロスの隣に立っていたエウリュアレはスラスターを展開させて飛んだ。エウリュアレとレオ二機も後を追うように飛んだ。無論レオは地球での戦闘を意識して開発された機体ではないので飛ぶと言うよりは大きなジャンプをしていた。しかしエウリュアレとオルトロスの先の戦闘からの修理も応急処置的な物でしかなく、特に元々不安定なオルトロスは更に言う事を効かなくなっていた。ルークはふと不安げな顔を見せた。そしてあまり大きいとはいえない声で味方全員に通信を入れる。
「皆、死ぬなよ」
しかし、皆も不安なのか、返事はしなかった。そして、ついに敵と至近距離になりはじめた。前に出たルーク達四機の後ろにも地球革命軍の援軍か来ていた。しかし彼らがたどり着くのには時間がかかりそうだった。ついにルークたちは威嚇射撃を始める。宇宙帝国軍の新型MSはその高い機動力で難なく避けてしまう。そしてその避けた位置からガンダムからのミサイルが二発オルトロスをめがけて飛んできた。ルークは避けだが、通信からデビッドの怒鳴り声が聞こえた。
「ばか野郎!アーズガンダムのミサイルは誘導性がたかいんだよ!」
するとエウリュアレは素早くミサイルをビームライフルで撃ち落とした。そこから混乱が始まった。敵の数は15体以上いた。ルークもデビッドもただただ手いっぱいだった。すると地面から敵MSを狙い撃ちしていたレオが一機破壊されヒデキが乗っていたレオも攻撃を受けていた。しかしヒデキは敵を一機も落とす事が出来ず、ついには退却を始めたがそれでも3機彼についていった。そのうち一機をオルトロスは後ろから切り掛かり倒したが他の二気に撃たれ、オルトロスはついにDLシステムによって空中分解する事によって攻撃を回避したが元に戻ったときには既に遅くヒデキのレオにはビームライフルによるきれいな穴が出来ていた。
「うわぁぁぁぁー!」
爆発するレオを見て、ルークは理性を失う。
「おまえらぁー!」
自分の身をかえりみない狂暴さで残りの敵MSを破壊するオルトロスはまさに怒り狂う猛犬のような姿だった。しかし、その怒りも悲しく次なる悲劇が起きる。エウリュアレの護衛に戻ろうとエウリュアレの方向に向かったオルトロスは敵の砲撃によりDLシステムが何度も発動しエウリュアレの方向に近づく事が出来ずに遠くから見ていた。流石の近距離戦闘型MSだけあってそのビームクロウを使っていくつもの敵を倒していたが周りの攻撃が手薄になった事を利用してアーズガンダムが乗る戦艦にビームライフルを二発命中させ、当たり所良く戦艦は空から落ちていたがおちながらもアーズガンダムは背中のビームランチャーを二発撃つと一つは右腕に、もう一つは左足を貫きスラスターを爆発させた。エウリュアレは誘爆しなかったが翼を切られた鳥が如く地面に落ちていった。目的が変わったルークは自分の近くにいる敵から次々と撃墜していったが、エネルギーも残り少ない事には彼は気づかなかった。しかし、ここで彼を少し冷静にする通信が入る。
「ルーク、退け!地球革命軍基地は壊滅だ、ブラトが大気圏離脱できなくなる前に、早く!」
これを聞いて、戦場を見渡すと、それが負け戦であると言う事が一目瞭然だった。敵のMSの性能は地球革命軍と比べ物にならず、それは戦闘と言うよりは虐殺に近い形になっていた。これを見たルークは機体を急加速させ帰還し始めた。そしてブラトに乗る直前にアーズガンダムのパイロットから通信が入る。
「逃げるのか、ルーク!」
しかし、ルークは止まりもせずにブラトに乗り、ブラトは発進した。発進した直後大気圏離脱の為の施設の自爆装置が作動し爆発した。追手が来ないようにするためであった。間一髪で逃げたブラトはあちこちにきづがついていたが難なく大気圏離脱に成功した。
まだオルトロスに乗っていたルークはただ静かに自分に言い続けた。
「ちくしょう・・・必ず、必ず・・・。」
第七話
「生きる価値、殺す価値」
ルークは一人、「オアシス」と呼ばれるコロニーの個室で座り込んでいた。
帝国軍は地球にある大気圏離脱用施設の存在を知っていて、攻め込んだのか、地球大気圏外には敵の戦艦が一隻も残っていなかった。そんな事もあり無事、オアシスに帰還したルーク達は補給を受けていた。
そんな彼の元にブルグの船長がやってきた。彼はルークの座っていた椅子の前にあるテーブルの反対側にある椅子に座ると、そのまま無言で手に持っていた飲み物を飲んでいた。
「そういえば、まだ自己紹介してなかったな・・・」
突然彼は喋り始める。一度だけ飲み物をすすり、彼は続けた。
「お前がブルグに乗ってからそんなに立ってないが、本当にどたばたしていたからな・・・」
彼はいったんコップをテーブルに置くとルークの顔を覗くように見ているが、ルークは黙ったままである。
「ヴィンスっていうんだ、俺は」
黙ったままのルークに、ヴィンスはただ話を続ける事しかできなかった。
「ヴィンスって名前は征服って言う意味らしいんだが、いったい何で俺の親が俺にこんな名前を付けたのか・・・今だ分からないのだ。ルーク、お前はお前の名前の意味を知っているか?」
ルークはやっとヴィンスの方を見る。彼にはヴィンスの話の意味がいまいち理解できなかった。
「この前知ったんだがなルークって言う名前は、光、という意味らしい。知ってたか?」
これに対しルークはやっと口を開く。
「知りませんでした。でも、それが、だからどうしたんですか?」
この問いに対してその場はしばらく静まり返っていた。しかしこの間ヴィンスは決してルークから目をそらさず、瞬きすらしなかった。
「お前は、知らないかもしれないしただ自分が生き残るために今まで戦ってきたのかもしれないがな。ここの人達にとってお前は希望の光なんだよ!そんなお前が・・・仲間が死んだ事で一番落ち込んでいるようじゃ、もうここには光など無いと言う事になるんだよ!このオアシスコロニーで一番MSでの戦闘経験があるお前が、あのボロくさい暴れ馬のようなガンダムをまともに使えるお前が!ここで頑張らなかったらきっと戦争にも負けちまう!」
基本的には冷静なヴィンスも状況ゆえか熱くなっていた。だがルークは元々、特に話が上手な人間ではないいう事を彼自身自覚していた。
「ヴィンスさん・・・俺は特別な人間なんかじゃありません。誰にでも才能と言う物があるように俺はMSの操縦が得意なだけです。いまは人を殺す事しか俺には出来ないのです。」
ヴィンスは一気にコップに残った飲み物を飲み干すと、静かにルークに言いながら部屋を出る。
「確かにお前は特別な人間ではないかもしれない。だが、お前の行動力に感動した人間がいる事は事実だ・・・それを考えてくれ」
そしてそれから、重い雰囲気の中、静かに日々がすぎた。地球の状態は中央部に知れ渡りオアシスコロニーには大量の応援と地球の監視命令が下され、そのまま8ヶ月も過ぎ、やがて宇宙での戦場はなくなっていた。連邦軍は既に戦争に勝っていたと思っていたが、なんと意外な事に帝国軍の王と呼ばれていたシルコア・ザッシュ大将は地球突入部隊と共に地球に入っており、何と八ヶ月もの間連邦軍の諜報部の情報網に引っかからずにいたと言う事である。
そして・・・
長き間にわたり沈黙の星となっていた地球からついに彼らは現れる。
ブルグのデッキにルークはいた。技術士やらパイロットやらでにぎわっているそこは、いつでも戦えるように人はただ準備を進めるだけであった。だがルークは違った。心理的な意味も含めルークは戦う準備ができていた。ルークの前にはほとんど純白のモビルスーツがあった。決して派手では無く、他のMSと比べ小柄だが、およそ神秘的な印象を与えるデザインの「ガンダム」タイプであった。
そのガンダムを見つめるルークに技術士が一人近づいてきた。
「コナー中尉、デヴァインの調子はどうですか?」
デヴァインとはルークの前にあったガンダムの名前であった。デヴァインガンダムの開発に関わっていたナオミと言うなの女性の声であった。
「デヴァインは凄いよ、このサイズでエウリュアレ並みの機動力を持ちながらB.G.システムを搭載しているんだからな。」
口は誉めてはいたが何処か不機嫌な表情を彼女に見せながら言っていた。
「・・・相変わらずですねー。でも、デヴァインの本当の素晴らしさは戦闘に入れば分かりますよ。」
しかし、彼は反応を見せてはくれなかった。只デヴァインを見つめるばかりであった。
「本当は戦闘なんか起きない方が良いんだけどな・・・」
ルークはつぶやくように言ったがナオミは全く聞こえなかった。
「そう言えば、中尉はドラフトで軍に入ったんですよね?軍に入る前は何をしていたんですか?」
ナオミは少しでもこの男の正体を知りたいのか、あるいは興味があるだけなのか、何となく聞いてみた。
「・・・先生だよ。」
「え?」
「学校で美術の先生をしていた。もう三年以上前の話になる。」
ナオミにとって意外であった。このような男が元々は先生だったなどとは思いもよらなかったのだ。
「・・・この戦争は長引きすぎたんでしょうか?」
ルークはこの問いに少し考え込むような表情を見せた。
「歴史が俺達に教えるのはただ、これ以上に長い戦争が以前にあった事だけだ。長すぎようが短すぎようが、俺はもう懲り懲りだ。だから、戦争は終わらせる。終わるのを持っているだけじゃもっと長引くだけだからな。」
「はい!デヴァインで終わらせて下さい!」
そう言って、無理矢理ルークと握手をするとナオミは何処かへ去っていった。
ルークはその後デヴァインの整備が終わると自分の部屋へと帰っていった。
そして翌日、戦争の勝敗を決める戦いついに始まった。
地球からついに帝国軍の残りが姿を現した。それは大艦隊で戦艦一つ一つの周りにはあの地球での悲劇を起こしたMSがたくさんいた。ルークはブルグにデヴァインと共に乗り戦場へと向かった。戦闘が可能な距離になるまでの間ルークは自分の乗るMSから決して離れなかった。どんなことがあってもすぐに出撃するためであった。そして小隊の隊長だった彼に新しく与えられた部下達は彼を見習っていた。それは新しい配分であって、ルークは自分の部下達の名前すらまだ覚えていなかったが、彼らの命を守ると言う責任感も感じていた。
出撃まで残り時間はわずか・・・その状態になってルークは、地球でアーズガンダムを奪ったあのパイロットを思い出していた。諜報部の見つけた情報によれば帝国軍は昔から禁断の技術とされるクローン技術を応用して新しい人間を作っていたと聞き、その計画によって生まれた人間は「アダム」と言う名を与えられていた言う事を知っていた。そしてルークはその報告書を読んだときから理解していた。アーズガンダムを盗み、地球を奪い、たくさんの人を殺したあの男は、アダムだと。
次の瞬間、放送が流れ、出撃命令が下った。ルークは素早くデヴァインに乗ると、出撃をした。ルークより先に出ていた味方MSは居なかったが敵はカメラにはっきり映っていた。その数は確かに多く、150体から200体いると言う感じだった。しかし味方の、つまり連邦軍のMSの数はその2倍はあった。戦う前から勝敗は明らかであるように思えた。味方を連れ、敵に近づくルークは敵の中に未確認MSを見つける。
「あれは・・・!?」
それは黒いガンダムであった。翼の形をしたスラスターを持った異様な形のガンダムであった。そしてルークは勘でわかったのだ、そのMSに乗っているのはアダムであると。
白と黒、全く対極的な二つのMSはお互い正面にいた。しかし黒いガンダムは白いガンダムなどには興味を示さなかった。そのガンダムは急に両手を背中へと伸ばし、スラスターについている取っ手を掴んだと思うとそれを外し振り下ろした。
一瞬であった。振り下ろした片手に一つずつのスラスターの先からは、止まる所を知らない赤く細く強い光スラスター一つにつき五つも出ていた事にルークは気付いた。そしてルークの左と右の後ろにいた味方MSのほとんどが爆発した。ルークには正確な数は分からなかったがその数は一つや二つではなかった。
「貴様!何だってこんな事をする!もう戦いが終わってもいいだろう」
困惑している味方も敵もうかつに動けなかったようだった。
「なぜ?当然だろう。これが人間だからだ!」
通信にその声が入るとドレッドはルークのデヴァインに向かってそのスラスターを振り当てた。ルークは避けようとしたが、十もの光は避けきれずに当たってしまった。しかし、当たった光はデヴァインのBFGシステムによって中和された。しかし、その一回だけでエネルギーがかなり消費された事に気付いたルークはすかさず接近する。
まだ自分の攻撃が効かなかった事に驚いていたアダムは何とかスラスターを背中に戻すと急加速をして姿を消す。そして、あたかもそれがきっかけであったかのように戦場が激化する。アダムは方向転換を繰り返し、ルークをばらまこうとしたがルークは後ろから離れずにいた。
「これが人間だと!自分が本当に人間かどうか怪しい奴にそんな事を決める権利など、あるものか!」
そして、いつのまにか連邦軍の戦艦の近くに来ていた。ドレッドは急に動きを止め、又背中のスラスターを外した。アダムが何かをする前にルークは止めようとビームサーベルを取り出したが、一手遅れた。アダムはさっきの武装を使って戦艦を攻撃し、爆発させた。そしてルークはその衝撃と光でドレッドを見失ってしまう。爆発が収まり残った残骸のみがカメラに映る。しかし、ドレッドとの通信はまだ繋がっていた。
「私は人間だよ。人間が進化したのだ。だから分かる、人間は滅びるしか価値の無い生き物だと言う事がなぁ!」
するとさっきの赤い光が突然何処からとも無く現れた。ルークは必死に避けながらも光の元へ向かおうとする。だが、カメラに映るのはまだ青い地球と戦場の光だけであった。
「お前も人間なら、分かるはずだろうが!そんな事はとんでもないうそっぱちって事が!」
そう言うとルークはがむしゃらに前進をした。そしてその黒き影は、地球の光によって徐々にその姿を見せはじめた。しかし、ドレッドはスラスターを手に持ったまま動かない。
「うそっぱち?・・・うそっぱちだと!?お前にはあの地球が、あの美しい光が見えないのか!?人間は生みの親である地球を傷付ける生き物なんだぞ!?そんな生き物に存在価値はない!パラサイトと同じようになぁ!」
アダムはそう言って赤い光を激しく振りまわす。その複雑な動きはルークでも避けきれず凄い勢いでエネルギーを減らされていった。しかし、それでも前進を止めなかった。そしてやっとたどり着き、アダムも攻撃を止めたと思うとビームサーベルを横に振った。しかしアダムはスラスターを手に持った状態で起動させる事で、後方に高速移動した。そしてスラスターを背中に戻すと上に逃げた。
「人間はそんな事も乗り越えてるじゃないか!人間のいない美しさなんて、そんなものは!こんな美は!意味が無い!」
ルークは上を見たがドレッドは何処にも見当たらなかった。そしてルークはエネルギー残量を見ると、既に20%以下の危ない常態にあった。これ以上BFGシステムを使う事はできないと判断したルークはそのスイッチを切った。しかし同じに彼は思った、もう自分を守る物はないと。
「人間を殺した所で何も良くなんてならないんだ」
ルークのこの声はアダムに聞こえていたかどうかは分からなかった。レーダーの射程距離外にいるのかドレッドの反応はなかった。しかしあの赤い光はそれでもルークの所まで届く。ルーク達は戦場から若干離れており地球の近くにいた。
そしてその場は静まり返っていた。
「本気で信じているのか。そんな事を。」
アダムの声が通信から流れる。しかし、ルークは何も言い返さなかった。
「ならばもう手段は一つしかないな。」
するとルークは遠くで浮遊物の陰から出てくるドレッドの姿が見えた気がした。
「すべての人間をこの手で、滅ぼしてやる!」
その瞬間その方向から又あの光が無数に現れた。ルークはデヴァインの特性ビームライフルを取り出し遠距離仕様に素早く設定しドレッドに急接近しながら可能な限りのスピードで連射した。しかし一発も当たらなかった上に半分の距離の所で破壊されてしまう。この時には既に最高速が出ておりルークは引き返そうとは思わなかった。そして、丁度避けるのが困難になり始めていたときに赤い光は突然ぷつりと止まった。この隙を突いたルークは、スピードを一気に下げる事も間に合わないと判断し、そのまま体当たりをし、ドレッドが何もできないように腕の上から掴んだ。そしてそのまま前進しさっきドレッドが破壊した戦艦の残骸の中に突っ込み壁に激突した。
「愚か者が、このようにしがみついていてはお前も何もできないだろうが!」
「確かにそうだなアダム、だから勝負は一瞬で決まる。」
それ以上の会話はもはや必要なかった。デヴァインが手を放した後、先にビームサーベルを取りだし相手を先に攻撃したもの勝利であった。しかし、ルークには、一つだけ、聞きたい事があった。
「アダム、本当にここでお前かおれが死ななければいけないのか?他に道はないのか?」
「それがこの世界の掟だ。力があり、勝利を収めた者が正義を決める権利を手にする。さあ、私が間違っていた事を証明してみろ!できる物ならな」
この答えにルークは少し引っかかったが、もう覚悟を決めるしかないと思った。
「そうか」
その言葉を合図にデヴァインは手を放した。手が自由になった二つのモビルスーツは同時に右手をビームサーベルに伸ばした。ほぼ同じタイミングで切り掛かった、しかしルークはドレッドのビームサーベルを持っている腕を、アダムはデヴァインのコクピットである胴体をねらいそこに違いが生じた。ドレッドのビームサーベルは上からデヴァインの肩に傷を付けただけだった。デヴァインのビームサーベルは下から上へドレッドの腕を切り爆発させた。アダムはすかさず左手でビームライフルに手を伸ばしたがそれに気付いたルークは心を痛めつつもビームライフルに手が届く前に横になぎ払い胴体を切った。そして命中する前にアダムは言い残す。
「それでいい」
そしてルークがその声を聞いた時には既に遅く、ドレッドは爆発してしまった。
「うわぁぁぁぁぁ!」
耐え切れずルークはコクピットの中で叫び、泣いた。戦争の終わりを告げる戦いが幕を閉じた瞬間であった。帝国軍の敗北と言う形で戦争は終わったのだ。
エピローグ
戦争は終わった。そして、人は本格的に地球に移住し始めていた。そして人々は長い間忘れられていた故郷の美しさに最初は感動を覚えたが、それもやがて忘れられた。
軍を辞め、自分の部屋でルークはくつろいでいた。彼は戦前に自分の勤めていた学校を失っていた。そのため、新しい就職先を探していた。トラウマこそはあるが、彼は密かな情熱を持つ人であったため、先生を続けようと思っていたのだ。そんな時、彼の家にある人物が訪問した。
彼が住んでいたアパートの部屋にノックをする音がした。
ルークがドアを開けると、そこには見覚えのある顔が見えた。軍隊の制服を着たデビットであった。
「よう。」
「よう、元気か?」
「おかげさまでな。」
「例のことはどうなったかわかっているか?」
「残念ながら、何もわからねぇな。俺の権限じゃ首もつっこめやしない。」
「そうか、何事にもならなければいいが」
「そのためにお前がいるんだろ?
亀裂戦争の英雄がよ」














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