綾瀬川弓親の始末書追加詳細前編
先日起こった湯殿での騒動の顛末の詳細を、僕、十一番隊五席、綾瀬川弓親がここに書き記そうと思う。
事の発端は、僕がいつも通り同隊三席副官補佐の斑目一角を湯殿に誘った事だったのだろう。
「一角、もうそろそろお風呂行かないかい?」
僕がそう声をかけたのは、一角が手合わせの相手を倒した直後だった。
十何席だったか忘れたが(僕は美しくない者の名前まで憶えていられないので)、兎に角、十一番隊上等武闘場の壁に醜く貼付いていた。
「早くねぇか?」
いつも通り一角が答えたが、その醜いもの(憶えていない、というか、思い出したくもない)を貼付かせた壁の上部にある窓から差し込む日の光は傾きかけていた。
もうしばらくすると逢魔が時がやってきてしまう。そうなる前に湯殿に向かわなければならない。
「早くないよ、もう夕刻だし、急がないと最初に入れないよ」
僕がそう急かすと、
「いや、別に一番風呂じゃなくても・・・」
まだ手合わせをしたりないのか、一角は断わりかけたが、
「一番じゃないと嫌なんだよ! 隊のみんなが入った後だと、もうなんだかいろんなものが湯舟に浮いてて、そんな中に僕の美しい身体が入ると思っただけでおぞましい、鳥肌がたつよ!」
僕はぴしゃりといい放った。
この僕の言い分に賛同しているのか、それとも僕の美しさに見とれているのか武闘場の中の視線が僕に集中した。殺気らしきものがこもっているのは、まだ手合わせの最中の者もあるからだろう。
実際、十一番隊の湯殿は衛生面で如何なものかと多々感じずにはいられない。
先日、一刻入るのが遅れただけで、体毛やら分泌物らしきもの(よく分析していないので判らない物体)やらが湯舟のあちらこちらに浮遊していた。
はたして彼等は身体をちゃんと洗浄した後、湯舟に入っているのだろうか?
我が隊はちゃんとした教育を受けているのも怪しい連中がいるので、一度、四番隊にでも衛生面の話から入浴の仕方まで指導してもらわなければならないと思う。
もちろん、それが実行されるのなら彼等がきちんと話を聞くように僕も協力を惜しまないつもりだ(必要なら斬魄刀の解放許可も取得しよう)。
「いや、じゃあ取り敢えずお前だけ入ってくればいいんじゃねぇか? 俺は後からゆっくり入るからよ」
一角はあくまで今入ることを拒もうとしたが、僕はそんな事は許さない。
「そんな事言って、この前入らずに寝ちゃってたじゃないか!」
「別に一日やそこら入らなくったって、死ぬもんじゃねぇし・・・」
「絶対、許さない! 同室として許さない! そんな奴が隣で寝ていると思うだけでも許せない!」
十一番隊の中には、何日風呂に入っていないのかと思わせる柑橘系な芳香を漂わせている奴も何人かいる、実に由々しき問題の一つだ。
一角とのこんな問答は日々行われており、九割九分九厘、僕が負ける事はない。この時も結局、一角が折れて湯殿に行く事になった。
ここまでの話でも、多々の問題点にお気付きと思う。しかし、本題はこれからになる。 |