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ストーカー被害

作者:片桐仁
 僕は今悩まされている事がある。
それはストーカー被害だ。
ストーカー被害と言うと大袈裟過ぎるとか言われるかもしれないけど、僕にはとってはとても重大な悩みであり、恐怖心を植え付けるには十分な事なのだ。僕の場合はポストに女性のものと思しき黒くて長い髪が入ってたり、奇妙過ぎる程の怪文書。『好き』という言葉が羅列しているだけ。もしもそれが新手のラブレターだったとしても僕はそんなものをラブレターとは呼ばない。いや、呼びたくない。生まれて初めて貰ったラブレターが誰から貰ったのかも分からない人からというのは寂しすぎるし、そんな重すぎるものを貰いたいわけじゃない。もしかしたら近所の餓鬼が僕にイタズラをしているのかもしれない。だけどそんなイタズラという範囲を超えた事をする餓鬼がいるとは考えにくい。それに髪の毛が入ってるという事は女の子が加担しているという訳なのだろうと思えるが、そんな事を小学生女子がするとは考えにくい。
というよりも小学生を信じたい。
そんな事をする人間になって欲しくないという希望を込めて。だけど、それももう限界だ。
だって、今日の手紙の数はヤバすぎる。
狂気に満ちている。
おまけに「昨日のカレーまだ残ってる?」などと言う怪文書が届いているのだ。
昨日は確かにカレーだった。
それも作り置きしとけば、二日分は食えるなと思っていたからだ。本気で怖い。そんな事を思うなら警察に連絡を届けろよっていう話だけど、そんな大袈裟にしたくないのである。最初の方で大袈裟な事とハードルを上げまくった訳だけど警察に届ける事は厄介御免。変な四字熟語ができた訳だけど、とりあえず落ち着こう。あ、言い忘れてたけど、ラブレターという名の怪文書は切手が貼られていない。つまり相手は僕が寝ているスキを付いたり、僕が家に間などに家へ直接手紙を入れているみたいなのだ。だから要するに直接ポスト制が成り立っている訳。その人の家が僕の家から遠いなら本当に毎日毎日大変だなと思う。深呼吸を繰り返し、ポストに入った手紙やら髪やらスマホやらを……?
スマホ? これはなんだ?
スマホは赤く点滅しており、手に取って確認してみると通話中と画面に書かれていた。
それにテレビ電話中。
もしかしてこのスマホを辿れば、相手の素性が分かる? これで相手の完全犯罪も終わりを告げた様だな。僕はとりあえずこのスマホの録画を止め、手紙やら髪やらを持って部屋に戻る。
手紙を見るのは嫌だし、怖いのでゴミ箱にシュート! しかし、外れてしまい変な所に落ちる。あぁ、面倒くさい。僕はその手紙を手に取り、ゴミ箱に入れようと思ったら変な事に気がついた。視線に気が付いたと言うべきか。
僕の背後に人の物陰が見えた……様な気がしたのだ。僕は恐る恐る後ろを振り向く。
 でもそこには誰もいなかった。

「はぁ……ビックリさせんなよ」
 そう思い、僕が視線を戻すと……スマホの中に女性の姿があった。それも色素があまりにも足りてないと思える程の不健康そうな女の子だ。その女の子の顔ははっきりと確認する事ができない。
狐の仮面を被っているのだ。
でも手がかりが見つかった。
この手紙の差出人は長髪の黒髪だと言うことだ。

「ニ……ゲ……」
 彼女が小さな小さな声で何かを呟く。
しかしその言葉は途切れ途切れで全く聞こえない。おまけにノイズがかかっているみたいだ。

「おい! 何言ってんだよ?」
 僕は問う。
しかし彼女は意味も分からない様な言葉を発するだけだった。

「おい……もう、切るからな」
 僕はイライラして通話を切ろうとした。
でも僕は気づいてしまった。
ある不自然な事に。
もしもの話だ。

もしも……夜からこのスマホを僕のポストに設置していたと仮定する。もしその場合、スマホのバッテリーは果たして持つのだろうか?
それもテレビ電話だ。
そんなに長持ちするのか?
それにバッテリーはどちらかと言えば、100%に近い。というか99%だ。つまりこれがどんな事を意味しているか。それはこのスマホがついさっき、設置されたということだった。勿論、僕が今、見ている動画は犯人のものじゃないということだ。
そして結論を言えば、僕が最初に気づいた異変はもう身近に居たのであった。

「ふふふふっ、大好きよ。貴方の事が好きよ。好きよ。大好きよ。もう、本当に……」
 しかしもうこの時は既に遅かった。

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