挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマークする場合はログインしてください。

インターネットの片隅で愛を叫ぶ獣

作者:てっく29
正直、母を看取ったときは何にも考えることができなかった。
何故か頭ん中で、マイムマイムが流れたのを覚えてる。

高校の頃、親父が死んだときは結構な借金があったから、まだましだった。
中退して働いてても、受験勉強して、大検受けて、なんとか大学進学したしね。

人間、なんでもいいから目標があった方が、まだ救いがある。



余命宣告聞いて、慌てて帰国して、覚悟を決めて……
転職と引っ越しをしてすぐだなんて。

ちょっと早すぎるだろって、マイムマイムのリズムに合わせて医者と母に突っ込んではみたけど、2人とも何にも言ってくれなかったっけ。

目標が定まらないと、人間は脆い。

せっかく家にネット引いたからって、その後ネット廃人キメてたけど。

――性分ってやつかな?

結局また、なろうで書きだした。
動いてないと死んじまいそうになるのは、きっと親父のせいだ。

相互評価クラスタ断って、変な攻撃受けて……
いやになって、半年も放置してたのにね。



いまだにPTがどうのランキングがどうのって、つまんない事で他人に迷惑かけるやつもいるけど。

――ここには、凄いやつらも沢山いる。


今この日本で保育園作って、園長さんしながら小説を書いてるやつ。
びっくりするほど優しさに満ちた物語を書く!

主婦でネイリストで、独立を目指すおねーさん。
スタイリッシュで、WITに富んだ日本語はCOOLで、やっぱり優しさに溢れてる!

ガチの恋愛ものを美しい距離感で描き切るやつもいる。
僕にない才能だ! だけど作品のエロさじゃ負けてないはずだ!!



――他のやつらはどうだ?

被災で心身ともに僕よりHARDな人生送ってるはずなのに、キュンキュンのセリフやシーンが盛りだくさんの、愛に溢れたファンタジーを書くやつ!

実生活で苦境に立ちながら、新しい職を探しながら、
長編ファンタジーを書き続けるやつは……
僕が勝手にライバル視してる!
作品だって根性だって、負けてたまるかって、いつも思う。
――まあ、勝てる見込みがまだ見付からないんだけどね。



そして……
マイムマイムしか聞こえなかった僕の耳に、彩をもたらしてくれた作品を書いたやつもいる。
感謝とか尊敬とか……
いや違うね! もう、愛しか存在してない!!



仕事が終わって、最近家を出入りし始めた2匹の猫にエサをやって……
発泡酒と肴を片手にパソコンの電源を入れたら、まずそいつらの作品のチェック。
変な攻撃なんて、サラッと無視だ!


――そして、大きく息を吸い込む。

最近ヒットの拓郎の音楽をかけながら……
プロットを書きなぐったステッドラーのスケッチブックに目を落とす。



頭の中が次第に異世界に移転してゆく。

――僕のお気に入りの時間だ。

そして、僕は一匹の獣になって、大声で叫ぶ。

主人公とリンクしながら…… 愛を、
インターネットの片隅で、大声で愛を叫ぶ。


そして、それが……
誰か一人でもいいから届いてくれと願う。

彼女が書いた作品が僕を救ってくれたみたいに。




――だってほら、なろうって、そう言う場所なんだろ?

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ