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こちら討伐クエスト斡旋窓口  作者: 岬キタル@鬼他
第一章【異世界の日常編】
8/82

俺の選択

一時間遅れでの更新になってしまいました。

明日は頑張ります。

ユニークが1000人突破しました。嬉しい事です。

ありがとうございます。

 使えるものは使う。

 貴族の保護は、こちらでは普通の事だ。出し惜しみなんてしない。

 それにしてもあのアホ、獅子王なんて呼ばれてるおじさんの一番嫌いそうなやつだったな。

 おじさんは口だけのやつが大嫌いだから。

 子爵の地位は親のもので、お前のものじゃないだろうに。


 ああいうアホへの対処が出来るから、支部長も俺を窓口にしたがった。

 あんなのに一々呼ばれて出ていったら、仕事が進まないだろうから分かるが。

 あの人、極度の面倒くさがりだからな…。

 そんなアホでも、面倒くさがって適当に送り出して、死なせるような事はしたくない。

 分かっていて見殺しにしたら、俺の気分が悪い。


 何事も無かったかのように窓口は再び動き出した。

 丁度、ギルドに到着したばかりの旅人と目があった。

 エントランスには、旅人向けの情報掲示板がある。

 フードを被った旅人は、こちらをジッとみた後、掲示板に歩み寄った。

 なんだ?

 少し気にはなったが、用事があれば声を掛けるだろう。目の前の利用者に意識を戻して、相談に相槌をうつ。

 猫の獣人である彼は、同じパーティーに新しく入ったネズミの獣人と上手くいってないらしい。それは本能的にしょうがないよな。

 とりあえずハーブティーとサラダをたくさん食えと薦めておいた。残念ながら、ストレス軽減ぐらいしか思いつかない。すまん。


 チラリと視線を上げると、新しくギルドに入ってきた男が、先程のフードを被った旅人に声を掛けているのが見えた。

 少し会話をした後、後から入って来たやつがこちらに来た。

 見覚えの無い顔なので、旅人の護衛だろうか?

 それにしても、かなり均整のとれた体をしている。

 腰には二振りの剣を下げていて、きっと飾りでは無いんだろうな。強そうである。


「こんにちは、この依頼を受けたいんだが」


「こんにちは。ええっと、はい、ルーフス村からの依頼ですね。ゴブリンの殲滅、パーティーでのみ受付、Bランクになります。ギルドカードの提示をお願いします」


 パーティーでのみ受付の依頼の場合、ソロランクとは別に登録が必要である。

 ソロランクがSでも、パーティーランクが基準に達していなければ依頼は受けられない。

 男から受け取ったカードを水晶にかざす。


 アルフォンス・ベルクマン

 登録/ウェントス支部

 ソロランク/B

 パーティーランク/B


 ウェントスとは隣の国にある街の名前だ。

 五大国間は、ギルドカードを持っていれば面倒な手続きをせずに行き来できる。

 しかし、このアルフォンスと言う男、絶対にソロランクBで収まるような感じでは無い。

 達成した討伐や依頼数を見ると、ランクを上げる為に最低限の数をクリアして来た感じだ。きっと相当な場数を踏んでいるだろう。

 初心者相手なら、メンバーの確認をするが問題ないだろう。


「ランクを確認致しました。報酬や注意事項について説明致しますか?」


「特に問題なければ大丈夫だ、契約を頼む」


「了解しました。少々お待ち下さい」


 水晶に依頼の契約を焼き付けている間、俺は「鑑定士」を発動させて、そっと男を見た。


「……!」


「ん? どうかしたか?」


「いいえ。問題ありません。契約完了しました。ギルドカードをお返しします。」


 アルフォンスの能力値は、とんでもなく高かった。スキルもいくつか持っていて、剣士風な割にMPが高い。きっと魔法剣技が主力だろう。


「村への行き方は、この地図をご利用下さい。街道沿いに馬車なら半日程度で着くと思います。」


「土地勘が無いから助かる。この湖の近くなら馬を休められるかな?」


 アルフォンスが、地図を指差しながら聞いてくる。

 俺は少し考えてから答えた。


「そうですね。浅瀬ならば大丈夫です。ただ、林側に沿って奥に進むと危険なので注意して下さい」


「何かいるのかな?」


 少し首を傾げるアルフォンスに、詳しくは知らないという顔で答えた。


「未確認ですが、竜種……ワームが住み着いたとの話を耳にしました」


「へえ……。ありがとう。気をつけるよ」


 ワームはかなり手強い。竜種はモンスターの中でも桁違いの強さだ。

 例によって精霊に聞いたが、ここ数日、ワームが湖の奥でうろちょろしているらしい。

 村も街も近いので、そのまま放置するのはマズい。

 様子を見て、支部長に報告しようかと考えていたが、アルフォンス達のパーティーなら、多分余裕で討伐できる。

 遭遇しなければそれまでだし、戦いたくなければ近づかないだろう。


 アルフォンスは、フードの人物に声を掛けている。

 旅人だと思っていたが、あの人もパーティーの人間のようだ。わざわざ旅の護衛の途中に、依頼なんて受けないだろうし。

 アルフォンス達がこちらを見て手を振り、ギルドを出て行く。

 俺は笑顔でアルフォンスを見送った。



2015/01/10 修正

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