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こちら討伐クエスト斡旋窓口  作者: 岬キタル@鬼他
第三章【騎士団編】
24/82

訓練場

短いですね。元からですけど!

王都編は時系列そのままに少しずつ進行するので、改訂する時に多少まとめます。


 次の日の朝、トリスタンと大広間で顔を合わせる。


「おはよう」


「ああ」


 昨日の事は気にしていないのだろうか。無反応である。

 本当に照れ隠しだったのか?


 朝食を二人きりで頂く。

 トリスタンの妹は、体調等を理由にいつも自室でとるらしい。ということは、トリスタンはいつも一人で食べているのか。この豪勢な食事を。


 俺の場合家族はいない。

 しかし、宿舎に住んでいた時は食堂に行けば誰かがいた。

 城にいた頃も、おじさんは皆で食事するのが好きだったから、孤独感はあまり感じた事は無い。

 貴族と一口に言っても食事のとり方ひとつ違う。

 トリスタンが常に無表情なのも、こういう環境が関係してそうだな。


 今日はメンシス騎士団の駐屯地を見学させてもらい、午後は二の郭を見て回る予定である。

 トリスタンに、堂々と見学なんてして大丈夫なのかと聞いたら、騎士団には、貴族の子弟がたまに見学に訪れるそうだ。

 中には、騎士見習いもいるので、騎士団以外の者がいても訓練に支障は無いとトリスタンは言った。

 トリスタンとだけしか接触しないでいる訳にもいかないし、一度ちゃんと紹介して貰った方がいいのかな。


 駐屯地に着くと、既に若い兵士達が走り込みを行っていた。

 上半身ほぼ裸みたいなやつ、タンクトップ一枚のやつ、キッチリ着込んでいるやつ、タイプは色々いる。

 何にしろ、男ばかりでムサい光景である。

 これは参加自由の自主訓練らしい。

 非番の者から、これから警備の勤めに向かう者もいると言う。

 遠征組は、今日は非番になっているらしいが、チラホラ見知った顔がある。熱心だな。

一日でも動かないと、体が鈍るのだろうか。


 今まさに訓練場に入ってきて、トリスタンの姿に気付き、ピシリと固まったやつもいる。

水色の髪をしている。すごく目立つな。

 団長がここに顔を出すのが珍しいとかか?


「団長、おはようございます。ノア君もおはようさん」


 目立つ髪の男の後ろから現れたバルド副団長が、その男の首根っこをを引っ張っりながらこちらに向かって来た。


「ああ」


「おはようございます」


 水色の彼、苦しそうだけど、大丈夫か?


「ほら、ソル。お前も団長と団長のご友人に挨拶しろ」


「え! 団長の友人?」


 そこかよ!

 バルドが同じ事を言いながら、ソルと呼ばれた水色の彼の頭をはたいた。

 ソルは、凄い衝撃を受けてよろめいている。はたいたってレベルじゃない。

 ソルはやっと団長に向き直り、挨拶をした後、こちらに顔を向けた。


「初めまして。ノア・イグニス・エセックスと言います。今日は訓練を見学させて貰いに来ました」


「ええ、エセックス?」


 またバルドにしばかれている。

 短い水色の髪を掻きながら、こちらにペコリと頭を下げた。


「自分は、ソル・ケラーと言います」


「自主訓練ですか?」


「は、はい。今日は非番で、他にする事も無いので……」


 正直すぎる気もするが、真面目でいいやつそうだな。


「ノア君、こいつを案内役に付けるから、午後は街を見て回るといい」


「えええ! 俺ですか?」


「嫌か」


 トリスタンの一言に、ソルが固まる。

 騎士団のツートップに言われたら断れないだろうな。

 ソルには申し訳ないが、半日付き合ってもらおう。


「昨日王都に着いたばかりで、全く勝手が分からないんです。案内お願いできますか?」


「は、はい! お任せ下さい!」


 良かった。

 さすが副団長だな。一人でフラフラもしにくいし、どうしようかと思っていたが。

 バルドのさり気ない気遣いにお礼を言うと、気にしなさんな、と豪快に笑った。



「全員、集合しろ!」


 バルド副団長の掛け声で、訓練場にいた兵士達が集まってくる。


「今日はお客人がいるから、皆気合い入れて訓練する様に。」


 バルドに促され、俺は先程ソルにした様に自己紹介をした。


「名前で分かるだろうが、ノア君はエセックス卿の身内だ。既に知っている者もいるだろう。」


 遠征組が頷いた。


「わけあって、団長の屋敷に留まる事になった。これからも、こちらに顔を出す事があるだろう。ここにいない者に説明しとけよ!」


「「「はい!」」」



 おお、見事に揃った返事だ。

 これで終わりかと思ったが、バルドがトリスタンをチラリと見た。


「ノアは私の友人だ。何か困っている事があれば助力してやれ」


 一瞬の沈黙の後、イエッサーみたいな返事が兵士達から帰ってきた。

 ソルの反応から見て、トリスタンは普段、友人とか言わない人なんだろうな。

 薄々感じてはいたが、先王もなかなか無茶な設定をする。


 一時解散して、兵士達は訓練に戻った。

 トリスタンはこれから城へ向かい、遠征の報告を行うそうだ。

 俺はというと、ソルとソルの友人二人に囲まれていた。


「ソル、お前案内役頼まれたんだって?」


「お前一人で大丈夫か?」


「うっ……」


 なんだ。不安なのか。

 ソルは微妙な顔をしている。

 二人の男が、それぞれ自己紹介してくれた。

 背の高い赤毛がフランで、がっしりした体つきの金髪がジェラード。

 ソルも含め、三人共騎士見習いという立場らしい。


「こいつに案内して貰っても、つまんないですよ?」


「まあ、旨い飯屋も知らないだろうしなぁ」


「ううう……」


 チクチク言われて、ソルが情けない顔をしている。

 この二人はソルの頼りない部分が気になって、なんとなくフォローしてくれているんだろうな。


「ならお前達もついて行け!」


 どこからかバルドが現れて、フランとジェラードの肩を叩く。

 この人体デカいのに、気配を全然感じなかったんだが。驚いた。


「了解です副団長!」


「任せて下さい!」


 二人は大きな声で快諾した。

 思っていたより騒がしい午後になりそうである。



2015/01/11 修正

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