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さて、本日のご用件は?

初投稿作品です。

ファンタジーで戦わない主人公目指したら、ギルド職員に落ち着きました。

若干チートですが、基本的な能力が戦闘向きではありません。

 俺はここ最近の定位置と化した、ギルドの窓口に座っている。

 目線を上げると、むさっ苦しい男どもが、ギルドに入ってすぐのエントランスにひしめいている。ここに用があるのは皆、傭兵や冒険者というやつだから、どうしたって男が多くなるのは仕方がない。


「さて、本日のご用件は?」


 列の先頭が歩み寄ってきたので、いつもの言葉とゆるい笑顔で迎える。

 依頼書の確認をして、目の前の傭兵にギルドカードを提示してもらう。

 問題がなさそうなので、水晶の上でギルドカードをスキャン、一時的な魔法契約を済ませる。これで依頼が成功した時には、報酬が間違いなく支払われるのだ。


 この窓口は、Bランク以上が専門である。

 モンスター討伐のクエストや依頼書の受注、たまに相談に乗る事もある。


 初心者やギルド登録、薬草なんかの採取は別に窓口がある。つまり危険度の高い内容で、用がある奴らもそれなりのレベルなので、俺も安心して送り出す事ができる訳だ。

 ここはゲームの世界では無い。

 俺はNPCじゃないし、こいつらだって簡単に復活できる訳じゃない。死ぬ時は死ぬ。それで終わり。

 ただ仕事だからと、何も言わず、何も考えずに送り出していたら、死んで戻ってこない事だってある。

 だから俺は、マニュアル通りの笑顔と説明の後、一言付け加えるのだ。


「アイテムに毒消しはお持ちですか?」


 傭兵は軽く首を傾げて聞いてくる。


「いいや、無いけど。 この辺りに毒系のモンスターって出たっけ?」


「サーペントの目撃情報があります。 余裕があればお持ち下さい」


 俺がそう言うと、傭兵は真剣な顔になって頷いた。


「ああ、ありがとう。 そうするよ」


 サーペントとは、かなり強力な毒をもった蛇のモンスターだ。ピット器官を使い、藪の中から突然襲いかかってくる事がある。とりあえず毒消しを持っていれば、まず動けなくなって死ぬ事は無いだろう。

 俺は素直に助言を聞き入れてくれた傭兵に向かって笑顔で言う。


「行ってらっしゃいませ。 ご無事でのお帰りをお待ちしております」




 これがギルド職員の、俺の日常である。

 例え、目の前の傭兵の情報がゲームの様に数値化されて見えていたとしても。

 サーペントの目撃情報なんてギルド内では、まだ出回っていない話であり、誰も姿を見た事がない精霊から俺が聞いたのだとしても。


 そして、俺が二度目の人生を送っている転生者だとしても。


 なにも変わらない、俺の平和な日常である。




2015/01/10 修正

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