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7話:俺と強欲と夢と怪物
 落下する俺と走りだすグリさん。
 グリさんは俺を横抱きに跳躍して、玉座の前に着地、んで出てきた物を二人でみたわけだが。

「……グリさん」
「あん?」
「俺、逃げていいっすか」
「どうやらマジで死にてーらしい」
 
 パッと手を離されて落下した。
 姿勢整えて着地したが、本気で逃げ出したい。

「でもさ、あれ怨霊じゃねーよ。実態あるし」
「だから解りやすく言えば怨霊だっつったろうがクソガキ」
 
 グチュンと生理的に受け付けない気持ちの悪い音を立てて、落下してきてたのはもうなんて言うのかね。
 あれだ、巨神兵の卵みたいな物だ。
 アレの黒バージョンで、所々から人の手が生えてる。
 卵の表面にはデスマスクがビッシリと張り巡らされており、その表面を目なのか歯なのかよく解らない切れ目が這い回ってる、正直お家に帰りたい。怖いんだ。
 
「逃げるってのはどうでしょう」
「逃げきれると思ってんなら逃げろ、俺は無理だと思うがね」 
「……やっかいな」
「自殺するなら一人で死んでくれ、俺様はまだ死ねねーんだ」
「俺も野郎と死ぬのは御免ですね。お袋も助けてないし、奥さん欲しいし」
「ったく、貧乏クジ引いたぜ」
「ま、がんばって生き残りましょい」
 
 舌打ちしつつも変身していくグリさん。
 俺もマントを破いてアラハバキと思われる刀の刀心に巻きつける。
 ちなみに刀心とはナカゴの事だ。
 
 つかさ、これって刀って言うよりも太刀じゃね。
 俺の身長の3分の2くらいあるしね。ちなみに現在165です
 
「で、なんか策があんだろうな」
「ああ、任せろ」
「クック、楽しみにしてるぜ」
「おう!! では発表します、グリさん突撃せよ!!」
「おう!! ってなんだと!?」
 
 胸倉つかんでガクガクされてます、なんでだ……

「ちょ、ちょーお待ちをなんでキレてんじゃー」
「てんめー逃げるつもりだろうが!!」
「そんな、まさか……ボクが逃げるわけないでしょ!?」
「…あからさまに怪しいぜ」
 
 いや、マジで逃げる気はないんですけどね。

「狙いはなんだ」
「物理攻撃聞くのか試したいんですよね」
「なるほどな」
「その間に俺ちょっとした秘密兵器作っとくんで、物理攻撃効くようならそのままガシガシ削ったってくださいよ」
「ま、俺にはそれがあってるか」
 
 って事で、グリさんが突撃していきました。
 変身した状態で卵の表面をガリっと引掻いてる。
 うん。攻撃通ってるみたいだ。
 なんせ

―― ぐあああああ
 
 やら

―― やめてーーーーーー
 
 とか

―― この恨み聞き届けたり

 とか

―― 殺さないでーーー

 とか
 聞こえてくるんだ。頭壊れそうになるんだけど、その辺どうよ。
 死者の分際で生意気すぎるよ。
 生者に死者の想いを聞かせようとしてんじゃねーよ、半端物が。
 死者は死者らしく灰となれ。
 
 とまあ、そんな事はいいんだ。
 秘密兵器ってのは言うまでもなくアラハバキなんだ。
 それ以外考えてなかったんだ。ごめんよ。
 でもまあ、これだけじゃ芸がないので、ちょっと工夫してみるよ。
 どれくらいの切れ味なのか、試す事も含めて柱を切り崩してみた。
 凄いね、豆腐みたいに斬れるんだ。
 調子にのって7本くらい斬り崩したが、まあ、もういいや、後で試し切りするから。
 
 とりあえず、柱を加工して即席の槍を数十本作り、全てと契約。
 
 そしてだ、俺の夢であったあれが出来る舞台が整った。
 俺は玉座に座り、頬杖を突いて叫ぶ。
 
「グリさん、王の力と言う物を見せてあげるよ!!」
 
 王でも何でもないけどね、ちょっと言ってみたかったんだ。
 俺の姿を見たグリさんは青筋をビキビキたててキレてるが、次の瞬間には唖然とした表情で飛びのいた。
 
 俺がやる事を瞬時に見抜くとは、なかなかやる。
 
「行け、俺の契約者達(ゲート・オブ・ソロモン)
 
 それはさながら砲撃。
 空爆のような苛烈さと、一糸乱れぬ脅威の進行。
 俺の背後から射出されたのは、先ほど作った槍もどき。
 その数、実に80本。
 空間に波紋を波立たせ、牙を剥く白亜の槍は相当な恐怖だろう。
 それを20本ずつ2秒間隔で射出してやった。
 
 第一波は殻を剥ぎ取り、その怨霊の中身を露出させ。
 第二波は四散しようとする黒い人型を悉く縫いとめ殺し。
 第三波は殻の内にあると思われた大本をその大地に縫いとめ。
 第四波はその力の解放を妨害し、あわよくばそのまま止めを刺す。
 
 しかし、卵の殻からでてきたのはもう醜い程の人人人。
 動物とかも混じってると思ってたが、あれらは自然の摂理には抗わないみたいだ。
 自然を歪めるのは結局人だけみたいですな。
 
「止めを刺せ!!」 
 
 グリさんの声を聞きながら俺は第四波と一緒にダッシュ。
 大本となっているのは黒い人型。
 俺をこの世に連れてきたアレと似たような形状、しかもあれだ、表面に付いてた目モドキがその体に付いてるって言うキモ設定。
 まあ、砲撃の時に確認したけど、あれは模様のような物だ。攻撃手段にならないし、もしかしたら視覚は有してるのかもしれんが、正直無駄設定だろ。
 ぶっちゃけ八つ当たりだが、恨みを晴らすつもりで斬り殺すヨ。
 途中で跳躍し、刀を掲げる。
 
「超魔、いや、オリェ爆炎覇」
 
 スパンッ
 
 んな音はしないが、聞こえてきそうなくらい見事に刀が通過した。
 右の肩から左の腰への斜め斬り。自画自賛したいくらいのクリティカルヒットだ。
 ビシャリと刀から血糊がすべり落ちる音を聞いて、俺は振り返る。

「グリさん!! どうよ俺!!」
 
 噛んだのはスルーする方向で行こうぜ。
 
「やれやれ……」
 
 グリさんは肩を竦め、何時の間に持っていたのか拳ほどの石を投擲して跳躍。
 俺の背後にいるアレに命中。
 俺は振り向きざまに斬り上げ、バックステップ。
 
 次の瞬間。
 空から降ってきたグリさんが人型を押し潰した。
 それでもウネウネ動いている生命力にはもう脱帽だ。
 
「まだまだ詰めが甘いな」
 
 ちょっとカッコイイ事言いながらグリさんは拳を振り上げ、更に殴る。
 パキン。
 何かが割れる音がして、化け物は砂のような粒子になって消えた。
 
「お、やっと終わったのかー」
「たっりめーだ。俺様が決めたんだからな」
「まあ、俺がお膳立てしたんですがね」
「止め刺せるほどの知識が無かった餓鬼が吠えてんじゃねーぞ」
「まあ、それでも俺のおかげですよね」
「ああ、そう言えばお前のおかげだったな」
「ですよねっ!」
「ああ、おかげで、こんな化け物と戦わなきゃならなくなった」
「…ですよね☆」
 
 …………
 ………
 ……

「死ねやクソガキがーーー!!」
「御免蒙る!!」
 
 逃げる俺と追いかけるグリさん。
 まあ、これで終われば結構いい終わり方なんだが……

ピシ、

「あん?」
「おろ?」

ピシピシピシピシッ
 
「あーおい、お前柱何本切った」
「えーとヒイフウミイヨ……7本前後」
「馬鹿じゃねーのか」
「ですよね☆」
 
 だって柱2,3本しか残ってないんだ。
 支えられる訳ないよね。

「逃げろーーーーっ」
「俺!! イン○ィー・ジョーーンズになってる!!」
「変人が!! にげろってんだろ!!」
「おうさ!!」
 
 崩れる王城を後にし、俺とグリさんは民家で休む事にした。
 疲れたー。
 自業自得のような気がしないでもないが。
 
 
 
 
 
こんちわ。
次の更新は恐らく5日か6日くらいまでありません。
旅行に行かれる方、道中手慰みにでも読んでいただければ満足です。運転される場合は飲酒運転・余所見はしないように気つけて下さい。

それでは実家に帰ってきます。
あでゅー


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