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2話:美女と野獣とオレとネコ
 やあ、前回中途半端にファンタジーな世界に飛ばされた俺だ。
 現在3歳児やってます。
 
 と言っても場面飛びすぎだから適当にこれまでの一生を振り返ってみるよ。
 
 あの後駆けつけてきた野獣はどうやらあの美女の旦那だったらしい。
 ちなみに両親です。
 母の名はイズミ・カーティス19歳。
 父の名はシグ・カーティス20歳。
 
 病によって子供を流産した事から母イズミがその子を練成しようとして俺を練成したらしい。
 しかし、死者を練成すると言う発想はイカレてると思うんだ。
 普通悲しんで悲しんで乗り越えて。
 それが普通だ。
 なまじ頭が良く、それを可能とするほどの力量を持っていたのが不幸だった。
 
 俺を練成した代償として、彼女は内臓を失った。
 
 3年見てきたが、母が一日の内で血を吐かない日は無い。
 そのつど親父殿が暴走して「イ~~~ズ~~~~ミ~~~~~死ぬなーーーッ!!」って吠えるんだ。五月蝿くて仕方がないヨ。


 でもまあ、この二人は凄く愛し合っていると言うのは解る。
 毎晩毎晩お盛んですね。冗談じゃねー。なんであのサイズのアレが入るんだ。お袋凄すぎるよ。
 ちなみに俺への愛も天元突破しているのは言うまでも無いだろう。
 お袋も親父も俺を溺愛している。
 そりゃもうコトの最中にも離さないくらいだ。本当に冗談にしてください。
 ちなみに俺の事は一日中母がずっと抱っこしている。
 包丁を掴ませて「これを使う日がくるのかにゃー」なんてユルユルの笑顔で聞いてきたり。
 「男は強くならなきゃならん。いいな。でも、余り危ない事は…いや、それでも千尋の谷に突き落とすのが父の務め!! いや、しかしなぁ」なんて俺を抱きながら野獣が言ってるが凄く有難迷惑です。
 
 そんな感じで三年間くらし、ようやくコトに及ぶ際に俺の目に付かない所でしてくれるようになったくらいだ。
 ちなみにお袋を見た時に感じたデジャブーは俺の母の事だった。えーあっちと言うか練成される前のね。
 ドレッドとかされてるとわからねーよ。
 しかも後数年でこの超絶美女があのぽっちゃり系に変貌するのかと思うと、時の残酷さを感じるね。
 
 後、初めての言葉は「おかぁしゃん」にしといた。
 舌が上手く使えないんだ。
 ちなみにお袋は幸せが天元突破したようでぶっ倒れた「ゴバブッ!? えへ、えへへへへ。ああああ。し・あ・わ・せ」ってのが最後の言葉だ。血を吐いてたのがシュールだったが、まあいつもの事だ。
 親父は血の涙を流しながら床を撲殺してた「うぉぉぉっ!! おとおしゃんじゃないのかっ!? うおーーーーっ!!」って感じで。
 それから数日たって「おとーさん」って読んだら野獣に絞め殺される所だった。
 すぐさまお袋に救助され、親父は哀れボロ雑巾に……めちゃくちゃ喜んでたが。
 
 んでだ。そろそろ“ありとあらゆる物と契約できる程度”の能力とやらを検証してみたいんだ。錬金術はね、あれは学問なんだ。東大を主席卒業出来るくらいの頭がないと無理なんだ。それにさ邪道だと思うのよね。
 べ、別に俺の頭が悪いわけじゃないんだからねっ!!

…………
………
……

 一回目の契約は黒ネコにした。
 家でひき肉にされるブタにしようかとも思ったんだが、それは微妙だったから止めた。英断だと思うんだがどうだろう。
 
 まあ、なんで黒ネコかって言うと、お袋と散歩に出かける道でよく見かける野良ネコなんだけど、俺の好みにジャストヒットしたのよね。
 と言う訳でレッツトライだ。

「うあ~う。ニャンコー」
「ん~? ああ、あのネコは良く見かけるね~。遊びたいのかい?」
 
 コクコクと頷くと、お袋は慈母と見まがう笑顔でネコのそばに下ろしてくれた。
 俺は慎重にネコに近づく、あっちも頻繁に見かけているからか、それとも餌付けされているのか、逃げる事なく俺を凝視している。
 フラフラと歩き、ネコの前に座った俺はそいつを抱き上げる。
 フニャッ!? と何やら泣き声をあげたが何のその。
 俺はそのニャンコの目を凝視する。
 凝視して凝視して凝視して。
 
 そこでやっと俺はどうすれば契約出来るのか知らない事に気付いた。
 
「あ~ぅ」
 
 思わず声をあげてしまうが、母はそれでも表情を崩さない。
 いや、もはや崩れきっていると言ってもいいのだが、そこからは崩れない。
 
 そうして数分。 
 ニャンコが辛抱しきれんかったのか、俺の頬を引っかいた。
 もちろん血が出た。
 そして鬼が具現した。
 その名はイズミ。主婦と自称する天才錬金術師だ。

「ほっほう。この野良ネコは命がいらないようだ。何今晩のシチューにしてやるから安心しな、シグもネコシチューは食べた事ないだろうからね、私が今晩その美味さを教えてあげなくちゃ。そうそう、この世には傷つけちゃならない者ってのが存在するんだ。来世ではそのへんよーーーーーーーーーーーーーく理解して生きてくんだよノラネコがーーーーーっ!!」
 
 ………こわっ!?
 と思ったのも束の間。

『……死なばもろとも。我が命にかけてうぬを道連れにしてくれよう主婦よ』
 
 なんてシブシ声が聞こえてきた。
なん…だと……
 と思わず思ってしまっても仕方がないだろう?
 ちなみにそれは俺の腕の中にいるネコだった。
 
 これは契約成立か!? と喜び、しかし、背後にいる鬼神から守る為、俺はネコを抱き寄せる。そしてお袋をジッと見つめる。
 瞬時にお袋は顔を笑顔にして声をかけてくる。

「そのドラネコはね。危ないからおかーさんに渡しなさい。今日の晩御飯だからね」
『戯けめ。うぬこそ我が夕餉の一つになるがよかろう』
 
 ……どっちも怖いが、とりあえず抱きしめ首を振る。

「え、ええ!? まさか、飼いたいのかい?」
 
 コクコクと頷く俺に困惑顔のお袋。

「でもねえ」
 
 うーんと唸るお袋を見つめる。
 と、そこで思わぬ援護が来た。

『なんと、童よ我を助けようとしておるのか……なんたる慈悲の心よ。童に抱かれる心地も悪くなし……傷つけた者を庇う仁の心、なるほど、よかろう。私はうぬの配下となろうぞ』
 
 とかなんとか、ネコが感動して俺の傷口をペロペロ舐めてきたんだ。
 それを見たお袋はダメージを負ったのか血を吐いて膝を突いた。
 
「なんて……なんて…これ、なんてアヴァロン?」
 
 が今回の最後の言葉だった。
 俺を好きなのはもうとっくに知ってるから。お袋ネコ派だったんだな。
 
 そんな感じで俺の契約者第一号が誕生した。
 
 ちなみにこの後は俺が笛を吹いて親父を召喚した。
 土煙を上げて爆走してくる猛獣は見た目恐ろしかったがもう慣れた。
 ちなみに笛はお袋が倒れたら吹けと渡されている物だ。
 
 これまでの使用回数は459回。
 
 
 
 


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