初デート?!
「う〜、おしい!」
「あと5分早けりゃな。」
「俺のシャツ潮臭くね?」
「うん。海人の香りやね。」
「うえ、まぁいーや。コンビニ行こうぜ。」
「えぇ〜金ない。」
「ガリガリ君おごっちゃる。」
「じゃ、行く。」
龍は黒、清児は赤のオールスターをかったるそうに鳴らして歩く。
コンビニでアイスを買ってプラプラ学校へ行く。
もちろん、それぞれの担任と生徒指導の教諭に叱られた。
一時間目の数学の途中に教室に入った。
席に向かうときに小夜子と目が合った。
笑顔をくれた。清児も照れて少し笑った。
席について、引き出しから教科書を取ろうとしたら、置き勉検査があったらしく中は空っぽだった。
(先生ナイス!)
「先生〜!教科書がありません!」
「当たり前だ!浅倉お前宿題まだ出してないだろ!出せ!」
「あ、忘れた。」
クラス中笑いが出た。
教諭は清児を教科書で叩いた。
「進級出来んぞ!」
「やだ。」
「させんぞ?」
「そんなに俺が好きなん?」
「あー好きだとも!一年からやるか?」
「やなこった!」
「俺も嫌だ!放課後までに提出しろ。したら進級は考えてやる。」
「はいはい。」
皆笑っていた。
「黒川、教科書見せてやれ。」
「はい。」
小夜子は笑いをこらえながら机と机をつけた。
授業が再開して、教科書を見ると端にメッセージがあった。
『うち、数学なら自信あるから、手伝うよ?』
清児は鼻血がでるかと思うくらい興奮した。
汚い字で返事を書いた。
『ぜひ!お願いします!』心臓はバクバクと鳴り、胸が壊れそうになった。
そんな事もつゆ知らず、小夜子はにっこりと笑った。『お礼に明日、どこか行かない?』
そう書こうとしてやめた。『チェリーパイ、あげる』にした。
『持ってきてくれたん?』『違うけど、明日は?』
『学校やすみよ?』
すらすらと重ねられていた文字が止まる。
清児の顔は自分で熱いとわかるくらい赤くなっていた。
見かねた小夜子は自分から文字を綴った。
『山か海に連れてってくれる?』
それをみて清児は思わず顔を上げて小夜子を見た。
小夜子の顔が目の前にあって一気に鼓動が跳ね上がった。
そしてファスナーがきつくなるのを感じた。
かろうじで頷く。
少し下半身をチェックしながら。
『山に行こう。』
そう書いた文字はミミズの様だった。 |