山の向こうに、夕日が落ちていく。 赤やオレンヂ色やすぐ側にある濃紺と闇。 生まれた街を見下ろす山から僕は街に憎しみを覚える。 美しい空に嫉妬しているのかも知れない。 「大嫌いだ。」 と呟き、 「愛している。」 と心で思った。 サヨナラ、美しい時間。 傍に置いていた自転車に跨がり、山道を下った。 学校が終わるとこの景色を見る。 いつの間にか出来た、僕の日課だ。 夕暮れ時は、美しく、悲しい。 僕はそんな気持ちが嬉しくてここに来る。 もっと上にあがると、溜池がある。そこのに水面に浮かぶ花がある。 もうすぐ夏が来る。 そんな時期に咲く、かわいい花。それは、僕の愛するものだった。 あの娘に会うまでは。