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  東方蜃気楼 作者:ままま
――砂漠で迷ったけど、足跡見つけたのでこれたどれば安心ね!

・・・・クスクス、さようなら――
存在と非存在
目が覚めると私はそこにいた。『ここ』はなんとも不思議な空間だった。否、空間と呼ぶには間違っているだろう。空が間にないのだから。そもそも私は一体どういう状況なのか?落下?上昇?はたまたただ寝転がっているだけ?それとも座っている?もしかしたらふよふよ漂っているだけかもしれない。『ここ』は一体?あらゆる存在を覆う黒色か、光り輝く白色か、血と地獄、燃える太陽のような赤色か、空のように広く海のように深い青色か、風で揺れる偉大なる森林の緑色か、大きく強く生き物全てを守る大地の茶色か、もしかしたら全てを見通す透明かもしれない。

『ここ』はどこか?

もう一度心で呟く。そして『自分』は理解した。私が理解した、僕が理解した、俺が理解した、儂が理解した、某が理解した、吾輩が理解した、小生が理解した、我が理解した、余が理解した、拙者が理解した、妾が理解した。あらゆる『自分』が理解した。その瞬間『自分』に電気が流れるかのように突然に、呼吸するかのように普通に、感情を高ぶらせるかのように本能的に、そして感情的に。

『自分』は一体なんなのか?

ぐちゃぐちゃぼろぼろになった記憶、一昔の映画をみるかのようにすり減って登場人物はただの黒い塊。目と口だけ白く光っているヒトガタが更に恐怖を促す。自分がなんなのかわからないだけでここまで怖いとは。

見えない見えな~い♪な~にも見えない♪

知らない知らな~い♪な~にも知らない♪

ア~ナタとワタシ?ボクとキ~ミ?

黒い黒い満月と?

白い白い真夜中の真ん中の?

ヒットガタ♪しゃべる♪ケラケラと♪

『そこ』には謡うように、呪詛のように、嘆くように、囁くように、唸るように、誰かが歌っているのか?だれかが会話しているのか?それともそのどっちかでもないのか?心に響く『それ』を私は忘れることがないだろう、たとえ思え出せなくなってもきっと、記憶の片隅残る。残してみせる。そう思うほどの『それ』は魅力的というか、官能的というか、覆水が地面に落ちるようにごく自然にそう思えた。

何もない、空間すらない、混沌か?秩序か?それとも中庸か?もちろんそんなものない。善も悪もなければ正義も悪党もいない。あるのは自分だけ、そして自分こそ『ここ』存在していない『ここ』だからこそ私は『ここ』にいる。だから私は存在していない。されど私はいま『ここ』にいる、存在しているのだ。矛盾、圧倒的矛盾、矛盾こそ私、私こそ矛盾。

――私は一体なんなのか?

答えが出た。私は理解した。『自分』ではなく私が、ならば大丈夫。私は迷わない。きっと目が覚めたら私は消えるだろう。だが彼はきっとわかる。なぜならば『自分』達の1人、そして同じ存在、きっと彼は辿り着けるだろう



「知らない光景だ」

目が覚めるとそこは森の中でした!トンネルどころじゃないです先生!バスケが出来ません!!!あっるぇ~おかしいな?私は確かに・・・確かに?

「ええ~っと、学校行って、卒業して・・・卒業?で、会社?に行って、やっぱ会社いってないかな?ん~?大学行ったっけ?というか俺なにしてたんだっけ?」

思い出せない?いや違うな、と俺は1人問答。思い出せることができすぎる。まるで『俺』以外の自分の人生も思いだせてしまってるような、そんな気がする。というかここどこだ?見渡す限り樹ばっか、紅葉バリバリなところをみると今は秋か。素晴らし光景だ。まさか写真や映像でしかかみたことがないような光景を見るとは。修学旅行は中途半端な冬だから雪もないし、最低な時期だったよ。いつ修学旅行行ったのか気になるが。

「こんな藍色の和服も着てたっけなぁ?」

藍色の和服、どちからというと寝間着に近いこのゆるゆる感。いま流行のゆるゆるファッションだろうか?なんで俺和服着てんだろ。思い出せない、記憶は思いだせる、俺が覚えたことのないはずの知識すらも。しかし俺に関する記憶がドレだかわからない。名前が無い、登場人物が黒いヒトガタで誰が親なのかもわからない、というか見分けつかねーから!宇宙人か?これは

「俺は宇宙人だったのか!?」

な、なんだってー!?いや、未確認飛行物体に拉致されて改造されたっていうパターンもあるぞ!しかしどうしたものか、こんな鮮やかな紅葉だから、観光客がいても不思議じゃないのだがなぁ。そもそも本当に日本か?ここまで鮮やかなやつみたことないぞ!

「適当に歩いたら人みつかるだろ、うん」

紅葉をほぅほぅと眺めながら歩く。それも体内時計で何時間も。一向に人は見つかる気配はないし、というかここまで長く歩ける自分に驚きだ。植物的に考えると日本ってのは間違いないみたいだ。そもそももみじだからな、あっても中国当たりだろう。ここが突然中国と言われてもすごく理解したくないのだが。もみじって中国にもあったっけ?まぁいいか。

「歩きにくっ!現代っ子なめんなよ!」

整備されているわけもなく、木のねっこやら岩やらでゴロゴロ。まぁそういうところもいいんだけどさ。こう・・・ススっ移動できないものか?というかいつのまにか夜中になってた。満月が綺麗だなぁ、なんかテンション上がってくるよ。血肉湧き踊るってやつかな?

ガサガサっ

「貴様!見ているな!?」

怖いです!怖い!なんか茂みからガサガサ言ってます!いやここは兎だろうぜ、どうせ。ふふん、鶏肉の代わりごときが俺を馬鹿に

「なんじゃ兄ちゃん、1人でぶつぶつ言って」

兎さんではなく、全身青タイツの大男でした。気持ち悪!しかし口には出さない。人には色々な趣味があるからな、決して馬鹿にしてはいけない。きっとやむを得ない家庭の事情が

「ここがわしの縄張りということを知ってての侵入かぁ?まぁ同じ妖怪みたいやし今回は見逃してるわい。さっさと別のとこ行くなり・・・」

「ハハッ、妖怪とかテラワロスwwwおっさんこそなにそのコスプレ」

同じ妖怪?いや、俺人間ですけど?・・・人間?人間じゃないっぽい。あれ?なんでわかるのかわからないが、妖怪?俺って妖怪だったのか?納得いかねぇなぁ、というか妖怪とか普通に考えていないだろ

「こすぷれ?何のこっちゃ知らんが、出て行かないなら・・・」

「ちょ、ちょ、待って!お願いだから棍棒かまえないで!・・・あ~、少し聞きたいことがあるんだ?ここどこ?」

「ここがどこも知らないで入ってきたのか、馬鹿な妖怪じゃのう。言ったじゃろ?ここあたりはわしら鬼のの縄張りじゃ」

「鬼、あぁ確かに鬼っぽいね君。あぁ~~悪い、俺記憶喪失でさ、さっきそこあたりで目覚めたんだ」

記憶がありすぎてわけがわからないだけ、まぁどの記憶も妖怪などといった部分はないのだが

「・・・フン、まぁいいわい。運が悪かった、そういうことにしといてくれや?一方的な喧嘩ってのも乙なもんじゃ、ふん!!!」

「のわーーーーーる!!!!」

ズドン!!!と鈍い音がした。鬼が棍棒で地面を殴り、陥没とかありえねぇ。間一髪で回避に成功した。あぁんもう!もう1回振り下ろそうとしないで♪よし逃げよう!・・・あ、無理、腰が抜けて・・・ざんねん おれのたびは ここでおわって しまった!!

巨大な塊がゆっくりと、ゆっくりと眼前に迫る。そしてそのまま・・・

ズドン!!!!












「ほ?」

「むぅ?」

俺はどうやら生きているようだ。はは、このお馬鹿野郎め!この距離で棍棒をはずすとは!どんだけ脳筋なんですか?確かめようとおそるおそる目を開ける。棍棒があった。ちゃんと振り下ろされらしいな。地面が陥没してる。どんだけ力強いんだよ。そういう妖怪だからかな?・・・いやまて!

「なんで棍棒が俺のお稲荷様を貫通しているのに痛くともなんともないんだ?」

ただ今の格好は、両手をついて又を鬼のほうに向けている。そして例の棍棒が、俺の股間にジャストミートしていた。

「能力持ちかいな、あぁ~これじゃわしの手には負えんのぅ」

「能力?・・・俺って幽霊?」

「別に霊力は感じないし、なによりその妖力が証拠じゃろ?そこまで記憶が吹っ飛んでしまったのか?」

幽霊だとしても俺死んでないはずだしなぁ、そもそも未練なんてないから普通に天に召されるはずだ。というか能力って、かっこいいなぁおい

「あ、ははは。これが俺の能力?能力ってなんだよ」

「あちゃ~、これは重傷じゃのう。能力ってのはマレに妖怪や人間などがもつ特殊な技能のことじゃ」

その能力持ちは総じて総合的な力が大きいらしい。人間なら霊力というものを、妖怪なら妖力というものが生まれたばかりでも大きく、歳を重ねるだけで所謂大妖怪にもなるとか。

「おっさんも能力持ち?・・・あぁ持ってない言葉だったな」

「おう、わしはそんなものないからのぅ。そうじゃ!」

え?何?

「わしの知り合いにも能力持ちがおったんじゃった。呼んでくるけんのぅ。まぁ死なないように頑張れば大丈夫じゃけん」

怖い、なにその友人怖い。俺の能力は攻撃を受け付けないってやつかな?それなら大丈夫かもしれないが、万が一ってことがある。能力発動しなかったりすると、あわわわわわわ。俺は華麗な血のお花を咲かせることに!!!

「あ、お断りします」

「お?」

脱兎のごとく走る!走る走る走る!もうダメだ!方向なんかどうでもいい!あの鬼様から逃げるんだ!・・・無意識に月があるほうへ行ってた。ええい!そんなことはどうでもいいのだ!俺ってこんなにはやく走れたっけ?わははははは、100Mを2.3秒で走破しているんだけど、俺ってトップアスリートだったんだ!いやねーな。妖怪、ねぇ~人外なのは間違いないな。




――存在して存在しない、これってな~んだ?

ソレハネアナタノコトデスヨ――


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