7.教訓その二
丁度賑いはじめる午前10時。
京都のまちを眺めながら、目的地の四越デパートを目指して歩く俺……と、朱雀さん。
はたから見ると、俺たちはデートでもしてるように見えるだろうな。
だけど、そんなんじゃぁない!
「ばかもの! この通りは危ないのだ。迂回していくぞ」
「ちょ、ちょい待ち! これで何度目だよ?! これじゃあいつまでたっても四越デパートに着かねぇんだけど!」
「こら、ハル! この橋は真ん中を歩くのだ。端を歩くと引っ張られるぞ」
「ひ、引っ張ら……えぇ?! 一体何に?!」
「あ、ハル……。そういえばここら一帯は青龍の縄張りであった……。櫻井家に戻るぞ」
「えぇー?! 俺、四越デパートに行きたいんですが」
で、結局四越デパートにたどり着かないまま昼を迎え、公園のベンチで一休み。
クソ朱雀め。
なにが『京都親善〜大使』だ。全然役に立ってねぇじゃんか!!
(口に出しては言えないけど)
「なぁ朱雀、通りが危ないだの橋の真ん中歩けだの、青龍がどうとか――オカルト系好きなの?」
絶対そうだろ。
「お、おか、る? ……う、ぅむ……そんな事よりも、落ち着いたとはいえここは魔都だぞ。気を緩めるわけにはいかないのだ」
あ、質問サラッとながしやがった。
「ぷっ。現代に魔都って……!」
この子、重症だと思うよ。うん。
俺は軽く鼻で笑ってから、しまった! と、心の中で絶叫。
一気に血の気が引いて、変な汗が滝のように流れている。
「今、わたしを馬鹿にしたのか……? 今、わたしを愚弄しただろう……?」
や、やばくね?
なんか、やばくね?
朱雀さんの握った拳が小刻みに震える。ま、間違いなくご立腹だっ!
俺の目の前に般若が!顔が怖いんですがっ。
鉄扇しまって、しまってくださいっ!
…………
一度キレると、謝ったくらいじゃ怒りは納まらないらしい。
その後俺は彼女の機嫌を直すべく、そりゃもう頑張ったさ! 財布が軽くなるまで頑張ったさ!!
(アイスおごったり、クレープおごったり、たい焼きおごったりetc……)
だって首が落ちるか落ちないかの瀬戸際ですから!!
命は金に代えられねぇ……だけどっ。う、うぅっ。俺のなけなしの小遣いが……。
ガチャッ
「奥方、只今戻りました」
「……ただいま」
「おかえりなさい〜朱雀ちゃん、はるちゃん」
「おかえりぃ♪スザクちゃん! あ、お兄ちゃんどうたっだ? デートは♪」
俺たちが家に着いたのは夜7時。
あれからも、あの道がダメ・この橋はダメって散々振り回される始末。
おかげ様ですっかり夜になったぜ?
母に『ちゃん付け』されても、つっこむ気力、ゼロだ。
秋奈にからかわれてもジャイアントスイングひとつすら、かませねぇ。
つ、疲れたぁ……
あ、スパッツ女について二つ目の教訓。
教訓その二【朱雀の前で含み笑いするべからず】
……今日は俺、もう寝ます!!(ぐすん。 |