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千年王城
作:黒雛 桜



5.横文字は最大の武器


 春は変なやつが出てくるって言うけど、その通りだ。


 俺の目の前にいるやつこそ、それだ。

 般若のような形相で俺を睨み、尚且なおかつ仁王立ちしているのは昨日会ったばかりの朱雀という女の子。

 俺は朱雀に謝る。
  必死に、謝る……


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいい!!」


 え?
 なんでこんな事になってるかって?

 まぁ、時をさかのぼること10分前。


 櫻井家は引越しの荷物がまだ片付かないうちに朝を迎えた。


 リビングへ行くと、俺以外の家族はもう起きて集まっていた。

「お、春彦おはよう」親父はさっそく今日から仕事。
「はるちゃん、おはよ」母は親父の弁当作り。
「お兄ちゃん遅い〜」妹は朝7時からのアニメを見ている。
「ハル、よく眠れたか?」……あれ。一人多くね……?

 リビングには父、母、妹――加えて同い年くらいの女の子がいますが?
 櫻井家は俺含めて4人家族だよ?

「朱雀さん、じゃあよろしく頼むよ!」親父が言って、弁当と鞄を片手に家を出た。


 女の子はにっこり頷き、親父を見送る。



 ――そうだった……!
 昨日会った変なスパッツ女が、我が家に住みつくことになったんだった……!!

「ってオイ、スパッツ! なんで当たり前かのように人ん家に居座ってんだよ!」

 俺はイライラをぶちまけてから、ハッと気付いた。
 スパッツ女と目線が合って、背筋に冷たいものが伝ったのだ。

 あ、やばいやばいやばいやばい……!
 スパッツ女――じゃない、朱雀さんの眉間にシワがっ!
 や、やばいやばいっ!! 鉄扇取り出そうとしてるぅ!!

 忘れてた。
 つい数時間前も危険なオーラを放ってたじゃん。
 こいつ、本気マジで俺の首落とす気だ。

 な、何とかしないと!!


 思いつく限りの選択肢は3つ。

 1. 戦う     (……俺、武器無いわ)
 2. 逃げる   (……え、どこへ?!)
 3. 必死に謝る(……俺のプライドが許さん)

 もちろん生存率の高い選択肢を選ぶさ。

 そんなわけで――


 
 冒頭に戻る。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいい!!」

 プライドなんていくらでも捨ててやるぜ。 (ぐすん。


「少年、そのような陳腐な言葉で許しを請おうなどとは!」

 うっそぉ。俺の必死さは朱雀さんには伝わっていないようで。
 やばい!

「うっ嘘ウソ! 冗談だって! ブラックジョークだぜ?!」

 自分で言うのもなんだけど……すげぇ苦しまぎれ。
 これじゃぁ朱雀さんを何とかするのは無理だわ。
 こりゃ死んだな、俺。

 ところが、朱雀さんは首を少しかしげて、一言。

「……ぶ、ぶら、ぶらっく……? うむ。そうゆうことなら、仕方ないな……」

 あ、もしかしてカタカナ苦手なんだ?
 絶対意味分かってないよね?



 そんなわけでどうやら、俺助かったようです!!


私も横文字苦手です(笑











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