千年王城(49/56)縦書き表示RDF


これからシリアス(?)な展開に突入…っぽです。


千年王城
作:黒雛 桜



49.「ル」の連呼を侮るなかれ


あぁ、もう帰りてぇな・・・

俺がそんな事を思っていたそのとき。
目の前に子猫がちょこんと座っているじゃねぇか。

なに? このアッサリ感は?


「にゃぁ」

可愛らしい一声をあげた子猫、いや、クリスティーナはつぶらな瞳で俺をじっと見つめている。

落ち着け春彦! ここで逃がすわけにはいかない! どうする? ガバッといくか?!
いや、ここは慎重にいくべきだ!!

心の中で自問自答を繰り返し、俺はゆっくり屈み、クリスティーナの前に手を差し出し優しく声を掛けた。


「ルールルル、ルールルル」


恥もアホらしさも忘れ、俺は【北の国からクニエイ作戦】を決行していたのだ。
その不思議な音色に導かれるように、クリスティーナは俺の手元に歩み寄り、その身を委ねた。


クリスティーナ、GETだぜー♪


子猫の小さな体を抱き上げ、小躍りしながらハゲ林を出ようと踵を返した。

その時、

竹林特有の静けさを破る、甲高い笛の音が聞こえてきた。
俺の背後に何者かの気配を感じる。

バッと振り向くと、
そこには奇妙な少年がぽつんと立っている。


どっからどう見ても小学5、6年生。
真っ白な髪に白い肌、平安時代風の白いへんてこな服で、たしか・・・水干とかいう服装だ。
その目は朱雀と同じ、金の目。
だが、朱雀とは違い、怖ろしい獣のように感じる・・・


驚きと同時に緊張が押し寄せる。
俺はクリスティーナを小脇に抱えながら、今までにない圧迫感を覚えた。


少年は無表情且つ、感情がこもっていない声で、俺に話しかけてくる。

「お手前が小生しょうせい眷属けんぞく八葦杜守ヤツヨシノモリノカミを攫った者か?」


・・・は?

朱雀以上に会話が理解できねぇ。
俺は首をかしげて少年にやんわり質問返しをしてみた。

「ボク、名前は? どっから来たんだ? お母さんと一緒じゃぁないのか?」
「命が惜しくば小生の問に答えよ」

小馬鹿にするように尋ねた質問。
少年は表情一つ変えずに、厳しく問いただした。


生意気なガキめ・・・!


態度を一変させ、俺はいつも通りの声で少年に言葉を返す。

「なんとかのカミなんて、俺は知らねぇよ! さらうとか人聞き悪いこと言うもんじゃねぇぜ」
腕を組みながら語尾荒く説教をたれ、少年を睨む。

すると少年は少しつり上がった目を大きく見開き、すぐ元に戻すと冷ややかな口調で告げた。

「ならば、今すぐお手前が連れている小生が眷属を開放し、この地から出てゆくがよい」

少年は竹笛を片手に持ち、俺に指差すようにその手を振り下ろす。
それはまるで真剣を向けられたような、気味の悪い感覚。


俺の背中に一筋の冷たい汗が流れる。




あっ、気付けば1万5千アクセス…!!
あぁ、目と鼻から涙が出そう…!
皆さまありがとうございますっ。後もう少しだけお付き合い下さい!











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