43.ハル、平和を勝ち取る
祝日
AM11:00
今日の俺は気分最高です!
なぜかというと、今我が家にスパッツを履いた悪魔がいないからなのです!
毎日毎日、ストーキングまがいのように後をついて来る朱雀。
折角の休日も奴がいると、平日と比べて疲れが3割り増しなのだ。
そんなわけで、妹・秋奈に以前四越デパート社長、青龍さんから貰った商品券を渡し、好きなものでも買ってこいよ! と、優しい兄を演じてみたわけだ。
当然上機嫌で券を掻っ攫い、デパートの開店時間に合わせて母と朱雀を(無理やり)引き連れ家を出たのだ。
もちろん、朱雀が秋奈に連れて行かれることは計算済み!
なぜか朱雀の波長と合う秋奈は、仔犬のように懐いているからな。
俺には理解できないが。
こうして俺はつかの間の平和を手に入れたのである!!
リビングのソファーに寝転がり、大きく伸びをする俺。
あぁ、久々に一人きりを満喫できそうだ・・・!
静かなリビング。
テレビの音声も、走り回る足音も、遠慮を知らない大音声のおしゃべりも、今は無い。
今この家に俺以外の人間はいないのだから。
「なんじゃ、お前さん一人か?」
が、ソファーの後から老熟した言い回しの、どこかで聞いた声が急に聞こえた。
口から心臓が飛び出るんじゃねぇか、って程ビビる俺。
不意打ちは厳しいってば・・・
勢い良く上半身を起こし、声の主を確認するも、目線の先には誰もいない。
俺は座ったまま、部屋をぐるりと見渡した。
おかしい、誰もいねぇ・・・
だけど、さっきの声は前に聞いたことがあったような、無いような・・・
一人ソファーの上で顎に手をあて、首を捻って考えてみるもさっぱりだ。
「こりゃぁ! 無視するでないぞ、ハル少年!」
再び聞こえた声は、俺の名前を言い当てた。
声の出所はやはりすぐ近くのようで、俺は立ち上がり、部屋全体を見渡したあと、ソファーの後に目線を落とした。
声の主を確認した俺の顔は、おそらく苦虫を踏み潰したそれだろう。
目線の先には杖をつき、二本足で直立するキツネの姿があった。
出てきたよ〜また来ちゃったよ〜・・・どんべえさん、じゃない権兵衛さん。
俺のつかの間の平和は、1時間30分であえなく終了・・・である・・・(ぐすん。
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