31.サメ現る
小川から突如聞こえてきた藁にもすがるような声。
「そそ、そごの殿方・・・だずげでぐだざい・・・」
目の前にサメがいる。そのサメ、しゃべってるんですが。
たくさん疑問点はあるが、以前にも似たような経験があるし・・・まぁ置いておこう。
俺は冷静にこの現状を分析し、“まぁ置いておく”という合理的結果を導き出した!
俺ってばマジで物分りいいよね。
むしろ、天才?
小川で悶え苦しむように、サメはビッチビッチと体全体を動かしている。
そりゃそうだ。
水深10センチじゃぁ干からびるのも時間の問題だろうな。
俺が見るからにサメはあの有名な人食いザメの一種ではねぇ。
明らかに小っちぇえ!
サケくらいのでかさで、見た目はなんつうか・・・
・・・キモチワルイ。
深海に住んでそうなギョロッとした目、ぬめり気のある皮膚。
・・・やっぱキモチワルイ。おぇっ・・・
触れるには物凄く抵抗感のある生き物が俺に助けを求めている!
いやしかし、人として見捨てるワケにはいかねぇ。
「だけど・・・だけど、やっぱ無理っ!!」
「頑張れ〜ハル〜」
他人事のように、暢気に座りながら泥まみれスパッツ女が野次を飛ばしてくる。
こんのやろう。
「ど、うが・・・お助げ・・・ぐだ・・ざ・・・」
その擦れた声を最後に、小川に静寂が訪れる。
最後の力を振り絞ってサメはとうとう息絶えた。
ラッキー♪
そんな時、心の中で小躍りする俺に水を差す一言が。
「残念だったな、ハル。この者まだ息があるぞ」
いつの間にかサメの側に座り込んだ朱雀。
全く動かないサメの体に手を当てて、わざわざ生存を確認してくれました。
しょっぱい顔で、唇をぐっと噛みしめる俺を見て、朱雀がむふふ、と笑った(ように見えた)。
そんなこんなで仕方なしに、死にかけのサメを学校へ運ぶことになったのだ。
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