千年王城(18/56)縦書き表示RDF


いつもより若干長めです…【汗

千年王城
作:黒雛 桜



18.はじまる祝典


 ついに今日という日がやって来た。
 櫻井 春彦(14)→(15)

 そう。今日は俺の誕生日なのだ……



「ただいまー」
「只今戻ったぞ」

 俺は玄関で靴を脱ぎ捨てたまま、リビングへ進む。
 朱雀はなぜか自分の草履を懐にしまって、リビングへあがる。

 草履を懐にって……あんたは木下藤吉郎(かの有名な秀吉)さんですか?


「はるちゃん、朱雀ちゃんおかえりなさい。早かったのねぇ」

 キッチンに向かったまま、母が弾んだ声で返事を返してきた。

 あ、いい匂いがする。

「今日は午前授業だったんだ、学校が早く終ってラッキーだったぜ」
「今日は午前で皆出て行くよう言われたのだ。なぜだ! わたしは給食が食べたかったのにっ……!」

 俺をよそに、一人悔しそうに顔をしかめる朱雀。

 ん、最後に言い放った言葉はなんだ?
 根本的に、学校の生徒じゃない朱雀さんは給食食べれませんよ?

「朱雀ちゃん、機嫌をなおして! 給食じゃないけど、今日はご馳走を用意するから♪」

 母が包丁をプラプラ振り回しながら笑顔で振り向く。

「おぉ♪ 奥方が腕を振るうわけだな!」
「ヒィッ! 母さん、分かったから包丁持ったまま腕を振るなぁああ!」

 サックリ包丁が飛んできそうな勢いなんですが!

 俺の真摯な叫びをよそに、そのまま母は上機嫌で再びキッチンと向き合う。

 も、いいや……
 せっかく早く帰ってこれたんだし、一人でぐーたらしてよう……


 午前授業っていいなぁ、のんびりできる時間があるし。
 うるさい妹の秋奈は、新しくできた友達と遊びに行っているみたいだし。


「暇そうだな、ハル」

 ソファーにひっくり返ってダレていた俺に、朱雀が覗き込んできた。
 び、びっくりしたぁ。

 つうか……
 安らぎのひとときを「暇」扱いですか?

「暇じゃねぇよ、安らぎを追い求めるのに俺は忙しいの」

 ひっくり返ったまま、何か企んでいそうな顔の朱雀を気にせず目を瞑る。

「ふふっ。遠慮は要らぬぞ、今日はハルの『誕生日』とやらではないか」

 ……えっ? 遠慮してないよ?

「そうだけど。誕生日だからって特別な事しなくていいからなっ!」

 俺はソファーからガバッと起き上がり、含み笑いをする朱雀に先手を打って、釘を刺す。
 絶対何か企んでやがるな、こいつ。


「……わ、わたしの善意をっ……蹂躙じゅうりんするつもりか?!」

 はっ!! 
 し、しまったぁあ!!

 顔を紅潮させ、ブルブル震えながら手にぎゅっと例の鉄扇を握り締める朱雀さん。
 今日は最強に怒ってるっ!!

 やばい!
 やばいやばい!
 俗に言う「やばす」!!

 恥もへったくれもねぇ。
 彼女の怒りを静めなければ、俺の命はねぇ。
 とにかく横文字だ! なんでもいいから横文字を使え、俺!!

「ごめんなさい、ごめんなさい! そうですっ、アレです。今日は俺のバースデイです! メモリアルです!! わぁウレシイナァ!」

 何か違う気がするけど、そんな小せぇコト構ってられるか!
 俺は体裁より、命をとる!!

 額にびっしり汗を浮かせて笑顔を作る俺は、朱雀の顔色をそーっと伺った。


「……わたしの好意をっ……!!」

 未だ小さな肩を小刻みに震わせ、明らかにこめかみ付近に浮き上がる青筋。

 そんなっ……! 横文字が効かない?!
 朱雀さんの頭から湯気がっ。(出てるように見える!)



 俺、ピンチ!!












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