12.なつは6じ、ふゆは5じにかえりましょう。
そのチンピラ風のあんちゃんは、いかにもガラの悪そうな歩き方で俺たちに近づいて来た。
効果音にすると、ぺった、ぺった、ぺった……って具合か。
うわぁ……近づきたくねぇ。
そう思った、瞬間。
チンピラ風あんちゃんと目が合ってしまった!
こわっ!
「よう、そこのガキ」
俺はいきなり声を掛けられ、ビクーッと肩が動いてしまう。
しかも『ガキ』って?!
「ふぅん、朱雀に気に入られるとは、大したガキじゃねぇか」
チンピラ風あんちゃんは俺を馬鹿にするように、口元に軽薄な笑みを浮かべながら、ジロジロと眺めまわす。
男にじっくり見られて気分が良いはずねぇ!(キレイなお姉さんなら別だけど)
そんな時、俺の後ろにいた朱雀が口を挟んでくる。
「玄武、口の聞き方をわきまえろ」
朱雀の刺を含んだ言葉に思わず俺は後ろを振り返った。
エ……、朱雀の知り合い?(しかもなぜに不機嫌……?)
「ハッ。どうしゃべろうと俺の勝手だ。それに、無断で領地に入り込んできたのはテメェの方だろうがぁ! あぁ?!」
チンピラ風あんちゃん、もとい『玄武』が凄んできた。
こっええ〜……
「黙れ、小童。貴様にいちいち断りを入れろとでも言うつもりか」
朱雀さん……どう見てもあんたの方が『小童』だと思いますが。
それにしても、なんだろう……?
しゃべり方とか、いつもの朱雀なんだけど。
今の朱雀を見ていると、背筋がゾクゾクするような――
なんだか、怖い。
しばし睨みあっていた二人だが、面倒くさくなったのか玄武がため息をつきながら、目線を外す。
「まぁ〜、いいや。朱雀なんかに用はねぇし、つーか暗くなってきたからもう帰るわぁ。じゃぁまたな、ガキ」
チンピラ風のあんちゃんは手をひらひらと振ると、踵を返して再び歩き出し、よたよた階段を降って俺たちの前から去って行った。
『暗くなってきたから』って、あんた小学生かよ?
「朱雀……なんだよ、あの人」
「うむ、まぁ心配するな、あやつに手出しはさせぬ。わたしが付いていてやるからな」
軽く流したあと、にっこり微笑む朱雀はさっきのピリピリした雰囲気がすっかり消えていた。
――って、まてよ?
「『付いていてやる』ってのは、もしかして……」 嫌な予感がするんですが。
「もちろん毎日この学校とやらに付いてきてやる。と言っているのだ!」
朱雀さん、満面の笑みなんですが。
それはやめてくれぇええ!!
俺の……俺の唯一の楽しい学校生活がっ……!
朱雀さんのおかげで、たった一つのオアシスが無くなる可能性――
――大ですが。(うっうう……ぐすん。
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