11.いまどき、むしろチンピラ風。
「俺、松井 謙吾!よろしくな〜」
「俺はリョウ。この学校って標準語しゃべるやつ多いから安心しろよ!」
「ちょ、押すなって!俺だってハルと話してぇんだから!」
HRが終ってからは俺の周りはこんな感じだ。
皆良いやつばっかでよかったと、心底思う。
「ねぇねぇ、櫻井君ってかっこよくない?」
「後で声かけてみよっかぁ〜♪」
え、マジで?
そんな朝のあたたかい交流も、授業開始のチャイムで終わりだ。
今日は入学式が体育館であるということもあり、3時限目で授業は終わり。
――1時限目の国語の授業。
「ん? どうした・・・転校生の櫻井。ノートを取らなきゃダメだろ」
国語教師からの指摘で俺はドキッとする。
ノートなんて、はなっから持ってきてないワケだし。
「すいません、家に……忘れてきたんです」
俺の言い訳を聞いて、先生は仕方ないな、といった表情で見逃してくれた。
転校生でよかったー!!
「ばか者、なぜ事前に四越百貨店で文具を揃えておかなかったのだ!」
廊下側の窓から、こっそり顔を出した朱雀さんが小声で話しかけてきた。
四越百貨店……あ。デパートって言えないのか。
ってか、まだいたのか!
とゆうか。
四越デパートに行けなかったのって、お前のせいだろうがぁ!
こんのクソ朱雀ー!!
こんな調子で2時限・3時限目の授業が終ってゆく。
まぁ、ところどころ朱雀の影は見えてたけど。
「おわったぁ〜! な、ハル!これから遊びにいかね?」
下校時間に話しかけてきたのはクラス一の元気者・謙吾だ。
鞄片手に好奇の眼差しを向けてくる。
「わりっ、俺まだ家の片付けとかあるから……ごめん、今度な!」
肩をすくめて両手を合わせて謝る俺。
残念そうな顔を見せた後、謙吾は「そうゆうことなら、仕方ねーよな。じゃ、また明日な!」言って、手を振り教室を出て行く。
……ホントいいやつだ。
「ハル、では家に戻るぞ」
廊下で待っていたのは、朱雀。
いなくなっていればいいな、なんて、淡い期待を持つもんじゃぁねぇな。
つーか、『嫌だ』なんて言えるわけねぇだろ?
生徒たちは早めに学校を出て行ったようで、廊下にはほとんど生徒がいない。
だだっ広く感じる廊下を、俺と朱雀が急ぐわけでもなく歩き出す。
その時、俺たちの目の前に、茶髪・耳にピアス、胸元を開けたYシャツ・ちょっとダブついたズボンの、見るからにチンピラ風のあんちゃんがふと現れた。
いやいや、中学校にいちゃいけないだろ、この兄ちゃん。 |