1.ハルと千年王城
春
もう少しで俺は15歳の誕生日を迎える。
この春休みが終れば、中学校生活最後の学年になるんだ。
大事な仲間と受験ギリギリまで遊んで、
卒業式が終ったら好きなあのコに告って、
ずっと東京で暮らしていくんだ……
ずっと暮らして……
ずっと……
……そう思ってたのに!
「てか、何でこの時期に引っ越さなきゃなんねぇんだよ!!」
俺は高速道路を走る乗用車の車内で、親父に不満をぶちまけた。
住み慣れた東京から家族で引越し。
「ははは。仕方ないだろ? 春彦。転勤なんだから」
笑いながら息子をなだめられると思ってんのか? 父よ。
親の仕事の都合だかなんだかしらねぇが、俺の事はどうでもいいのか?!
「お兄ちゃんわがまま言いすぎ〜」
俺をバカにするような口調で横やりを入れたのは、妹の秋奈。
この春から中学生になるムカつく妹……
「大丈夫よ、はるちゃん。転校したってすぐにお友達できるわよ〜。
だって、京都はすてきなところだもの!」
親父に負けず劣らず、能天気なことを言ってのけるのは、俺の母。
――柔よく剛を制す――
俺がどんなに頑張って反論しても、母には効かない……
ってゆうか『はるちゃん』はやめろって。
引越しなんて嫌だった。
だが今、大好きな東京都を離れて新天地である京都府へ……車で移動中だ……(ぐすん。
俺は櫻井 春彦(14)
後1週間もすれば、15になるけど。
生まれ育った東京を去り、親父の新しい勤務地、京都で暮らすことになった。
京都ねぇ。
実際俺あんまよく知らねぇし……
京都:日本の歴史的都市。
政治・文化の中心地となり、延暦13年に始まる千年の都。
別名を『千年王城』と呼ぶ……(「京都タウンガイドMAX」抜粋)
――やっぱ、あんまよくわかんねぇ。
春は出会いの季節、見知らぬ土地の京都。
あぁ……嫌な予感がするのは、きっと俺だけだろうな……
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