翼と竜・5
朝焼けした草原を、2頭の馬とそれに乗った2人――タバサとリュートが移動していました。
「タバサ、あとどれくらいで着きそう?」
リュートは、痛いのか、若干お尻を浮かせながらタバサに訊ねます。
「あと少し」
タバサはリュートの方を振り向かずに答えました。ちょうどその時、エギンハイム村が見えてきたので、タバサは指差しました。
「おっ、あともうちょい……ってタバサ、なんか村に近づいてない?」
「……なにか飛んできてる」
リュートは村の少し上を指差しました。タバサがその先を見みると、メガネの彼女には見えにくい程の大きさでしたが、確かに何かが飛んできています。それは次第に大きくなっていき…。
「……げっ!あれはっ!」
その正体――龍を見た瞬間、リュートは驚き、タバサは馬に鞭を入れました。
「タバサ!」
リュートも慌てて鞭をいれ、タバサの後について行きます。
――――@
数分後2人は村に着きましたが、竜はどこかへと飛び去ったあとでした。
リュートが村を見渡すと、特に壊れたところもありませんでしたが、村人の顔は曇っていました。
「あの、すいません」
リュートは近くにいた、どんよりとした雰囲気の青年に声をかけます。
「なんだい、旅の人…っ!?」
青年は顔を上げたと思うと、急に動きが止まりました。その視線の先には杖を持ち、マントを羽織ったタバサがいます。
「先ほどりゅ…」
「あなたはもしかして!?」
その視線に気が付かないリュートがそのまま質問しようとしましたが、村人の大声で遮られました。
村人は期待を込めた眼差しでタバサを見つめます。タバサは頷いて、短く自分の地位と名前を述べます。
「ガリア花壇騎士、タバサ」
「本当ですか!?おおい、みんな!騎士様が来たぞおおぉぉぉ……」
その村人はタバサが答えるや否や、タバサが来たことを叫びながら、すごい速さで村の奥へと走りさりました。その声を聞き、ある人は話を中断し、ある人は家の中から出てきて、マントと杖を持ってるタバサの周りに集まります。
「おぉ、本当だ!騎士様だ!」
「ありがたやありがたや…」
「騎士様がきた!これで勝てる!」
「僥倖っ…圧倒的僥倖っ……!」
「だけど、まだ幼いようだが大丈夫なのだろうか?」
「バカ、逆だよ。幼jy…もといロr…でもなくて少女で騎士だから強いんだよ」
「相手を油断させるから隙を突きやすい…ってことか?」
「ちげぇよ、存在する時点で最強なんだよ!」
「ヒャッハー!」
あれよあれよという間に、タバサの周りには大きな人集りが出来ました。タバサは少々鬱陶しそうにしつつ、
「この村の長のところに連れて行って欲しい」
と近くの村人に頼み、案内する村人について行きます。それに伴ってタバサの周りの円も移動しました。
「タバサ、大人気だなぁ」
いつの間にやら円の外に追いやられたリュートは移動する円の後をついて行きました。
「騎士様、おいでいただき、誠にありがとうございます」
村長宅に入ると、立派だった面影のある、しなびた白い顎髭のおじいさん――村長が目の端に涙を貯めてタバサの応対をしました。タバサは応接間に通され、ソファに座ります。応接間の出入り口には村人たちが溢れかえっています。
「詳しい話を」
タバサは淡々と村長に話を促します。村長は涙を拭い、話を始めました。
そんな中、リュートはというと、
「うわぁー、おにいちゃんうまい!」
「ねぇ、そのがっきかしてー」
「あっ、ずるい!ぼくにも!」
「まあまあ、みんな順番に貸してあげるから」
村長宅に人が溢れかえっており中に入れなかったので、外でリュートを弾き、子どもたちと戯れていました。
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