注意
今回は本文中に「R15に相応する性的表現」が含まれています。
苦手な方、又は、そういう表現が嫌いな方は、閲覧の際ご注意下さい。
「冷たい御曹司だな……」
尊実は今この部屋で起こった事も、全て読み取って知っているのだろう。苦笑いをしながら紗月姫へと近付いた。
「しかし、そのお陰で、お前は自分の記憶を取り戻す気になった訳だ」
尊実が部屋へ踏み込むと、紗月姫が数歩下がる。彼女が下がった分より近付いてくる尊実の後ろで、窓が音を立てて閉まった。
「お前が望んだんだ」
尊実が腕を伸ばし、紗月姫の頬に触れてから指先に髪を絡め、頭の後ろへ手を回す。
「お前が開けたんだ。〝自分の鍵〟を」
頭をゆっくりと引き寄せ、尊実は紗月姫の唇に唇を重ねた。
紗月姫が身体を硬くして、強く目を閉じる。
以前もされた事のある、触れるだけの口付けは、もう片方の腕が紗月姫の細い腰を抱き、尊実の身体に引き寄せられた瞬間、乱暴なくらい激しい物に変わった。
「ふっ……んっ……、んっ」
貪るような息苦しい口付けに耐えかねて、紗月姫は顔を逸らそうと尊実の胸を両手で押す。
しかし尊実の唇は離れず、痛いくらいの激しい口付けで紗月姫を攻めた。
「ぃ……やっ……」
顔を逸らし素早く下を向く。しかしその顔を、尊実は紗月姫の顎を掴んでグッと上げさせた。
「知りたいのか? 本当に知りたいのか? 紗月姫」
尊実は真剣な顔で繰り返す。
それは、紗月姫に対する最後の確認だったのかもしれない。
「知りたい……わ……」
激しい口付けから必死に逃げ出した紗月姫の声は、どこかかすれ、哀れみさえ感じさせた。
「……教えて……、尊実……」
いつものように「海堂様」 ではなく、紗月姫は名前で尊実を呼んだ。
それはまるで、自分の決意を示しているかのようにも感じる。
尊実は、涙を浮かべながらも綺麗な瞳に決意をみなぎらせる紗月姫を見詰め、両手で彼女の背中をまさぐった。
「お前が、望んだんだ……」
指がワンピースのファスナーを探る。軽快にファスナーが下りる滑らかな音が響くと、紗月姫は身体に開放感を覚えた。
「しっかり覚えておけ」
柔らかく優しい衣擦れの音と共に、紗月姫の身体を覆っていた布が足元へと落ちる。
尊実は、いつも見る以上に露出された紗月姫の白い肌を眺めると、両手で首から肩にかけてのラインをゆっくりと撫で、その首筋に唇を乗せた。
「教えて、くれるのよね?」
震える声で紗月姫は訊ねる。
薄く光沢のあるシルクレースのキャミソールを足元へ落とし、揃いで作られたブラジャーの上から唇を付けて、尊実は両脇から持ち上げるように胸を掴んだ。
「……んっ……!」
紗月姫は上半身を引こうとするが、引いても尊実の唇は追ってくる。無理に後ろへ引きすぎて転倒しそうになった彼女を、素早く腰を抱いた尊実の腕が支えた。
「約束は守る。俺が封印した全て。思い出させてやるよ」
そのまま紗月姫を抱き上げ、顔を近づけて、彼女の唇を舌の先でペロリッと舐める。
「……ベッドの中でな……」
紗月姫は強く目を閉じた。目を開けていたら泣いてしまいそうなのだ。
しかし目を閉じると、紗月姫の瞼には愛しい人が映る。
……神藤…………。
――お嬢様を愛していいのは、私だけですよね?
あなただけよ…………。
私を抱いていいのも。
私を、心ごと愛していいのも。
あなただけ…………。
――私の、お嬢様。
神藤……。
あなただけのものよ……。
私は、あなただけのものだから……。
「安心しろ」
ちょっと優しげな尊実の声と共に、紗月姫の身体は柔らかいベッドの感触を受け止める。
「乱暴な事はしない」
ブラジャーのホックが外される感覚と共に解放された胸に、いつも神藤に与えられていたのと同じ行為が施される。
「……た……けみ……」
閉じたままの紗月姫の目から涙が流れた。震える声を発する紗月姫の唇を、尊実の唇がふさぐ。
「……思い出せ。紗月姫……」
昨日の失敗があったせいだろうか。翌朝章太郎は、紗月姫が起きているかの確認をする仕事を、神藤を指名して彼と共に行う事にした。
ようは紗月姫の部屋へ朝の挨拶へ行くのだ。これは先日まで、お世話役の神藤のみが行っていた仕事だった。
総司から、神藤を紗月姫に近付かせないようにするという命令を受けている章太郎だが、紗月姫に「学校へ行ってくれるように頼む為」 という理由をつけて神藤を連れ出した。
誰の言う事を利かなくても、神藤の言う事は良く利く。という事は、屋敷の誰もが知っている事だ。たとえ総司の耳に入っても、説得の為ならと納得してもらえるだろうと思ったのだ。
本来ならば二人で部屋へ入るのだが、章太郎は紗月姫の部屋の前で、神藤に「一人で行け」 と促した。
「長居は出来ないぞ。それだけは解かってくれ」
そう念を押して。
「おはようございますお嬢様。起きていらっしゃいますか?」
章太郎がインターフォンで部屋の中へ声をかけ、神藤が鍵を開けてドアを開いた。
「失礼致します」
一声かけて中へ入る。もしかしたら以前のようにすでに着替え終えた紗月姫が部屋の中に居て、自分の姿を見て笑顔を向けてくれるのでは無いかという思いを抱くが、メインルームには誰も居なかった。
まだ寝室に居るのだろうか。そう思いながらぐるりと部屋を見回す。
その中で、神藤はふとおかしな物を見つけた。
窓の傍に、紗月姫のワンピースが脱いだままの形で放置されているのだ。その傍らにはキャミソールまで落ちている。
その場へ近付きながら、神藤は信じられない思いに捉われる。紗月姫がこんなだらしない事をするはずが無いのだ。
神藤はいきなり胸をよぎった不安を確認するかのように窓を見上げた。
彼の目に映ったのは、開いたままの窓の鍵。
「……お嬢様……?」
嫌な予感が頭をよぎり、血の気が引く。
「お嬢様!」
神藤は彼らしくないくらいに慌てて寝室へ駆け寄り、ノックもなしにそのドアを開けた!
空けた途端、彼は立ち竦む。
そこから見えたベッドの上には、紗月姫がうつ伏せで横たわっているのが見える。
しかし、上掛けから出ている腰から上は、白い肌が露になっていて、彼女が何も身に纏っていない事が解かった。
そしてその横に……。
「ノック位しろ。してる最中だったらどうすんだ?」
裸の上半身を起こした、尊実が居たのだ。
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