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鬼斬り かぐや 
作:千風



第6章 シンデレラストーリー ★7



「おぉーいっ!」
「生きてるぅ〜?」
『……?』
 ベランダから落下し戦いを終えて、朱実の敷地内の地面に座り込んでいる輝矢や銀ペーたちの元へ、パーティー会場から桜時や由雉が駆けつける。
「あちらも終わったようですね……」
「あちら?」
 少し笑みをこぼしながら言う輝矢の言葉に、銀ペーが首をかしげる。
「そっちは終わったのか?」
「ええ、ペンギンとゴリラのお陰で」
「レイラだってばぁ〜」
「あっれぇぇ〜〜っ?輝矢ちゃんっ、ボクはぁぁ〜〜っ?」
 桜時の問いかけに笑顔で答える輝矢に、レイラが突っ込みを入れ、竹人が悲しげな声を出す。
「竹人っ!?竹人はっ!?ああっ!!竹人ぉぉぉぉっっっ!!!」
「孔雀さんっ」
 そこに遅れるようにして、孔雀が現れる。無事な竹人の姿を見て、孔雀が安心したような笑みを浮かべる。
「まぁ良かったんじゃないですか。いい感じでパーティーぶっ壊れたし」
「そうだなぁ〜婚約者探しどころじゃなくなったし、これで竹兄もっ……」
「決めたよぉぉぉぉぉ〜〜んっっっ!!!!」
「へっ?」
 急に大きな声を出す竹人に、桜時や孔雀たちが首をかしげるようにして竹人を見る。
「ボクぅ〜っ!この人と結婚しまぁぁ〜〜〜っすっ!」
「えっ?」
 そう言って、竹人が掴んだのはレイラの手。
「へっ?」
「はぁっ?」
『ええぇぇぇぇぇっっっっ!!!!?』
 皆がこれ以上開かないほどに口を開き、目玉も飛び出そうなほど大きく目を開いて叫ぶ。
「けっけけけけけけけけけけけけけ結婚て竹兄っ……」
「相手間違えてるんじゃない?それとも急に失明したとかっ……」
「ううん〜っ!間違えてないないよぉぉ〜っ!」
 引きつった顔で問いかける桜時と由雉に、竹人が笑顔で答える。
「ボクを助けた時のあの勇ましい姿っ……鬼をも圧倒する素晴らしきパワーっ……もう最高さぁぁ〜っっ!!」
「まぁ〜っ!そんなに言われると照れちゃうわぁ〜っ!」
 竹人の言葉に、レイラが顔を赤らめながらも嬉しそうな笑顔を見せる。
「一生、ボクを守っておくれぇぇ〜〜っ!マイスワン〜〜〜〜っっ!!!」
「嬉しいっ……!竹人さんっ!!」
『……。』
 皆が呆然と見つめる中、熱々で手を取り合う竹人とレイラ。
「どっ……どうすんのっ……?お母様っ……」
「どっ……どうって……」
 唖然とした表情のまま問いかける梅人に、孔雀も唖然とした表情のまま言葉を詰まらせる。
「まっ……まぁいいんじゃ……ない?竹人も気に入ってるようだしっ……一応、トリ……みたいだしっ……」
 引きつった顔のまま、ぎこちなく笑う孔雀。
「嫁はっ、丈夫なのが何よりよねっ!オホホホホぉぉぉ〜〜っ!」
「自分に言い聞かせてるね……あれは……」
「ん〜あれが姉になるのか……」
 引きつった笑いを続ける孔雀を見ながら、複雑な表情を見せる松人と梅人。

「よくわかんねぇーけど、まぁいいかっ……とりあえず色々うまくいったわけだし」
「そうですねぇ」
「あっ?」
 何となく心から笑えない状況の中、妥協するように頷く桜時と輝矢。その時、桜時が輝矢を見て、何かに気づいたような表情となる。
「んだよっ?まぁーた怪我したのかっ?」
「へっ?」
 桜時が、鬼爪が刺さって負傷した輝矢の右肩を見て、徐に輝矢の右手を取る。右手を取られ、目を丸くする輝矢。
「おぉーいっ!由雉っ!輝矢の傷、見てやってくれぇっ!」
「あっ……あのっ……」
「何だぁ〜?痛むのかぁ?」
 由雉を呼んでいた桜時が、珍しく遠慮がちに声をかけてくる輝矢の方を振り向く。
「いえっ……痛みよりも……驚きの方がっ」
「へっ?」
 輝矢の言葉を聞いた桜時が、輝矢の右手を掴んでいる自分の手を見る。
「……。」
 一瞬、固まる桜時。
「ふぎゃああああああっっっ!!!!!」
 桜時が悲鳴をあげて輝矢から手を離し、猛スピードで後退していく。
「触んなっつってんだろぉぉーーがぁぁぁーーっっっ!!!!」
「いえっ、ハチが自分からっ……」
「うおおおおおおおっっっ!!!何やってんだっっ!!俺ぇぇぇぇぇっっ!!」
 苦悩するように激しく頭を抱える桜時。
「ちょっと面白くなってきたねぇ〜」
「いやいやいやっ!まだまだ輝矢んは渡さへんでぇぇぇっっ!!!」
「サル、まったく相手にされてないじゃん」
「がいいいいぃぃぃぃーーんっっっ!!!!」
 そんな輝矢と桜時の様子を見ながら、門貴と由雉が漫才のような会話を繰り広げる。
「今日を記念日にしましょうねっ、ハチっ」
「だっから何でもかんでも記念日にすんじゃねぇーよっっ!!お前はぁぁっっ!!!」
「“初めてのタッチ記念日”っと……」
「その誤解を生みそうなネーミングやめろぉぉぉっっっ!!!!」
 楽しげに笑う輝矢に、怒鳴りまくりの桜時。
「レイラっ♪」
「竹人さんっ♪」
 こうして、雀国で繰り広げられたシンデレラストーリーは、無事、ハッピーエンドに終わった。




 翌朝。
「じゃっ!元気に旅立って行ってねぇ〜っ!さぁっ!デートに行こうかぁ〜っ!レイラっ!」
「ええっ!竹人さんっ!」
『……。』
 輝矢たちを適当に見送って、さっさとデートへと出かけて行ってしまう竹人とレイラ。
「私たちにまったく感謝していませんね、あれは」
「勝手に連れてきたんだから元居たとこまで送ってけって感じだよねぇ〜」
「まぁ勘弁してくれよっ、元々あーゆー無責任な人なんだっ、竹兄っ」
 不満げに言う輝矢とユキジに、ハチが苦い笑みを向けながらフォローを入れる。
「まぁハチが優しく微笑んで“愛してるよ”と言ってくれるなら、勘弁してあげてもいいですが」
「言うかぁぁぁっっ!!!そんなことするくらいなら勘弁せんでいいわぁぁっ!!!!」
 無理な条件を突きつけてくる輝矢に、ハチが強く怒鳴り返した。
「……っ?あっ、孔雀さん」
 屋敷の中から、千鶴や銀ペーを連れた孔雀が現れる。
「今回も世話になったわね、破天荒女」
「まぁ朱実を助けると、たっぷり礼金が貰えるんでいいですよ。いつでも呼んで下さい」
「そうね、警備隊があまり頼りにならないようだから、また呼ぶかもね」
「うっ……!」
 孔雀のトゲのある言葉に、顔を歪ませる銀ペー。
「竹人のことも、まぁ何とか収まったし、とりあえずは礼を言っておくわ。ありがとう」
「とりあえず受け取っておきます」
「……っ」
 互いに笑顔を見せる輝矢と孔雀。
「それと桜時」
「えっ?あっああ〜、今度は10日やそこらで帰って来ないから心配なっ……!」
「たまには顔くらい見せなさいよ……」
「えっ……?」
 孔雀の言葉に、ハチが戸惑うように目を丸くする。
「……っああっ!」
 ハチが笑顔を作り、大きく頷いた。
「桜時様ぁぁぁっっっ!!!!お気をつけてぇぇっっっ!!!!!」
「じゃあなぁ〜っ!!踏みつけ女どもぉぉ〜っっ!!!!」
「おぉぉぉーーーうっっっ!!!」
 千鶴や銀ペー、孔雀に見送られながら、輝矢たちは再び雀国を後にした。




「レイラぁぁぁぁ〜〜〜♪君の笑顔はぁぁ〜〜太陽ぉぉぉ〜〜〜♪」
「きゃっ!竹人さんったらっ!照れちゃうけど最高に嬉しいぃぃ〜〜っ!」
「ボクの心でぇ〜輝き続けてぇぇぇ〜〜♪マイスワン〜〜〜〜っ♪」
 その後、竹人とレイラは周囲が少し引き気味の中、幸せに暮らしていくのであった。



6章終わりましたぁ〜。
ホント、こんなロマンスのカケラもない、シンデレラストーリーですみません(・・;)
シンデレラファンの皆様に、深くお詫び申し上げます。






千風のブログ「千風の押入れ」へっ!←裏話満載っ!の予定です。


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