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鬼斬り かぐや 
作:千風



第6章 シンデレラストーリー ★6



「んっ……んんっ……!」
 先ほど楓の鬼石を喰らい、ベランダから落下して地面にめり込んでいた銀ペーが、やっと起き上がる。
「ふぅっ……何とか生きてっ……んっ?」

――――ドッスゥゥゥーーンッッッ!!!――――

「ぐへはあああああっっっ!!!!」
 やっとの思いで起き上がった銀ペーの上へと、勢いそのままに着地する輝矢。
「あっ、すみません」
「お前……いつか殺してやるっ……」
 まったく気持ちを入れずに謝る輝矢に、銀ペーが弱々しくも憎しみを込めて呟いた。
『オーッホッホッホッホっ!!喰らいなさいっ!“鬼石流”っっ!!』
 椿と楓が輝矢へ向かって手を掲げると、輝矢たちの近くに落ちている崩れ落ちたベランダの瓦礫が浮き上がり、一斉に輝矢たちに向かって飛び出していく。
「……っ」
「ほえっ?だあああああああっっっ!!!!」
 銀ペーを蹴り飛ばし、向かってくる瓦礫の外へと放り出す輝矢。
「“月器・水月”っ」

――――バァァァァァァァァァーーーーーンッッッ!!!――――

 輝矢が水の刃を放ち、八方から飛んでくる瓦礫をすべて打ち砕く。
『チっ……』
「お前らの敵はぁっ……輝矢だけちゃうでぇぇっっ!!!」
『……っ!』
 鬼石流を打ち砕く輝矢を見て顔をしかめていた椿と楓に、横から飛びかかっていき如意棒を振り上げる門貴。

――――ボォォォォォォォォ〜〜〜ンッッッ!!!――――

『キャアっ!』
「へっ?」
 椿と楓が、白い煙に包まれて、先ほどまでの人間の姿へと戻り、か弱い悲鳴をあげる。その声に思わず手を止め、2人のすぐ前へと着地してしまう門貴。
「怖いわぁ〜っ!椿っ」
「怖すぎて楓、泣いちゃうぅ〜」
「えっ!?あっ!いっやぁ〜!ごめんなぁ〜っ!女の子に如意棒向けるなんて、俺ってば男ちゃうわぁ!」
『……っ』
 怖がる2人を見て、必死に謝る門貴。すると怖がっていた2人が怪しげに微笑み、右手を地面へ付ける。
『“鬼石”っっ!!』
「へぇっ?うわあああああああっっっ!!!!」
 再び鬼人化し、鬼石を放つ椿と楓。油断しまくっていた門貴は、あっという間に鬼石に飲み込まれ、吹き飛ばされる。
『ウフフっ……バカな男っ……』
 吹き飛ばされた門貴を見て、微笑む椿と楓。
「うわっちゃ〜っ!あのサル、アイツらのワナにどっぷりはまりまくってんなぁ〜っ!」
「人選をミスりましたね」
 輝矢に蹴り飛ばされたはずなのに、いつの間にか輝矢の横に立って言う銀ペーの言葉に、輝矢が少し呆れたような顔を見せた。
「ううっ……輝矢んっ……ごめんっ……俺にあんなカワイ子ちゃんはっ……倒せへんわっ……」
「はいはい。もういいですから、大人しくやられていて下さい」
 体を引きずってやって来る門貴に、輝矢が冷たく言葉を放つ。
「後は私がやりますから……」
『……っ』
 目つきを鋭くする輝矢を見て、余裕の笑みを浮かべる椿と楓。
「“鬼爪・天回”っ!!」
「……っ」
「うわわわわっ!」
 楓が放つ10本の鬼爪を、輝矢が素早く飛び上がってかわし、銀ペーは転がるようにして必死に避ける。
「“鬼石”っっ!!」
「……っ!」
 飛び上がった輝矢に、今度は椿が鬼石で瓦礫を向ける。
「三日月っ……!」
 輝矢が空中で三日月を操り、向かってくる瓦礫を1つずつ粉砕していく。
「ウフっ、“鬼爪”っ」
「……っ!」
 鬼石を粉砕している輝矢に、後方から鬼爪が突っ込んでくる。
「……っ!ううっ……!」
 空中では身動きが取れず、右肩に鬼爪を受ける輝矢。
「……っ!ああああ……っっ!!」
「輝矢っ!!」
 鬼爪を受けた輝矢に、さらに鬼石が押し寄せ、輝矢が地面に叩きつけられるようにして落下する。
「うっ……ううっ……」
『オーッホッホッホっ!!』
 地面に落ち、苦しげな声を出す輝矢を見て、高々と笑う椿と楓。
「踏みつけ女っ!!」
「完璧な連携やっ……あれじゃあいっくら輝矢でも1人じゃどうにもできんっ……」
「そんなっ……!」
 門貴の弱気な言葉に、銀ペーが険しい表情を見せる。
「クソっ……!相手がカワイ子ちゃんにさえ変身せんかったらっ……!」
「それ、真剣な顔で言うことか……?」
 これ以上ないくらい厳しい表情で苦悩するように言う門貴に、銀ペーが少し呆れた顔を向けた。
「ふぅ〜っ、痛っ」
 起き上がった輝矢が、少し顔を引きつりながら、右肩に刺さった鬼爪を抜く。地面に滴り落ちる赤い血。
「はぁ〜ちょっとキツいですねぇ〜」
 立ち上がった輝矢が、悩むように呟く。
「せめてどちらかの動きが封じられれば…」
「はいはいはぁぁぁ〜〜〜いっ!」
「えっ?」
 聞こえてくる場違いに明るい声に、輝矢がゆっくりと振り返る。
「はぁぁぁ〜〜〜いっ!」
「……。」
 輝矢が振り返った先にいたのは、先ほどレイラとともに降下した竹人であった。無駄に明るく手を振っている竹人を見て、輝矢が静まり返る。
「今、忙しいので、また今度にして下さい」
「だっびぃぃーーんっっっ!!!!」
 すぐさま竹人から目を逸らす輝矢に、竹人が激しくショックを受ける。
「ひどいよぉ〜輝矢ちゃ〜んっ」
「だから今、アナタと遊んでいる余裕はっ……」
「ボクだって一応、朱実の雀人なんだからねぇ〜っ?」
「えっ……?」
 自信ありげな笑みを浮かべる竹人に、輝矢が目を丸くする。
「……っ」
 椿と楓へ両手を向ける竹人。
「“縛竹”っっ!!!」

――――ヒュウウウウウーーンッッッ!!!――――

『んなっ……!!?』
 竹人が言霊を唱えた途端に、椿と楓の立つ地面から無数の枝が伸び、2匹の体に絡みついて動きを封じる。
「“花力”っ……」
「すっごいでしょ〜っ?」
「きゃあああああっっっ!!竹人さん、カッコイイーーーっっっ!!!」
 目を見開く輝矢に、自慢げに笑みを向ける竹人。その横でレイラが狂ったように黄色い声援を飛ばす。
「このっ……!」
「こんな枝っ……!」
 竹人の縛竹を払い飛ばそうと、全身に力を入れる椿と楓。
「そうはさせるかよっ!」
「竹人さんの作ったチャンスっ!無駄にはさせないわっ!」
 そう言ってその場に寝転がる銀ペーと、ドレスのまま高々と左足を振り上げるレイラ。
「“ペンペンっ!!スライディーーグっっっ!!!ジェッッット気流”ぅぅっっ!!!」
「“長靴ぅぅーーっっシューティング”っっっっ!!!!」
『何っ……!?うあああああっっっ!!!!』
 縛竹から逃れようとしていた椿と楓にそれぞれ、銀ペーの頭突きとレイラの飛ばした長靴が直撃する。
「今だぁぁぁっっ!!踏みつけ女っっ!!」
「やっちゃえぇぇぇ〜〜っっ!輝矢さんっ!!」
「……っ」
 叫ぶ銀ペーとレイラを見て、輝矢が少し笑みをこぼす。
「三日月っ」
 改めて三日月を構えた輝矢が、動きを封じられ、先ほどの攻撃で苦しんでいる鬼人たちの方へ飛び出していく。
「いいこと教えて差し上げましょうか?お嬢さん方っ」
『……っ?』
 輝矢の言葉に、怪訝な顔を見せる椿と楓。
「女の価値を決めるものは“外見”ではありませんっ」
 輝矢が三日月を振り上げる。
「“根性”ですっ」
『うっ……!』
「……っ」
 輝矢が笑顔からすぐさま表情を鋭くし、顔をしかめた鬼人たちに飛び込んでいく。
「……っ!」
『ううっ……!!』
 椿と楓に向かって、素早く三日月を振りきる輝矢。
『きゃああああああっっっ!!!!!』
 激しい断末魔を残して、椿と楓が消えていく。




「……っ」
 断末魔を残し、砂となって掻き消えていく椿と楓をパーティー会場から見下ろしていたママハッハが、表情をしかめ、その場を去ろうと振り返る。
「……っ!」
『……。』
 振り返ったママハッハを待ち受けるように立っているのは桜時と由雉。
「どこへ行かれるんです……?ママハッハさん」
「娘たちが鬼人だったのに、あなただけが人間〜なんてバカな話はないでしょ〜」
「クっ……!」

――――パァァァァァァァァーーーーーンッッッ!!!――――

 桜時と由雉の言葉に顔をしかめたママハッハが、全身から光を放つ。
「こうなったら貴様らだけでもっ…!!」
 桃鬼へと姿を変えるママハッハ。
「“鬼石”っっ!!」
「“左翼・滅羽”っ」
ママハッハが向けてきた瓦礫に、由雉が赤色の羽根を放つ。

――――パァァァァァァァァァァーーーーーンッッッ!!!――――

「なっ……!」
 由雉の羽根を受けた瓦礫は、その場で自動的に崩れ去る。驚きの表情を見せるママハッハ。
「クっ……!はっ……!」
「“瞬花っ……」
 表情を引きつったママハッハが気配に気づき顔を上げると、上空には村雨丸を構えた桜時。
「ううっ……!待っ……!!」
「終刀”っっ!!」
「うぐっ……!ぎゃああああああっっっ!!!!」
「……。」
 村雨丸に切り裂かれ、ママハッハが桜の花びらとなって掻き消えた。







千風のブログ「千風の押入れ」へっ!←裏話満載っ!の予定です。


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