追憶のツバサ Zodiac blessing(3/8)縦書き表示RDF


今回からだんだんと核心に迫っていきます。

追憶のツバサ Zodiac blessing
作:欅 隆一



第3話〜リーブラ覚醒〜


ズルッ・・・・・ズルッ・・

海人は、足を引きずりながら、秘密基地の入り口まで辿り着き、腰を下した。

「はぁ・・・はぁ・・、雪奈・・・・。帰ってきたよ・・・俺・・」

もう体力の限界だった。意識が朦朧とする中、雪奈の名前を呟いた。
再びこの場所に帰って来れたが、
姿はまるでゲームの世界のキャラクターのように、現実離れしていた。
頭には透き通った輪、背には青白く輝く翼、服も日本には無いような物だった。
その中でも一番目を引くのは、彼の翼だった。
淡く光る翼は、多少傷ついてはいるが、その美しさは霞まない。

「どこだ・・・雪奈・・・」

そう言うと彼は気絶して、入口に倒れこんだ。
朝日が彼の体を照らす。
差し込んだ光が神々しく光り、
まるで一枚の絵画のようだった。





昇っていた太陽も沈もうとしていた頃、
秘密基地に一人の少女がやってきた。
彼女の名前は葉月雪奈。
海人の幼馴染であり、世話焼きであり、最も大切な人だ。

「だれ・・?」

彼女は、入口に倒れこんでいる海人に対して言った。
遠くから見ていたせいか、最初はだれか分からなかった。

「か・・・いと?海人・・なの?」

近づいて初めて気がついた。
姿は変わり果てていたが、顔を見てはっきりとわかった。

彼女はあの日から毎日、何があってもこの時間に1人でここを訪れていた。
その努力がやっと実を結んだのだ。

「ひどい傷・・どうしよう・・」

あまりに傷がひどかったので、もう駄目かもしれないとさえ思えた。
でも触れてみると、海人の体温が手に伝わってくる。

「海人・・・・・・帰ってくるの・・・・遅いよ・・」

涙ながらにそう言った。
雪奈の頬を流れた涙は、海人の手に、
ぽつり、ぽつりと落ちた。
雪奈は海人の手をぎゅっと握りしめると、彼の横に座り込んだ。

「うぅ・・・・・雪奈?」

雪奈に気づき、海人は目を覚ました。

「海人!?良かったぁ・・・」

あまりの喜びに緊張がとけて、大粒の涙を流しながら、海人の胸に飛び込んだ。

「痛い・・・・痛いって・・おい・・」

海人も泣きながら雪奈を抱きしめた。
2年ぶりの再会。
あの頃は、2年間も離れ離れになるなど考えもしなかっただろう。
互いに再会を喜び合った。

「早く帰りたいな・・家に・・・」
「・・うん、帰ろう・・傷も治さないと」
「雪奈の治療はちょっと怖いな・・」

笑いながらつかの間のあいだ話していた。
海人は今とても幸せだった。
こうやって話している時間が、ありふれた会話が、
彼にとっては最良の幸せなのだ。

いつしか海人の頭の上にあった輪は完全に消えていた。
そして突然、海人の腕が淡い青色に光りだした。

「な・・・・・なんだこれ、腕が光ってる・・」
「なにこれ・・」

彼の手の甲に不思議な模様が刻まれていた。

「なんだ・・?これ・・・・・!?あれ・・傷が・・治ってる!?」

いつしか彼の体を覆っていた痛々しい傷は、きれいさっぱり消えていた。
心地よい風が吹いた。
全身が青白く光り、彼の中に温かいものが流れた。
おだやか・・・それでいて、力強いものを感じた。


彼の体に宿った力・・・・・"Zodiac"

横道十二宮と呼ばれる。
主に占い等に用いられるものである。
彼の手に刻まれた模様、Ωに_を足したような模様。

「天秤宮」

リーブラとも呼ばれ、携帯の絵文字などにも使われている。
何故このようなものが、彼の手に刻まれたのかは分からないが、
世界を動かす、大きなカギを握ったのだった。

「この模様どこかで・・・・・あっ!?そうだ!」

彼女は慌ただしく秘密基地に駆け込んだ。
海人も慌てて後を追った。

「ほら・・・これ・・。私たちが居た頃にはこんなの無かったけど」
「同じだな。手の模様と・・」

秘密基地の中に大きな幕が張られていて、リーブラの模様が描かれていた。

「あとこれが・・」
彼女が差し出したのは手紙だった。
差出人はミカエルで、"海人以外は解読不可"と書かれている。

「ミカエルから・・・・」

海人は手紙を開けると、中には真っ白の紙が1枚入っていた。

「真っ白?」

雪奈は首を傾げながら言った。

解読の叡智リード・インテリジェンスだな」
「リード・イン・タンス?何それ???」

彼女は特有の天然のボケをかました。
彼はくすくす笑いながら、

解読の叡智リード・インテリジェンスだよ。まあ高度な魔法封印みたいなものかな」
「へぇ・・」
「へぇって・・学校で習っただろう?」
「私、実技派だから」

彼女はふくれっ面をして、嫌味そうに言った。

「相変わらずだなぁ・・」
「もぅ・・いいから早く見なよ」

彼は紙切れに手を当てると、

「我は、大天使ラファエルラヴァの名を継承する者、皆川海人の名において、解読の叡智を施行する」

そう言うと紙切れは赤く燃え、字が浮かび上がってきた。
そこには、海人への謝罪と、秘密の内容が簡潔に綴られていた。

海人へ


君には本当にすまなかったと思っている。
悔やんでも悔やみきれない。
もし君が私を怨んでいるのなら、
ここから先の内容は読まずに処分してくれ。







この内容は、君と君の信頼できるものにしか言わないでくれ。
あの事件はこの新界、人間界、時の雫全ての問題だ。
私はもうどうする事も出来ない。
だが、Zodiacの宿る君になら、なすことができるかもしれない。
お願いだ。
これらの世界を救えるのは君だけなんだ。
どうか再び力を貸してほしい。



手紙の内容はこれで終わった。

「ミカエル・・・・・分かったよ。神界の友を救ってみせるから!!これは俺にしかできないことなんだ。必ず・・・必ず成し遂げるから!!」

こうして、彼のすべてを巻き込んだ神々の戦いが始まろうとしていた。
恐怖の神界戦争が・・・・再び・・・・・・。


もっと2人をラブラブにさせたかったんですが、
それは次回をお楽しみに(#^.^#)






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