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ワルプルギスガーデン 見習い魔女の探索行 作者:フジムラ

ワルプルギスガーデン

14/31

幕間

        §

 胸が苦しい。動悸が治まらないのは、走りすぎたせいばかりじゃない。
 一目見て気が付いた。当たり前だ。ずっと見ていたのだから。

 でも、きっと彼女は自分を覚えていない。
 当たり前だ。目立たないよう、注意深く過ごしていたのだから。

 感情を隠すのだけは上手かった。
 痛くない。苦しくない。そう言い聞かせて、全てをやり過ごす。

 元気な莉理まつりは連れていかれた。
 泣き虫のリィズアンナもいなくなった。

 あの女の目に留まらぬよう、興味をひかないよう。
 彼女もすぐに目を付けられた。当たり前だ。目立ち過ぎるのだから。

 でも、天使に選ばれたのも彼女だ。

 石ころのように、うずくまっていただけの自分を置いて、全ては終わって始まった。

 一体自分はどうすれば良かったんだろう。

 クリームパンはあんなに美味しかったのに、胃には硬いものを詰め込まれたよう。
 腕の端末が鳴っている。倒れていたせいで定時連絡が滞っている。

『何かあったのか? 報告を』
「なんでもないです。鳥型5体。獣型3体。欠片の回収は14」
『痕跡の清掃はこちらで済ませておく。続けて実戦になりそうだが、行けそうか?』
「問題ないです」
『何か食べておけ。すぐに動いてもらう』

 紙袋の中のパンを取り出し、口にする。味のしないそれを、無理矢理飲みくだした。

        §
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