編みかけのマフラー。
あなたにいつかしてほしかった、グレーのマフラー。
下手なりに少しずつキモチを込めて編んだ。
でも、あなたは結局、このマフラーをしてもらえることはなかった。
編みかけで終わってしまった。
あの年の冬は寒かったでしょう。
私はあなたのそばから姿を消してしまったから
たとえ完成していたとしても
渡すことはできなかったでしょう。
たとえあなたのそばを離れなかったとしても
私には渡す勇気すらなかったから。
離れてから何年か経った。
あなたの事は忘れてはいなかったけれど
あのキモチはどこへいったのかな・・・・?
想いがほどけていくようにマフラーもほどいた。
抑えきれずにほろほろと悲しみを零した。
はらはら 毛糸がほどけてゆく。
ほろほろ 哀しさが零れゆく。
想いをほどき、毛糸をほどき。
やっと私は立ち直れた。
全てほどいたマフラーをもう一度、編んだ。
それはもうあなたにではなく
『今』の私の大切な人に。
今度は編みかけで終わらないように
しっかりと、キモチ噛み締めて。
今度はキモチが伝わるように
勇気を出して伝えるんだ。
編みかけだったマフラー。
今は私の一番大切な人の首に、巻かれている。
キモチを込めて編んだグレーのマフラー。
ね、どう?暖かい?
あなたにキモチは伝わった。
だからこうして一緒にいるんだよね。
今年の冬は寒くないね。
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