挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
もし異世界で未来を観たなら 作者:Sue

第一章 『原点の未来』

22/25

第一章幕間 『密談』

 


 ――影が、そこにはいた。

 場所は暗く、ただ滴る水の音だけが連鎖するそこは、湿気が混じった洞穴の奥だ。
 光り輝くのは壁――そこに取り付けられた発光性の石で、淡青の朧気な光を妖艶と放っている。

 鍾乳洞すら思わせるその歪な形の洞穴。その奥に、一つのこぢんまりとした扉があった。木製で古びたそれは既に腐敗し、しかしその奥から聞こえる人の声で、その扉としての存在意義を何とか保っていた。

 聞こえる声は二人。
 一人は青髪を揺らす美丈夫で、もう一人は黒いフードに身を包み、肌の色すらも確認出来ない。
 ただこの二人は、辺りを纏うオーラの違いが歴然としており、禍々しさではフードの人物が頭何個か飛び出ていた。

「きさ、ま……話が違うぞ!」

「何を言う? 話が違うなんてことは無い。言ったはずだぞ。俺がこの戦闘は不必要だと判断した場合、サ……アイラの方に肩入れすると」

「―――ッ」

 ただ、フードから聞こえるどこか萎れたその声だけが、フードが男だと判断する要素となっていた。
 フード男の貫禄的な物言いに、青年は何も返すことが出来ず、ただ歯痒そうに歯噛みするだけだ。

「前にも言ったが、俺は貴様のその乱暴な闘い方をあまり好まない。故の、個人的な好みでの選択だったが、その判断は正解だったろう? あそこで貴様に力を注いでいても、武器が無い状態でなど馬鹿馬鹿しすぎる。そこは、責められる言われ等ない」

「……あぁ。その通りだ」

「また別の機会を伺うさ。アイラにも、この事は言っておかねばならないしな」

「……こっちの、か」

「当然だ」

 二人の会話には、他人が聞けば意味が分からないような問答が多い。が、二人はそれを至極当然のように理解しているらしく、淡々と感情のない密談は進められていった。

「もう、いい。私は……今は、疲れた。少し、休ませてくれ」

「あぁ、構わないさ。さっきはああ言ったが、次の機会は大分後になるだろうからな」

 フード男の言に、青年は無言の首肯で意思を示す。そのまま壁に寄り掛かり、ひとまずこれ以上話す気はないことを掲示した。
 フード男はそれを受け取り、そのまま後方――腐れた扉を赤毛から覗ける両の目で見つめて、言った。

「よく、戻って来たさ。……俺は、忘れちゃいねえぞ。ボローニア」

 次の瞬間、青髪の青年を残して、フードの男は姿を消した。





次回から第二章に入ります(ようやく)。
これからも末永く、よろしくお願いします。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ