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吸血記録 作者:Haizi
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第七幕 傷だらけの涙たち

第七幕 傷だらけの涙たち

 もうどれだけの方法を試したのだろう……。
 数え切れないほどの夜を越えてきた砂亜羅たちは、夜の公園にいた。
「よし、いいか砂亜羅。俺達は先に行くから、ちゃんと家に帰ってこいよ」
 心配そうな砂亜羅と飛鳥、敦史をよそに、剛は希望に満ちた目をしていた。
「本当に私一人なの?」
 砂亜羅が聞いた。
「あぁ。でも、大丈夫だって、お前ならできるよ」
 午後十時十五分、五分前に歩き出した剛たちは、公園を出た所で砂亜羅を隠れながら見ていた。
「よし、砂亜羅を見失うなよ」
 剛の声に敦史と飛鳥が頷いた。
 そして、砂亜羅が歩き出すと、
「んでよ、俺のバイク倒しやがった奴がいて、もうガチギレ!修理代が…――」
 と、若い男二人が公園の中へと入って行った。
 砂亜羅に気付いた二人組の男は、近づいていくと肩に手を置いた。
「…んにゃろぅ…」
 敦史が出て行こうとしたが、剛がもう少し待てと止めた。
「ねぇ、こんな時間に一人で何してんの?」
 そう言って砂亜羅の前に立つ。
「なぁ、どっか行こうぜ、いいだろ?」
 と、腕を掴んだ。
 砂亜羅は男の顔を見て、ニヤリと不気味な笑顔を見せた。
 その瞬間、男の顔が急変した。
 後ずさりしだした男を見て、剛が異変に気付き飛び出した。
「やばいっ!」
 剛の声に、敦史と飛鳥も続く。
「うわあぁぁっ!!」
 頭を抱えて男がしゃがみこむ。
 走りこんだ剛が男の前に立った。
「砂…亜羅…」
「剛っ!」
 敦史が叫ぶ。崩れ落ちる剛を目前に、敦史は砂亜羅の両腕を後ろから抑えこむ。
「逃げろ!早く!」
 二人の男は、混乱したまま走って逃げていった。
 吸血鬼となった砂亜羅は、敦史を払い除けた。
 頬にうっすらと痛みを感じる。どうやら爪が当たってかすり傷になったようだ。
「砂亜羅ちゃんやめてっ!お願い、元に戻ってよ砂亜羅ちゃん!」
 と泣きながら叫んだ。
 砂亜羅は、飛鳥に気付き目の前に立ち、腕を振り上げる。
「やめろ、砂亜羅!」
 敦史が叫んだ。
 すると、砂亜羅は急に飛鳥にもたれかかるように倒れた。
「元に戻ったの…?」
 砂亜羅を支えきれず、尻餅をついた飛鳥が言う。
「大丈夫だったか?」
 敦史は駆け寄り、砂亜羅を持ち上げた。
「う…ん…」
 砂亜羅がすぐに目を覚まし、「あれ…風上、それに桜田君も、どうしてここに?お兄ちゃんは?」
 敦史はためらいつつも、砂亜羅を剛のところに連れて行った。
「嘘…。嘘でしょ!?お兄ちゃん、ねぇ起きてよ!ねぇ!」
 砂亜羅はしゃがみ込み剛の体を揺する。飛鳥は顔を抑えて泣いた。
「私の…せいなんだ。私がお兄ちゃんを…!」
 そう言って、砂亜羅は走って行ってしまった。
 飛鳥が後を追って走り出そうとすると、
「そっとしておいた方がいい。明日、俺が様子を見に行くから」
 と、敦史が止めた。
 飛鳥は頷き、砂亜羅が走っていった方を見た。
「あれ……?」
 飛鳥がきょとんとして辺りを見渡した。
「砂亜羅ちゃんのお兄ちゃんがいない!」
 敦史と飛鳥が公園中を探したが剛は見つからなかった。
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