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代筆 ~幽霊からヒトコト

こんばんは。
いや、幽霊の世界では慣習的にいつでもこんばんはなんでね。

まずは、ご挨拶から。
わたしは、このあたりの幽霊のまとめ役をしていてね。
皆からは委員長って呼ばれているものですよ。

今日はちょいとお伝えしておきたいことがありましてね。
たまたま波長があった人がいたから、代筆をお願いしたんですよ。
いや、させたのほうが正しいですかな?
波長って何かというと、相性みたいなものでして。
霊が見えたとか、見えないとかいうでしょう。
あれですよ。

おっと、怖がらなくても大丈夫。
大概の幽霊は、無目的に人を襲ったりなんかはしませんて。
だって、もともと人間なわけですからね。
いいやつのほうが多いですって。
まあ、覗きをするやつは多いので、特に美男美女のかたはご容赦くだせえ。

幽霊ってのは何かといいますと、まあ、人の未練の残りカスってやつですな。
人だろうが、動物だろうが、生き物が死ぬときに脳の電気信号が活性化して、その考え方だとか記憶だとか、本質的なものをぶちまけるんでさぁ。
それがうまい具合に何かに定常することができたのが、わたしら幽霊ってわけですよ。
大気に浮遊霊、海に船幽霊、土地に地縛霊、電気ネットワークに電子霊。
死んでないのにぶちまけてしまった、生霊なんてうっかりな輩もいますな。

中でも大切な相手や子孫にうまく定常してしまって、守護霊になってしまうやつは結構多いですな。
信頼し合った相手や、まだ幼い素直な子孫は、依代として受け入れをしやすいんですわ。
普通の人間の脳には空いている場所がまだまだありますからなあ。
心当たりがありそうなかたは、今度寝るときにでも思いやってあげてくだせえ。
脳の記憶を整理している夢のなかなら、会話しやすいって話ですからね。

もちろん人それぞれ、幽霊それぞれ、悪い奴もいるわけですがね。
事故を引き起こしたり、生きる力を奪って死に至らしめたりするやつですな。
なにせ、幽霊になるときに、いろいろ抜け落ちてしまうことも多いわけでしてね。
恨み辛みや、憎悪に悪戯心。
そんなものしか残ってないやつらもいますからね。

事故のタイプは単純でしてね。
感覚に割り込んで、幻覚を見せるとか多いですね。
こういうやからは場所に憑いてることが多いんで、まあ、近づかないことですな。
やばいと思ったら、まず落ち着いてくださいな。
その余裕があったらの話ですがね。

後ろのタイプはやっかいでしてね。
手口は、前向きな思考をしようとすることを妨害したり、咄嗟の危機判断を鈍らせたり、身体の抵抗力を低下させたりとかですな。
こういうやからは、話題にのぼったときに波長があってしまって取り憑かれやすいんですわ。
祟りや呪いの話題には触れないほうがいいって話、聞いたことはありませんかね。
さらに、一つの話を繰り返していると波長があいやすく、極端に危険が増しますからな。
同じ怪談の二度見は厳禁ですぜ。
特に、興味を持った場合は波長があいかけてるかもしれないんで、避けてくだせえ。
何かの祟りや呪いを飯の種にしようとして何度も触れてしまい、当然の結果を迎える例はよく聞きますからな。
まあ自己責任だと思いますが、怪談話が好きな人は気をつけてくださいな。

憑かれてしまった場合は、運がなかったとあきらめるのも一つですが、別の幽霊に追い出してもらうのがお勧めですね。
近くに強くて面倒見の良い守護霊といっしょにいる人とか、いませんかね。
あとは、先祖代々の墓とかに行けば、誰かやってくれるかもしれませんね。
実際面倒なんで、わたしはごめんですかね。
いいものを見せてくれるというなら、ちょっとだけ考えてあげてもいいですがねえ。

困ったことは、この二つのタイプ、回避方法が真逆だってことですな。
知っておいたほうがいいのか、知らざるほうがいいのか。
うまくはいかないものですからなあ。
誰か知っておいたほうが良いタイプだけ、まとめてくれたらいいんですがね。

そう。そして。
あとは、のっとって入れ替わるみたいなのもありますな。
自分の信号でそこにあったものを追い出して入れ替わってしまうわけですな。
レアなケースとして、運良く波長のあう胎児にであい、引き寄せられて転生したりもありますが。
まあ、今のトレンドは学校ですかね。
最近、元気のない子どもが増えていましてね。
特にこの世に未練が少ないやつとか、狙い目なんですわ。
乗り替わるなら若いやつのほうがいいでしょう?
赤ん坊はああ見えて、生きることには貪欲ですから難しいんでね。
つまり、妥協のベストバランスってことですわ。
また、相手がたくさんいて選べるメリットってのもありましてね。
波長の相性が良い相手を見つけやすいってことでして。

ただ、幽霊から人間になるのも簡単ではなくてね。
まあ幽霊になるときも同じなんですが。
記憶がかなり抜けてしまうことが多いんですな。
つまり、ぶっちゃけ、覚えてないと。
まあ覚えていても、そんなこと誰かに話したりはしないでしょうけどね。
あなたの知り合いの子供にもいませんかね。
急に人が変わったっての。

特に気をつけていただきたいのは、そういう成り代わり希望の幽霊が、よく集まってる学校ってのがあるってことですな。
集団で、学校の雰囲気を悪くして、子供の元気をなくして、そしていただくと。
やけに変な学校、ありませんかね?
怪談話が多くて、先生が人間的におかしい学校は、相当やばいことが多いですよ。
もっとも協調性の悪い輩が多いうえ、早い者勝ちで抜けてくわけですから、長続きしないことも多いんですがね。
のっとったけれども、すぐに別の幽霊にのっとりかえされたとかいう、笑い話もありますな。

のっとられたほうはどうなるかって。
あっさり踏みにじられて、そのまま消えてしまうことは多いですな。
なにせ、幽霊になれるかどうかは、運の要素が絡むんでね。
特に未練を持たないやつは幽霊にはなれませんからね。
もしも、あなたの大切な誰かがのっとられてしまったらば、大概は手遅れですかな。
最も、のっとりをしかけられている最中であれば、なんとかなるかもしれませんがね。
また、そのまま学校に取り付いて、怪談話の一つになってしまうこともありますな。
幽霊っていっても、生きていたときのあれやこれやを、いろいろ欠落させてしまう場合は多いですからね。
ただ見つめるだけ、うめき声を上げるだけ、悪戯をしかけ続けるだけ。
そんな存在になってしまうわけですな。
そして、ごく稀に、まともに活動できる幽霊になってしまうことも、あってしまうんですよ。

ただ普通に幽霊になるのはお勧めしませんね。
人に括られた守護霊とか、神社に祀られた神霊とかになるならともかくとして。
守護霊であれ、怨霊であれ、人に憑いているメリットはその人の感覚を貰えることですかね。
祀られている場合は、巫女とか敬虔な信徒とかから、そういう暖かい感覚をわけてもらえるみたいですね。
羨ましい話です。

そうでない場合は。
わたしの場合は。
そう、寒いですね。
とても寒い。
音がしないのも辛いですかね。
心で会話することや、見ることはできるんですがね。
そこにあったはずの感覚が、ないんですね。
あったはずなのに、ない。
ないのに、あったはずだから感じてしまう。
どういう原理なんですかね。
どうしてこんなことになったんですかね。
ずっと考えていました。
わたしの場合、憎いとか、そういう気持ちはおいてきてしまったみたいでしてね。
ただただ。
幽霊になってしまったことを、嘆いていただけなんですよ。
しかし、ようやく、自分がどうして幽霊になってしまったか、わかることができたんですね。
だから、こうして筆をとることにしたんです。





だから、そこのあなた。
あのとき教室で横取りした、わたしの身体、返してくれませんかね?

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