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人間の形 作者:帆摘
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籠る2

長らくお待たせいたしました!アルファポリス様のドリーム小説大賞にあわせて連載を開始しました。3話目、籠るをよろしくお願いします。
「あら、思ったより早かったのね。」颯爽と入って来た和田君を見て三村君が声をかける。
「ええ、今日は授業が半ドンだったんで。あ、先生例の頼まれてた件について色々と新しい情報を手に入れたんで後で時間取れますか?」
「そうですか。本当に吃驚するほど仕事が早いですね。では昼食の後に少し時間があるので、その時にどうでしょうか。」
「はい。」
「そうそう、和田君お昼まだでしょう?今日は先生の提案で福萬圓からオーダーを取ってるので皆でいただきましょう。」
「まじっすか?ラッキー!」
「ははは。確かにそろそろお腹がすいてきましたね。そろそろ出前がくる頃でしょうか・・?」
くすりと笑って三村君が椅子から立ち上がった。「そろそろ来ると思いますよ。お茶でも入れて待ってましょうか。」
ふわりとしたお茶の香が鼻孔をくすぐりだす頃、丁度福萬圓からの出前が届いた。ほたての甘辛炒めキノコ入り八宝菜はとてもおいしそうだ。

「そういえば、こうやって3人でお昼を食べるのって初めてですよね。」
私と同じ事を考えていたのか、三村君がぽつりとこぼす。
「そうですね、そういえば和田君が入ってきてから、まだ歓迎会も何もやってませんからねえ・・。」
「え、歓迎会してくれるんですか?」和田の表情につい笑いを誘われてしまう。ご褒美を待つ犬のようだ。
「ええ、もちろんですよ。皆の都合の良い日を決めて歓迎会をしましょう。」
「じゃあさ、先生今度駅前に新しくできた焼き肉にいきませんか?ダチがこの間食べに行ってかなり旨かったっていってたからちょっと気になってたんです。」

「焼き肉・・ですか?」
「あ、嫌ですか?」
「いえ、私はかまいませんよ。三村君は如何です?」
「私もそれでかまいません。後で日時を決めましょう・・といっても3人だけですけどね。」そういってクスリと笑う。
「そういや、そうだよな。」ひとしきり笑いながら会話を終える頃に3人ともぺろっと福萬圓の八宝菜を食べてしまい、そそくさと仕事モードに入る。

「先生、2時半から例のクライアントさんがいらっしゃるので、それ迄に和田君との打ち合わせを終わらせておいて下さいね。」そういって三村君がPCの前に座ると私たちも隣の部屋へと移動した。

「で、先生さっそく調査内容についてですがクライアント木原美枝子の息子、淳一が以前勤めていた会社で聞き取りをしてきたんですが、今回彼が結婚を前提につきあっていたという女性にコンタクトする事ができました。」
「それは・・。ということはその女性にあってもう話を聞いて来たと言う事ですか?」
「はい。相手の女性は狭山良子27歳、父親を亡くし、母子家庭で育ったようですが、芯のしっかりした女性で正直会社で聞いた隆のつき合っていた女性とのイメージとのギャップが大きくて吃驚したんですよね。」

「なるほど、もう少し君が抱いたイメージを並べてみてくれますか?」
「えっと、外見はごく普通ですね。取り立てて美人ということでもないが、笑うと片えくぼができてなかなか可愛いイメージはありました。性格は、一度会ったきりなので深い所まではわかりません。だけどまあさっき言った通り温厚、芯が強そうな感じではありました。」
「ふむ」私はそのまま続ける様に相づちを打つ。
「彼女との付き合いは1年半ほどだったようです。つき合っていた当時の彼の様子を聞いた所面白い話が聞けました。」

ーーーーーーーー以下回想

「淳一とはたまたま友達に強引に誘われて出た合コンで知り合ったんです。こんな地味な女相手にしてくれる人も少ない中、彼は結構積極的に声をかけてきてくれて、一応その時にメルアドも交換してたんですが、正直連絡があるとはまったく思っていませんでした。

それから数日して彼から食事の誘いがあった時は本当に吃驚して、でもその食事の席でつき合わないかって言われてすごく嬉しかったんです。

デートの場所ですか?
その時々によって違いましたね。ええ、ごく普通のデートです。

彼の両親?
・・・・・。いえ、お会いした事はありません。

彼の性格ですか?
ふふ、確かに少しねちっこい所はありましたね。神経質というか・・。些細な事で怒りやすいところはありましたね。沸点が低いというか。たぶん彼自身は自覚してませんでしたけど、少しマザコン気味な気があった感じですね。なんて言えば良いのかな・・。頭はとても良いんだけど子供っぽいところが結構あって。
そう、二人でいる時は特にそんな感じだったかな。甘えたがり?

ーー最後の質問なんですが、もし彼ともう一度復縁・・できるとしたらどうしますか?
・・・わかりませんーーー。あの、でもどうしてそんな事?彼、今結婚しているんじゃないんですか?その彼のお母様が選んだ女性と・・・・。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「なるほど、彼は彼女と別れて母親の選んだ女性と結婚する予定だったと?」
「はい。彼女はそういってました。それで彼から別れを切り出されたと。」
「木原さんにも、もう少し事情を聞いてみる必要がありますね。わかりました。後で、資料にまとめておいてください。和田君・・・お疲れさまでした。」
そういうと和田君ははにかんだ笑みを浮かべ、そそくさとノートパソコンをもって三村君の元へ歩いていく。

本当に彼は素晴らしい助手に成長しつつある。観察眼、そしてある種の感はこの職業になくてはならないものだ。そしてそれを彼はその才能の鱗片を確かに有している。私は彼の後ろ姿を見ながら感じていた。
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