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人間の形 作者:帆摘
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空14

何事もなく1週間が過ぎ、和田との2回目の個人カウンセリングの日を迎えた。
颯爽とオフィスに入って来た和田は片手に大きな花束を抱えている。オフィスの壁のしきりは一部マジックミラーになっており、受付の様子がここからでも伺える。
ピンクと白の薔薇を基調にした花束を三村君に押し付けると彼は応接室の扉を開いた。
「こんちは、先生」
「こんにちは、和田さん、綺麗な花束ですね。三村君にですか?」
「え?ああ、ここから見えるんだ?はは、あれ、今日の撮影で使ったのを貰って来たんだよね。どうせ彼女、持って帰る気も無いみたいだし、良かったらこのオフィスにでも飾っといてよ。」
「へえ、そうなんですか?それにしても今日はなかなかファッショナブルな出で立ちですね。」
和田は、これから高級レストランにでも行くのか、それとも一歩間違えればホストの様な白いスーツに身を包んでいる。
「ああ、だから、そういうコンセプトだったんですよ。今日の撮影。ま、これは俺の自前だけどね。アルマーニのスーツ」といいながら前をひらひらさせている。

「まあ、ともかく座って下さい。前回のお話の続きを始めましょう。」そういって私は彼にソファーに座るように促した。
彼は椅子に座って足を組んだが、私の方をじっと見て口を開く。「先生・・って結構日本人離れした体型してるよね。俺も足長い方だけど目の前でそうやって足組まれるとちょっとむかつくなあ・・。」
「は?」
「ああ、いいのいいの。気にしないで。でさ、先生、俺早速悩みがあるんだけど聞いてくんない?」和田が身を乗り出して聞いてくる。三村君がコーピーポットを応接室に持って来てくれていたので、今回は私がコーヒーをついで彼に手渡しながら頷いた。
「もちろん、良いですよ。お話になってください。」

「俺さ・・・なにやってもつまんねーんだよ。こうやりがいがないってか、生き甲斐がないっつーか。前にも言ったっけ?俺って小さい頃から頭良かったからさ、大体何でも難なくこなして来た訳よ。別にこれと言った目標もねーし、親父達が望む高校、大学に進んでさ。
ある程度勉強こなしてたら親は何も言わない。別にバイトなんてしなくても金も使いたい放題。やることやってりゃ、うちの親は放任主義だからな〜、あ、でもおふくろはちょっとうるさいか・・・口酸っぱく昔から、貴方はこの病院の跡継ぎなんだからって言ってたな・・まあどうでもいいけど・・。

大学受験終わって、大学に入ったら、何か変わるのかと思ったけど、相変わらず何も見えて来ない。ほんと面白くもない毎日で飽き飽きしてんだ。女と付き合っても似たり寄ったりなの多いしさ。俺に近づいてくるのってほとんど、顔か金目当て、でなければ雑誌で見ました〜とかって近づいてくるのを適当に食って、うるさくなってきたら即終了。簡潔だろ?
あーでも、三村ちゃんはちょっと反応違うよね〜。あれはかなり俺としては面白い物件だと思ってんだけどさ・・。」

「三村ちゃん・・・ですか。まあ、それは今は置いておいて、和田さん、男性の友達はいらっしゃらないのですか?」
「いるぜ?ダチなら、、いっぱい、名前も覚えてないのが多いけど・・」
「それって本当に友達なんですか・・?」私は少し呆れたように聞き返す。
「ん〜、ダチなんじゃねーの?今時青春って訳でもねーし、普通に飲みに行ったりカラオケ行ったりするのは結構いるぜ?」

「でもまあ、そういったものも含めて退屈だと、人生に生き甲斐がないと言う訳ですか?」
「そう、俺って空っぽな訳よ・・此処んとこが・・」といって人差し指で軽く胸を叩く。「今までもさ、女と別れる度に、最低だとか、心が無いとかって言われて来たけど、マジその通りだと思うんだよね〜。別れる時とか、別にうざいだけで、悪いとは思わねーし、メンドクサイし、なんの感情も湧いてこね〜。こういうのってなんかの病気?」

「一概に・・病気とは判断できませんよ?最近はそう言った無気力な方達も多くなってきましたからね。まずはそういう風に至った原因から考えてみませんか?」
「原因・・?」

「ええ、だって、生まれた時から無気力な子供なんていませんよ。もし子供でそう言った子がいるなら、それはほとんどの場合、親の責任です。もちろんそういう病気の子もいますが、貴方はそういう風には見えませんからね。遡って一緒に考えてみましょう・・・」
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