4 天才
帝丹高校の広いグラウンドに新一と刑事、犯人が到着してしまった。3年の教室はグラウンドに面している為、新一の姿が見える。彼等が気付かない訳もなく、バレてしまう。
「おい、あれ工藤じゃね?」
「あの人なんか持ってない・・・?」
「マ、マシンガンぽいね・・・」
「嘘だろ・・・?」
窓際に皆が集まる。蘭もその中に含まれていた。
「(何やってるのよ!!怪我してるのに・・・)」
「おい、工藤新一!!テメェのクラスメート達が見てるぜ。あっちにコレ(拳銃)むけたらどうなるか分かるか?」
チャカ
「あぁ。テメェの破滅のカウントダウンが始まったって分かるぜ。この俺に勝てると思うなよ」
新一はこんな状況なのに、笑みを浮かべた。案の定、犯人は怒る。
「何がおかしいんだ、言ってみろ!!」
「いや、別に?言うほどの事じゃない」
彼は、犯人を追い詰めているこの状況を楽しんでいる。
スリルがありすぎるこの状況を。
警察は、犯人に近寄ると生徒を傷付ける恐れがあると新一に言われた為、近寄れない。本来なら一般市民に任せて良い事ではない。しかし、新一にだけは任せるしかないのだ。
「工藤君大丈夫ですかね?」
「きっと大丈夫よ」
高木の問いに佐藤が答える。この状況は今までもあった。彼なら任せられる。でも、もしもの時は助けられるよういつでも動けるようにしてある。
「ムカつく奴だな、お前は」
「ありがとう、最高の誉め言葉だ」
皮肉な言葉で返す。先程の笑みはもうない。そこには、誰もが恐れる名探偵の冷酷な瞳があった。
「な、なんだよ。んな顔したってこ、怖かねーよ」
あえて何も言わずに歩み寄る。
「ち、近付くな!!打つぞ!!」
今度は新一に向かって拳銃をつきつける。だが、新一は歩みをやめない。
「な、なんなんだよ、お前・・・」
先程まで強気だった犯人が急に弱気になった。ただの高校生が恐いのだ。
「俺か?工藤新一・・・探偵だ!」
「工藤新一ってまさか・・・」
やっと理解したようだ。彼が東の高校生探偵工藤新一だという事を。そして、思い出した。彼にかかったらどんな犯人も捕まってしまうという話を。
「クソッッ」
こうなったら、ヤケになって逃げるしかないと態度を翻しダッシュで逃げたした。新一は辺りを見渡すとほそく微笑んだ。
同時にサッカー部に感謝した。
「逃がすかよ!!」
その言葉とともにサッカーボールを思いきり蹴りつける。
「あ、片付けんの忘れてた!!」
サッカー部から声があがる。普段だったら許されない事だが、この時ばかりは感謝されるべき事。
「いやー工藤君。いつもいつもすまないねぇ」
「いえいえ。頼って頂けるという事は幸せな事ですよ、目暮警部」
犯人を捕まえた後、目暮が新一に話しかけてきた。
新一もにっこりと答える。
「全く君には驚かされる事ばかりだよ。普通の人だったら離れるところで近付くなんて・・・」
「ああでもしないと捕まりませんでしたよ?」
反省の色は、全くない。こうなったら、目暮も笑うしかない。
「ハッハッハ。全く君にはかなわんよ」
「工藤君、さっき2丁目の路地裏で死体が見付かったの!一緒に来てくれるかしら?」
「勿論、行きます」
本日2件目だ。犯罪が多すぎだろう。もしかしたら、探偵が呼び寄せていたり・・・
「(刺殺か・・・他殺で間違いないだろう。一番の問題は凶器・・・)」
そう、この現場には凶器の刃物がなかったのだ。
「工藤君、容疑者達が居るんだけど、会いに行かない?」
「あ、はい」
ピンポンパンポーン♪
『3年F組瀬川君、至急応接室まで来て下さい。繰り返します・・・』
「おい、お前何やったんだよー」
「何もしてないと思うけど、応接室だから客とかかもな」 |