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第5話 盗賊の少女 2

「さて、こっそり捕まえようとしても無理だから強引突破で捕まえる。僕が捕まえるから、メイラは僕を引っ張って町まで走ってほしい」


森の中を歩きながらメイラに話しかける。現在の作戦は盗賊の少女を捕まえるというものだ。あれ? これだけじゃ僕がただの変態に見えるのかな?


「わかったわ。よろしく変態。」


「変態じゃないよ! なんでそんなことになってるんだ」


そんな馬鹿みたいな会話をしながら、再び盗賊に出会ったところにたどり着いた。

すると、突然草の茂みから盗賊が現れた。


「どの子だ?」


「あの奥に見えるかわいい感じの女の子」


「了解」


自分が出せる最高の速さでその女の子に向かうと、思いきり抱きかかえた。そして、直ぐにメイラは僕の腕を掴むと全速力で町に向かっていった。


「ちょっ! 待って! 腕が! 腕が!」


しかし、メイラはそのスピードを緩めることなく、森を抜けた。すると、すぐそばに町の入り口があるので、急にブレーキをかけ、そのまま入り口ギリギリで止まった。


「ちょっ。マジで腕が死ぬところだったんだけど」


「え? ごめん。変態」


まさか変態呼ばわりされるなんて。ただ単にあの子を抱いただけなのに。まあいいや、そのうちなおるだろう。

見るとその盗賊の少女はこちらを見ると観念したように大声で


「さあ! 煮るなり焼くなり好きにしろ! 警察につき出すのか? 何でもいい! どうにかしてくれ!」


叫んだ。町の中の人は何事かと、外に出てくる。まずいな。このままだとめんどくさい。そう思いメイラと盗賊の少女を連れて町の中に入り、町の外れの小屋まで進んでいった。

その小屋はちかくの家でも100m以上離れていて、ここでなら少しくらい騒がれても問題ない。見た目もボロボロで誰も近寄ろうとはしないそんな小屋だ。

小屋の中に入って、張っていた蜘蛛の巣を振り払って中に入った。


「なるほど。ここで私を犯すと言うのか。もう諦めた。好きなようにしてくれ」


その少女は床に仰向けになると、目をぎゅっと瞑り、動かなくなった。


「いや、マジでそんなことしたら僕ただの変態になってしまう」


「って言うか犯罪者になるわよ」


すると、その少女は顔をこちらを見てきた。そして、


「え? なにもしないの?」


「ああ」


「じゃあとりあえず信用します」


「早っ!」


そして、その少女はおもむろに立ち上がると、ひとつ伸びをして、自己紹介を始めた。


「えー。私はですね。<モル>と言います。年は13です。よろしくお願いします」


あっぶね。マジで色々やってたら捕まってたわこれ。


「あー。僕はセツナ。年は15。よろしく」


「私はメイラ。年は16です。よろしく」


あれ? めいらって16だったのか。僕より誕生日早かったんだな。

ここでふともるの方を見ると、髪の毛はしっかりと艶のある黒で、長かった。肌はもっちりとしてて、目と鼻と口の位置は整っている。からだの方はまあ、年相応な感じだった。一言でいうとむっちゃかわいい。そして、ひとつの疑問を思い出した。


「そもそも何でもこんなに若くて、さらに女の子なのに盗賊やってるんだ?」


これは出会ったときからずっと思っていた疑問だ。わざわざ盗賊なんてしなくてもいいだろうに。そんなにこの世界は社会保障がなってないのか。


「よくきいてくれました! この世界職業があるじゃないですか」


え? あるの? 説明の時にそんなこと言ってたっけ?


「そこでですね、私は将来博愛者っていう職業に就きたかったんですよ。でもですね条件がかなり厳しくて、博愛者は上級職なんですけど、その前に盗賊をしっかり経験しているっていう条件がつくんですよ。それで盗賊になったはいいんですけど、近くの盗賊団に目をつけられてしまって。それで今に至ります」


ああ。なるほど。ちゃんと事情があったのか。それならまあいいか?


「まあ、とにかくあの盗賊団から救っていただきありがとうございます」


おお。マジか。こんなことがあるなんて。まさか偶然にもさらった人が良心的な人だったなんて。いや、RPGならよくあることだ。まさかこれも必然なのか?


「ちなみにですね、この町は私が生まれ育った町なので案内できますよ。セツナさんたちは旅人ですよね。しましょうか?」


これは願ってもない提案だ。元々さらった盗賊にこの世界のことを色々聞こうと思っていたからとても助かる。


「ああ、じゃあよろしく頼む」


そうして、モルによるこの町の案内が始まった。

まず案内されたのは町の真ん中の広場だった。子供たちの溜まり場で、よく遊んでいるらしい。たまに大人とかが項垂れてる時もあるらしいけど気にしなくていいらしい。

次にその広場から北に向かった所に、教会がある。なんのためにこんなところに教会があるのかモルにもわからないらしい。多分セーブとかのためだろうな。そう僕は思った。

そして、さらに北に向かうと宿屋があった。宿屋では泊まって体力を回復することができるらしい。なぜ寝るだけで回復するのかは解明されていない。

そして広場から西に向かうと、武器、防具、アイテムのそれぞれの店があった。今武器すら持っていなかったので、お金があれば武器を買いたいと思っている。

広場から南に向かうとこのまちの入り口がある。この町の入り口は、この南門と東門しかないので、怪しい人が紛れ込むことは出来ないらしい。

そして、広場から東に向かった所に学校がある。ここでテストを受け直せるようだ。受け直したいときに直せるらしいが手数料がかかるらしい。10000+レベル×1000だそうだ。つまりあまり無闇に受け直すのよくないということだ。

で、最後に紹介されたのがギルド本部と呼ばれるところだ。ここでは小ギルドの設立、職業の管理、クエストの管理など様々なことができる場所だ。学校から北に行ったところ。つまり大体広場から北東の位置にある。現在はこのギルドの前にいる。


「あれ? モルいつの間に着替えたの?」


僕はモルの服が変わっていることに気づく。


「あ、防具屋で服を買ってトイレで着替えてきました。あの服のままだと何かと面倒なので」


確かに盗賊の服なんて来てたらめんどくさいことが起こるのも間違いないだろう。それなら少し金を払っても着替えた方がましだ。


「よし。じゃあいくか!」


そういって僕達はギルドの門を開けたのだった。





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