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学校1のゲーマーと学校1の天才が迷い混んだ生き残るためには勉強が必要な世界 作者:サブローム狼

第4章 この世界よりも血の気が多い盗賊

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第35話 カカリ

メイラが一直線にあの女性の元へと向かう。僕はただそれを後ろで眺めていた。

「なんだ、お前ハ。どうして私に近づク。いや、なぜ私はこんナところに……。私は……誰だ……」

その女性は既に自分自身が何者なのかが分からなくなってしまっているようだった。
女性は右手に剣を握り、メイラに斬りかかる。

「あなたが誰かはあなたが気づくべきこと。そうしなければ、私が倒す!」

メイラは左手を軽く前につき出すと、その手で相手の剣の攻撃を受け流す。そして、近づいたその女性を右手で殴った。
ぶ、物理か……。
女性は少しよろめくが倒れるまではいかない。
メイラの攻撃を食らっても耐えるってことは防御力も相当あるみたいだ。

「うがぁぁぁぁアアぁ」

その女性はなりふり構わずメイラに向かって突進してくる。しかしその攻撃はメイラには当たらなかった。女性の攻撃が駄目だったのではない。メイラが速すぎたのだ。
その隙にメイラは蹴り飛ばす。その蹴りには相手のことを思いやるなんて気持ちは存在していなかった。
その女性は建物の柱に激突する。建物が大きく揺れる。女性はゆっくり立ち上がるがなにか様子がおかしい。

「ここはドこだ?」「アジトの中か?」「何ヲしていルんだ?」「敵を排除している?」「どうなってイルんだ?」「どうもなっていないのか?」「いやそもそモ私は……誰ダ」「私は……」「私は……カカリか?」「そうだ、カカリだ」「カカリに違いない!」「何を忘れていたんだ!」「私は……カカリだ!」

「そうだ……。私はカカリ。もう考えることはない……。別にモルなんてどうでもいい。ただの意地だけでお前らを倒す!」

カカリの攻撃する速度が上がった。メイラは後ろに少しずつ下がりながら攻撃を受け止める。

「メイラ! 大丈夫か!?」

「……多分問題ない」

「僕たちも手助けしましょうか?」

「いや、大丈夫。アボはスキルがいい。ポトゾルを安全なところまで連れていって欲しい」

「……分かった」

そういうとアボはポトゾルを抱えて屋敷の外へ向かって走り出した。

「あの子達はいいでしょう。私が仕留めたいのはお前たち3人なのだから!」

いっそうカカリの攻撃が激しくなる。しかしメイラはそれをすべて受け止める。

「このままだと面倒ね。ふん!」

メイラは力をいれると、カカリが攻撃してきたタイミングでカカリの腕を掴んだ。そして、思いきり投げ飛ばした。

「ぐわぁ!」

壁を一枚突き破ってカカリは飛んでいく。すぐさまその破れたところからカカリが戻ってきた。

「はぁはぁ。なかなかやるな。やはり一筋縄ではいかないか」

カカリは再度構える。しかし、その構え方を見るからに、戦闘はそこまで向いていないようだった。
ただ単に、強い力を利用して、攻撃しているだけだ。
メイラはすかさずふところに入る。そして、右手を握りしめ、思いきりアッパーを腹に食らわせた。
カカリは宙を舞う。カカリはそのまま天井に体をぶつけ、地面に叩きつけられた。

「ぐっ。かはっ……」

「終わりにしよう。もう二度と、モルを狙いに来ないで欲しい。無駄だってことが分かったはずだから」

メイラはカカリに話しかける。カカリに返事はない。

「終わらせられない。これはただの復讐。仲間たちが敗れたことへのただの腹いせなのダカら」

カカリがはっとして口を押さえる。

「どうなっているんダ。まさか……また……。そんなバカな……。なゼだ……。くそぉぉぉぉオオぉ!」

カカリはじぶんの頭を壁に叩きつける。

「くそ! なんデ! 私ヲまた見失ウ! 」

あいつ……。あの吸収する能力ってもしかしたらカカリってやつの能力じゃないのか? じゃあいったいあれは……?

「うがぁぁぁぁぁ」

「早く退きなさい! どこかにいって頭を冷やすのよ!」

「うるサイ! 貴様らをコロさないと気がすまナイ!」

カカリは再びメイラのほうへ向かう。しかしもうカカリと手を合わせているメイラにとって自我を失いかけているカカリの攻撃はとても単純なものに見えた。
メイラはカカリを地面に叩きつける。カカリは床抜けて一階の廊下に叩きつけられた。

「ぐ! がっ! 私はカツ! なんとしてでもオマエラヲコロス! 」

するとカカリはゆっくりと倒れているレンヨウのもとへ向かった。

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

レンヨウの胸の上に手をおいて力を込める。するとレンヨウの姿は消えてなくなった。

「なっ。 まだ吸収する気か!」

「見た感じ吸収する限界はないみたいですね」

「何人増えたって同じよ。大体変わらないでしょ」

カカリは抜けた穴から飛び出してきた。

「マダ……タリナイ……」

そう言うとカカリは遠くで倒れているイゼンの元へ向かった。

「はぁぁぁ!」

同じようにイゼンも体の中に取り込む。

「アトハ……、ミゼン……シュウシ……。シュウシトオイ……。ミゼンダケ……トル」

そう言うとカカリは走り出した。彼女は4本足で廊下を駆け抜けた。

「お、おい……既にメイラのスピード越えているんじゃないか?」

「流石に速すぎますね……」

「ぼさっとせずに追うわよ!」

「お、おう!」

「はい!」

僕たちはカカリが走ってった方に向かって走り出した。が、すぐにその必要はなくなった。轟音をあげ屋敷が崩れていったのだ。
僕たちは崩れていく屋敷を上手く見極め、下敷きになるのだけは避けた。

「いてて……。大丈夫か?」

「私は大丈夫です」

「私も平気よ。それよりもあれ……」

メイラが指差した方向を見ると、何やら巨大な化け物が、けたたましく啼いていた。

「オオオオオオオオオ!!!」

その化け物ははもう日本語を喋ることも、なにかを考えることもなかった。ただただ、僕らを殺そうとする殺意だけが残っていた。






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