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学校1のゲーマーと学校1の天才が迷い混んだ生き残るためには勉強が必要な世界 作者:サブローム狼

第4章 この世界よりも血の気が多い盗賊

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第32話 メイレイ 2

セツナは動けなくなった。その一撃が重かったのもある。だが、それ以上に途方にくれていた。実は今まで多くの敵と戦ってきたが、どれも自分の力で勝っていないのだ。
例えば、ミゼン、イゼン戦だって僕はほとんど何もできていない。モルを励ましたの(まあ、モルはその戦いで使えなかったからほとんど無意味だと言っても過言はないが)と、網を使って、イゼンを捕まえたことだけだった。
他にもコバルト=ドラゴン戦では、初っぱなから敵に捕まり、その後シュウシとレンタイに助けてもらったが、結局止めを指したのはポトゾルだったし。
そもそもこの世界では相手と自分の戦力がわかってしまうため、どうすることもできない。例えば戦力がわかっていないのならば、相手も迂闊に攻めてこれないが、戦力がわかってしまうと、ある程度警戒すれば負けるわけ無い相手と、なるのだから。
しかし、うじうじ言っても仕方ない。ここを何とかして切り抜けなければ。相手は牛だ。ちょっと変な。相手は人間ではない。つまり相手のステータスもはっきりと定まってはいないということだ。それに、どうやら速さは高くないみたいだ。落ち着いて戦い、あの触手(本当にそうなのかは分からないが)を何とかすれば、勝ち目を見えてくる。
そう思い、僕は牛よりもゆっくりと立ち上がったのだ。
牛はこちらに気づく。そして、やはりゆっくりと突進してくる。芸の無い技だ。相手には知性がない。そこを利用すれば単純な話なのだ。
しかし、問題は触手の方だ。牛自体に理性は無いことがわかったが、多分、触手は違う。あれは明らかにタイミングよく僕に向かって飛んできた。僕に攻撃するだけならばそのような命令が埋め込んであるだけかもしれないが、それにしてはあまりにタイミングがよすぎる。多分だが、触手には独立した意識があるのだろう。それも高度な。
考えていると、牛が目の前に迫ってくる。この前も言われたばかりじゃないか、『考えすぎ』だと。その言葉を頭の片隅に残して、牛に立ち向かう。
まずはさっきもやったように剣でその突進を受け止める。もちろん牛は綺麗に角を使って刃を受け止める。そして、ここからが問題だ。触手は結構なスピードで飛んでくる。だが、人間にかわせない速さではない。素早く避けることなら可能だ。しかし、そうすると、牛の突進に撥ね飛ばされてしまう。
そこである一つの方法を試してみることにした。そう考えたときちょうど触手が飛び出してきた。僕は一旦体を牛の方にギリギリまで近づけた。目と目の間の距離が20cmほどだ。そして、何よりも……臭い。これはウプッ……吐いてもいいような気がする。しかし、そんなことに気をとられている場合ではない。触手が不気味に自分に向かってやってくる。僕を横から抉るように。その瞬間。僕は一歩下がった。牛はこちらに力を加えていたため、僕が一歩下がることで、牛は一歩前に進んだ。そこは僕がもといた場所だった。触手は直ぐには動きを変えられず、そのまま牛に鈍い打撃攻撃を加えた。
牛はよろめく。もちろんそんな攻撃で牛はやられない。僕ですら耐えたのだ。改造されたであろう牛に耐えられないわけがない。けれどもこの結果からあることがわかった。それは触手と牛の意識は完全に別れているということだ。牛を触手が殴ったのだ。確かにうまく操りきれていないという可能性も捨てきれないが、多分独立している、と考えた方がいいだろう。
僕はよろめいている牛に向かって剣を降り下ろした。その攻撃を触手が受け止めようとする。しかし、流石に腐っても剣だ。柔らかい触手などスパッと切ってしまう。そして、ここで牛が角を使って攻撃を受け止めなかったということは、やはり独立していると言うことなんだろう。
そして、降り下ろした剣は牛の頭を切りつけた。もちろん完全に切れるわけがない、そもそも頭蓋骨まで到達したのかも紛らわしい。しかし、その牛はそのまま重力にしたがって、横向きに倒れていった。
『牛は』

触手はそのままこちらに攻撃の殺意を向ける。しかし、触手だけではやはり攻撃力が乗らない。そのまま、僕が剣を振ると、触手は動かなくなっていた。
次の瞬間、触手が扉の鍵へと変化した。
光輝くそれを僕は手に取ると、急いで扉を開けた。眩しい光が僕の目を包む。しばらく目が開けられずに苦しんでいた。
辛うじて薄く目を開けると、そこには倒れている人が二人、そしてメイレイがただ一人立っていた。
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