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学校1のゲーマーと学校1の天才が迷い混んだ生き残るためには勉強が必要な世界 作者:サブローム狼

第3章 この世界よりも異常気象がひどい世界

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第22話 栄養不足の少女 2

「ここね」

メイラが洞窟の前で声をあげる。その声が洞窟の奥まで響いて、エコーのようになってる。
実際無事についたのは嬉しいことだった。まあモルが山を目にしたときに、予想通りのことをポトゾルにぶちまけてくれたから、ちょっと着くのが遅くなってしまったけど。

「よし。じゃあ入るか」

僕たちは洞窟の中に入っていった。
洞窟の中は思ったより暖かかった。ただ、持ってきていたランプだとどうしても暗くなってしまう。もっと明るいのを持ってくるべきだったかな……。そう思っていると、誰かに手を捕まれたかのような感覚が伝わってきた。
……敵か? いや、幽霊? ちがうな。これは……

「く、暗いですね……」

モルか。何だ。もしかしてこいつ盗賊の癖に、暗いところ苦手なのか?

「なあ……。歩きにくいんだけど」

「す、すみません。ただ、これはどうしようにも……」

そう言いながら、モルの歩くスピードは徐々に落ちていく。

「おーい。大丈夫か? なんなら背負ってやろうか?」

「い、いえ。これぐらいなら大丈夫です……」

そう言いながらも、負の加速度があるのかと言うくらい、モルのスピードは一定のペースで落ちていく。
これじゃ、奥につくのはだいぶん先だな。仕方がない。そう思って、モルの前で腰を下ろす。そして、背中をモルの方に向けた。

「乗れよ」

モルは少しためらった。しかし周りの音を聴いて、近くに他の人がいない、つまりメイラたちが先の方に行ってしまったのだと気づいた。そうすると素直にモルは僕の背中に乗った。
モルを乗せてしばらく歩く。順調だと思っている。ただ1つのことを除いて。いや、中2くらいの女子だよ? 余裕でおぶれると思うじゃん。ただね……。この世界だと僕、力ないんだよな。攻撃力だけじゃないと思うんだけど、それも何かのテストの結果で決まってるから、きつい。まあ、なんとかなるからいいんだけどね。
更にしばらく歩く。まだメイラたちには追い付かない。

「大丈夫ですか? 重くないですか?」

後ろからモルが声をかけてくる。

「大丈夫だよ。 そんなに重くないしな」

そう言ってモルに返事をする。まあ、なにも問題なしに進んでいる。
ただひとつ言いたいことがあるんだよな。いや、大声を出しては言えないけどな。うん。結構柔らかいんだなぁって……。Bか。

洞窟が折れ曲がっているところがあったので、そこを曲がると奥でメイラとポトゾルが休んでいた。

「あ。やっと来たわね」

「ん? どうして先に進んでないんだ? 先に行っといてもらっても良かったのに」

「いや、何か先に居るような気がするの。気のせいかと思ってはいるけど……。一応みんなが揃ってから行った方がいいなと思って」

なるほど。ついに鼻息か何だか知らないが、呼吸音の元のモンスターに出会うわけだな。

「そうか。よし。行くぞ」

4人揃ったところで、僕たちはそのモンスターがいるであろう奥に向かってあるいっていった。
しばらく歩くと、何やら大きな空間に出た。今までは、学校の廊下ぐらいの道だったのに、そこだけ体育館くらいの大きさの空間が広がっていた。

「……ここは、いったい?」

このライトじゃ正直に言ってなにも見えない。遠くまでは照らせないので、隅々まで歩いてみることにする。
……ふむ。壁沿いに歩いてみたが、特になにもないようだ。……特になにもない? いや、そんなはずはない。ここが行き止まりならば、何か呼吸音の原因の生き物が居るはずだ。仮に先に進む道があったなら、壁づたいに歩けば見つかるはずだ。それなのに無い? と言うことは……。
そう思ったとき、ポトゾルが声をあげた。

「ここに何か居ますぅ!」

声のする方向は、その空間の真ん中だ。一体何が……。
すると次の瞬間、大きな咆哮が聞こえた。その咆哮は、空気を震わせた。何かを目覚めさせてしまったようだ。

「おい! モル! あいつが何だかわかるか?」

背中に居るモルに訊ねる。

「い、いえ。声だけではなんとも。ここら辺の生息状況は把握していませんし……。」

何かまずいモンスターな気がするな。どうするかな。モルがこんな状況じゃ戦えないしな。逃げるか?
いや、モルを担いだまま逃げるのは厳しいな。どうするかな。せめて灯りがつけばな……。
そう思った瞬間、すぐに灯りがついた。見ると、壁などに、電球がある。天井にもついていて、その空間はものが見えるくらいまで明るくなった。
一体何が起こったのかと思い、モルを下ろして辺りを見渡した。するとポトゾルが何かをつかんでいる。

「き、切れた電線がありましたのでぇ、何かと思ってサンダーで電気を流したらつきましたぁ!」

うお! マジか。そうか、ポトゾルは魔力がほとんどないから、電線を切らずに、電気を流すくらいの弱いサンダーが使えるのか。

「ありがとう! 助かる!」

よし、これならなんとかなるかもしれん。と、思ったのも束の間、モルが叫んだ。

「セツナさん! 持っている剣を捨ててください!」

「え?」

後ろを振り替えると、モルが、剣と、手に着けていた鋼の小手。あとは盗賊の道具なんかが入っているであろう袋を投げ捨てた。
その時、何か黒い物体が、僕たちの方向に向かって走ってきた。その物体は、僕たちの数メートル手前で止まった。よく、目を凝らしてみる。翼竜か?いや、鳥にも見えるな。何だあいつは。
すると、剣を納めていた、腰に何か違和感を覚えた。何だか引っ張られるような……。

「セツナさん! 早く! 剣を捨てて!」

モルが叫んだ次の瞬間、僕の体が宙に浮いた。そして、勢いよく、その翼竜とも、鳥類ともとれる生き物にぶつかった。
ぶつかった衝撃に苦しんでいると、モルが叫んだ。

「セツナさん! 腰の鞘を外してください! 早く!」

何だかよくわからないけど、そうした方がよさそうだ。剣を納めている鞘がついているベルトを外すと、僕は地面に落ちた。それをメイラが高速で、拾うと、モルの居る場所まで連れていってくれた。

「あいつはなんなんだ」

僕が、体の痛みを我慢しながらもるにたずねると、モルは静かにそして、警告の意味を含めて答えてくれた。

「あれは……あのモンスターは……コバルト=ドラゴンというものです」

「コバルト? コボルトじゃないのか?」

モンスターの代表例であるコボルト。僕はモルが言い間違えたのだと思っていた。

「いいえ。コバルトで合ってます。奴はコバルトで出来ているのです。そして……コバルトの最大の特徴、強磁性を持つことです」

「強磁性?」

「簡単に言うとあれが巨大な磁石のようなものなんですよ。ああやって人の近くによっていって、装備なんかに含まれる鉄を利用して吸い付ける。そうやってくっついた人間を食べる、恐ろしいドラゴンです」

へ、へぇ……。
見ると、その人間をも食らう恐ろしい化け物はひとつ大きな咆哮をもう一度した。
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