挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
学校1のゲーマーと学校1の天才が迷い混んだ生き残るためには勉強が必要な世界 作者:サブローム狼

第2章 この世界よりも戦いが多い学校

12/39

第11話 高速の生徒 2

教室に入ると、さっき一緒にいたボルトとワット、そしてアボが机に向かっていた。
アボは一人で座っていて、何やら辞書で単語を調べているようだった。
それに対してあの二人は勉強をしているように見せかけて、二人で将棋のようなものを指していた。

「……勉強しなさいよ」

アンペアが二人の頭を教科書で叩く。

「いて」

ボルトはアンペアのほうを向くと軽く笑って、目の前にあるボードゲームを続けた。

「塩化銅を塩素と銅に。王手」

「……そのタイミングで電気分解はずるい……」

「策士と言いたまえ。ひとつの作戦なんだよ」

「……厳しい審判だと『指定ワット数以上使用によるショート』の反則をとられる」

「ちっちゃいことーは? 気にしなぁーい!」

二人がそのボードゲームの話をしている。うん。さっぱりわからない。ボードゲームなのに審判ってなんだよ。しかも審判によって状況が変わるってどんなゲームだ。

「全く。こいつらもアボみたいにしっかり勉強すればいいのに」

アンペアが呆れたように呟く。見たところ、アンペアや、パスカルは、モルに追い付いたらしいが、この男子二人は追い付けてなさそうだ。
それに対してアボという少年はみるみるうちに問題を解いていく。みるみるうちに? あれ? 解いてる問題って英語だよな……。英語ってすぐに解けるものだっけ?

「な、なあ。アボってやつ解くの早すぎないか?」

「私も知りませんよ。あんなに早くは無かったはずです。いったい何が……」

「あぼは、モルがいなくなってから急に勉強だけに集中しはじめて、あのスピードをみにつけたからねぇ」

ひょっこりと後ろから顔を出したパスカルが、話しかける。急にやる気を出した。って感じかな。まあ大体理由は察せられるけど。

「何でそんなに急に勉強し始めたんでしょうね」

モルはわかっていない様子だった。

「ところで授業ってどうすればいいんだ? チャイムとかがなる様子もないし」

「あ、それはですね。とっている科目が講座を開くときがありますから、それに参加してください。講座がないときは大体教室で勉強するか、休憩室で休むか、外や体育館でバトってますね」

バトるってなんだよ……。ま、まあ僕はとりあえず勉強だけすればいいから楽かな。バトるすることなんてないだろうし。
というか講座をとるシステムなら学校というよりは塾的なのに近いな。好きなタイミングで止めることもできるし。ある程度は日数がいるらしいけど。僕みたいに短いのは臨時入学っていうらしい。

「ねえ。これから講座まで1時間近くあるから、バトらない?」

パスカルが話しかけてくる。……なんで? なんでバトる必要があるのかな。僕は少しゆっくりしていたいのに。ゲームとかならともかく、肉弾戦は嫌だな。

「面白そうですね。久しぶりにやりましょうか」

モルが返事をする。それを見て残りの人たちも参加し始めた。

「あ、セツナさん。強制参加ですよ」

「なんでだよ」

「学校に通うためのお金は誰が立て替えていると思っているのかな?」

「すみませんでした」

「クーロンさんだよ」

「お前じゃないんかい」

「正確には後で、メイラさんが稼いだお金を返すので、負担はメイラさんにありますね」

なんだ、メイラが稼いだお金はこれに使う気だったのか。そんなことを考えていると、パスカルが声をあげる。

「チーム分けできたよ。見といて」

Aチーム

アボガドロ
パスカル
ボルト

Bチーム

アンペア
ワット
セツナ
モル

「これでいこうと思う」

アンペアが説明を始める。簡単にまとめると

・HPが10分の1を切ると死亡扱い

・敵チームのリーダーを倒すか、敵陣営に存在するフラッグの奪取したものを勝者とする

・危険な技、周り(学校より外)に影響を及ぼす技は禁止

ということらしい。それ以外ならある程度のことは許されるらしい。もし殺してしまっても悪意のある殺人でない限り、保健室の先生が治してくれるらしいのである程度はオーバーキルできる。

「それじゃ、チームごとに作戦会議ね」

そう言うとパスカルはAチームの方に向かっていった。こちらも早く作戦会議しなければ。

「まあ、リーダーはモルがやるのか」

モルに尋ねてみる。しかしもるは髪の毛の先を少しいじりつつ、

「いえ、ここはアンペアがいいでしょう。まあとくに理由はありませんが」

「私? 私はあまりやりたくないわ。間をとってワットがやればいいわ」

「……やりたくない」

3人で誰がリーダーがいいか話し合っている。まあ、なんだ、確かに僕が弱いとはいえ、全く話が振ってこられないのは哀しいな……。
相談の結果、結局モルがリーダーになったようだ。

「作戦としてはですね、まずセツナさんがアボを止めます。その隙にフラッグを奪います」

「おい。ちょっとまてこら」

「あれ? セツナさん。どうしました?」

「どうしました? じゃないよ! なんだよ僕がアボを止めるって! 不可能だから!」

「えぇ……。できると思ってたのに」

もるが悲しそうな目でこちらを見ている。ちょっとやめろ。そんな目で見るな。おい。周りもつられるな。いつもどおりにしてくれ。

「……仕方ない。作戦は僕が考える」

その言葉に周りが驚く。

「え!? セツナさんが立てるんですか? できるんですか?」

「失礼な! これでも昔はギルドに一人は欲しい知将と呼ばれていたんだぞ」

まあ、ゲームの中の話だが

「本当ですか? まあいいです。作戦はセツナさんに任せます 」

「任せてくれ」

こうして二つのチームはそれぞれ所定の位置につくと、準備体操を始めた。始まりの合図は、他の講義が始まるときのチャイムだ。

「本当にそんな作戦でいけるんですか?」

先程伝えた作戦にもるが尋ねる。

「大丈夫だ。多分」

多分な。一応。あのアボってやつがどれくらいかあまり把握してないし。
そのとき、講義のチャイムが鳴り響く。こうしてバトルが始まったのだ。……なんでこんなことしてるんだろう。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ