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幼馴染との付き合い方
作:吉岡 遥



2−3


 「だいじょーぶ、まだへーき」

 この言葉がリフレインして止まない俺は、結局その日いっぱいの全く授業に身が入らず、今からラクビーでも始めるのかというぐらいの限りなくゼロに近いやる気のなさだった。
 昼休みは例の如く、天使が降臨したままのユカリが弁当を作ってきてくれたっていうのにそれを食すこともできずさんざん心配された。俺の中ではあんなにウエイトを占めていたプライオリティーの一部でもあるネクタイのきっちりさも乱れたままでいた(それをユカリが「あたし、男の人のネクタイいじってみたかったんだ」と言うセリフとともに結い直してくれた)。 そして放課後を迎えて先ほど吐露した心情に至る気分なのだ。
 でもな、そろそろそんな気分も持ちなおさねぇーといけないよな。

 ――俺はもうオーケーだぜ、新原のマドモアゼル。

 なにがオーケーだかマドモアゼルだか知らんが無理にでも楽観的な空気を作りだすための演出だ。
 俺の中にある詩的雰囲気を解除して、新原のセリフを考察するために「だいじょうぶ、まだへーき」なことを――そうだな、一般的概念で世の中の大丈夫なことを挙げてみようか。


 オフサイドのルールがいまだに分からない。「だいじょうぶ、まだへーき」
 フェルマーの定理を中途半端にしか知らないくせに誇らしげに語る。「だいじょーぶ、まだへーき」
 なにもない所で勝手につまづいて転ぶ。「だいじょーぶ、まだへーき」
 麻雀で、いつも皆テンパイなのになぜか俺だけイーシャンテン。「だいじょうぶ、まだへーき」
 空飛ぶ魔法使いの少女を下から見上げた時に露呈したもの。「だいじょうぶ、まだへーき」
 
 いや、ほうきか? ――っと。ほかには、
 
 俺を織田信長と勘違いして襲ってくる今川氏真の亡霊。「だいじょうぶ、まだへーき」
 気の抜けたコーラ一気飲み三リットルを強要される。「だいじょうぶ、まだへーき」
 今日斎藤が話していた星ボクロの女の子にコクられる。「だいじょーぶ、まだへーき」
 
 ――そうだな。それから、
 
 好きな子の縦笛を舐めてしまうほんの一秒前。「だいじょーぶ、まだへーき」
 隣の女子更衣室をのぞき見るかはまだわからないけど秘密の穴を作る。「だいじょーぶ、まだへーき」
 小早川に衆人環視のもとで罵詈雑言を浴びされる。「だいじょうぶ、まだへーき」

 
 ふー。もちろん最後の三つは軽いジョークだぜ? いや全部ジョークだ。
 特に最後の三つは隣の部屋が女子更衣室だから余計な煩悩が入り込んでくるということにしとくか? だが、健全な男子高生たるもの煩悩に優る思考なし、だね。
 どうやらこんなアホな事を考えていると少しは気が楽になってきたようだった。
 だからこそ物理法則を無視した奇怪な現象だって「だいじょーぶ、まだへーき」。
 ――ってなわけねぇよな。
 だいたいユカリの様子がおかしい時はいつも何かが――ん?
 そういえば小早川が夢の話をした時には新原が仰天の発言をして、俺に初めて弁当を施した時には新原がテレポーテーションで消えたという噂を聞いて、そして第二次ユカリ天使が舞い降りた時は、新原二度目の発言とあの奇怪な現象。なんかかぶっている気がするのは気のせいだろうか。
 しかしだ。何も分からん。もう俺の中での今年の流行語大賞は「なるせ……、あなたはあたしがまもるから」か、「だいじょうぶ、まだへーき」の二作品で決定だということぐらいしか分からん。


 ――コンコン。


 すると突然、ドアをノックする音が聞こえてきた。
 心の中では百八回ぐらいはノックされたのではないかというぐらい驚いてしまう。
 今度は耳の生えたキツネ的萌えキャラでもひょっこりでてくんのか? 百八匹コンちゃんっていうのはどうだ?

 と、そんなことを考えてつつも「はい、開いていますよー」と声を絞り出す。


 ――ガチャ。


 ドアがゆっくり開け放たれる。

「…………」

 驚愕だった。
 俺はその入ってきた人を見た瞬間、二、三秒ほど思考が停止してしまったのだ。
 なにせ健全な女子高生たるもの頭の上にキツネ耳なんて付けはしないだろう。どこをどうみても、カチューシャには見えない飾り物(飾り物とすら呼べる代物でもないのかもしれない)を付けている女の子が入ってきたのだから。

「は〜いっ」

 しかも目の前に立っていたのはそういうまがいものが全く似合わない感じのお姉さん。あのバランス良く整えられたロングレイヤーの髪型は、大人の色香を漂わせた美人という感じで、曲線が滑らかな卵顔をしている。ランダム制御で授けられたホクロも、十分な大人の魅力を引き出すためには欠かせない。左の口角の下で存在感を示しているホクロを、言う。マリリンモンローの影響か。でも、にこっと笑った瞬間には子供らしい八重歯やえばが覗かせていたけどさ。勾玉まがたまみたいな。

「なー成瀬っちこんにちは、こんにっちは〜」

 と、快活な挨拶をする女の子。
 俺は学年の目印となる桜と竹の校章の色が違うこと(一年は赤、二年は緑、三年は黄色)に気づき先輩だと悟った。
 しかし名前はなぜだ? 
 どうして俺の名前を知っている。少し考え、出てきた結論は……比嘉かっ! 比嘉のやつがこの先輩に余計なことを垂らしこんだのか? 俺が獣耳(特にキツネ! ここイエローの蛍光ペンでマーキングするぐらい重要!)萌えでショートカットな女の子が好きだってことをあいつに話したのか? 
 ただ答えは考えるまでもなくすぐに出た。あーそういえば話したな、と。
 だけど今はそんな気分じゃーないのになんてこったのパンナコッタである。
 それにここは突っ込めばいいのか? 称賛すればいいのか?

 とりあえず「あっ、あのですね――」と。

 しかし、目の前の獣耳先輩は俺がしゃべりかけたのに人指し指を人の口元にまで持っていて「しー」のポーズをする。

「成瀬っちだよねっ。わたしは比嘉っちの知り合いで君の噂を聞いたのねっ。よろしくにゃー。ふ〜む、ホントにいいのかしらねっ」

 あのお姉さんらしさ全てを台無しにするようなしゃべり口調に唖然としてしまう。が、なんだか先ほどまでのマイナス気分はふわふわと抜けていくようだ。
 とりあえずはだな。あの耳はネコだったのねっ。それにショートカットはしなかったのねっ。すると、名前すら名乗らない獣耳先輩はこっちの視線に気がついたように自分の頭の上に乗っているネコ耳を指さした。

「ねぇねぇーなー成瀬っちーこれねっ、みてーみてー」

「な、なんですか、これは?」

「みてわからないのー成瀬っちは」

「ネコ耳ですか」

「はっずれー。動物の耳でしたぁ〜」

 俺は心の中で軽く毒づく。それは一緒だろうと。
 しかしそんなことは意にかえさずに、

「ほらぁ〜、ファーストインパクトって大事でしょ? だから成瀬っちがこういうのを好きだって比嘉っちが言っていたからがんばってみましたぁ〜のねっ」と言うのだ。

 そして獣耳の先輩はくるんと振り返り、その後ろ姿にはご丁寧にふさふさもふもふの尻尾までくくり付けてあった。
 比嘉のやつ……。言っとくならショートカットの方をしっかり注文しとけ! というのはピザの斜塔が真っすぐな塔だと真顔でいうぐらいのトンデモな冗談だけどな。だがな、この人は問題がありすぎじゃないか? それにそんなにもファーストインパクトってーのが大事ならば、こっちだってあれを発動させて即追い返してやるとも。ん? 追い返そうとしていいのか?

「ふっ、獣耳の先輩さん。大事なのはな、ファーストインパクトじゃあーねぇぜ」
 
 おいっ、何してんだよ。俺はこの人を追い返していいのだろうかと悩み考えているうちに、言葉を発してしまい体が勝手に斜め四十五度の姿勢で右手の甲を右目に添えてしまっていた。
 ならば、もうこう思うしかない。
 ここまできたらあれだ。小説や台本なんかでよく見かけるが実生活で絶対に使うことがないあのセリフ。「えーい、ままよー」ってやつ。

「あのな、ファーストインパクトよりも大事なものがあるんだよ、先輩さん。その時の、たった一瞬の出会いは、ありのままの飾らない笑顔を見せてくれた方が人生の根底を変えてしまう出会いに発展するらしいんだ。だからそのことを念頭に置いておくほうが重要だぜ。そんなことを考えるよりもな」

 あーあ、やってしまった。これぞまさに覆水盆に返らず。出した言葉は引っ込められない。ったく、初対面の人になんのこっちゃだ。言っている自分自身でも訳のわからんオッペケぺー節。
 
「……」

 そして対面の御方はというと、あまりの憤怒からか瞳孔どうこうが過分に開き、水っ気を多く含んだ視線を投げかけてきていた気がした。
 さあ、こんな頭のいかれた俺の事なんか気にしないで今すぐブン殴るか軽蔑の視線でも向けてくれ。だが、この荒波を通り抜けたら貴様を文芸部の一員として迎えてやってもいいぞ、なんて支離滅裂で意味不明な言葉を口走りそうになりながらも相手の様子をもう一度盗み見ると、予想だにしないこととなっていたのだ。

「かかかか、かっこいい――――っ!! 成瀬っち〜!!」
 
 こんな嬌声とともにドアの前でへなへなと、はたから見れば青菜に塩と化していた獣耳先輩。腰から砕け落ちるようにして座り込み見事なまでにドアのストッパーとなっちまった。
 その姿は、俺がまるで世界を変えてしまうような偉大なるノーベル真理学賞ものの言葉をのたまい、それを拝聴した信者が感極まったあまりに崩れ落ちてしまったようだった。
 まさか俺より先輩の女の子がこんな適当な言葉に揺り動かされてしまうとは。育った環境の違いか、井の中の蛙世界で箱庭教育でも受けていたのだろうか。

「はぁー」

 見ると目にハートマークが浮かんでいるぐらいまでにきらきらとさせてきて、シスターポーズまでして祈りをささげているみたいな様子。
 ホントマジかよ、それにしてもこのお姉さん、なんという逆効果だったんだ。おもいっきり失望させちまおうと目論んだのにこの食いつき。言っとくけど俺が超能力を使ってそう思いこませたわけじゃーない。
 とりあえずはこんな所で漬物石になっても困るからどうにかしなくてはと、結論に至り手を引っ張ってみながらも弁解をしてみる。

「えっと、あー、おーい先輩。あれは、ですね、ほんのくだらないメキシカンとロシアンとアメリカンと、そうですねーバチカンジョークですよ」

「へにゃ〜」

 あーあ、ダメだ。
 そしてこれはいかんと曲りなりにも思う俺。どうやら彼女を文芸室の部屋の中に引きずりこむしか選択の余地はないみたいだった。こんなふうにドアのまん前で――そう、ネクタイを頭に巻いたよっぱらいの末路みたいな格好をされちまった仕方があるまい。
 ということで、机の近くまで俺は「ふぐぅ〜」なんて奇妙な擬音を出しながらも一生懸命に引っ張り込んできたのだが、「うにゃ〜」と言う気味の悪い声が聞こえてきたのに驚かされてしまう。ちらりと視線を下に落とすと、高級な海鮮寿司を心ゆくまで堪能したような笑顔を見せて復活していやがった。

「なーっ、成瀬っち! 今からすぐ後ろ向いてねっ」

 そしていきなりの大声に座り込んでまでして後ろを向いてしまったのだ。
 ついでに「へいっ?!」なんていう斎藤“ゆうじ”ばりの応答もしてしまった。

「な〜なるせっちぃ〜」

「なななな、なんすかぁー! 急にー!」

 なんと、獣耳の先輩(そういえばいまだに名前を聞いてない)は甘ったるい声とともにしな垂れてきたのだ。先ほど男としては当然の如く――それでいてさりげなく――あの制服に隠れるあの部分の大きさは普通ぐらいと認識していたのだが、二つの『あれ』と『あれ』がふにゃんふにゃんと押しつけられるとそう思えなくもなり、こうなんかあんな超常現象的出来事がどうでも良く思えてくる人類の性に関する偉大さを感じてしまっていた。
 だがその時――?
 ポタリと水滴が落下した音を聞いたような気がしたのだった。

「――あっ…………」

 一人小声でつぶやきこう思う。
 なんということだよ。間違ってもチョコレートの過剰摂取なんかしていないぜ。ふざけんなよ。
 この見るも鮮やかなレッドポターリ。色の悲劇。紅の分身術。朱の慟哭どうこく。俺の体内を颯爽と流れていたはずのヘモグロビン及び白血球ないし赤血球その他もろもろが毛細血管を打ち破って、

「なー成瀬っち、こんにちは、こんにっちは〜だね、もーニ年ぶりぐらいの邂逅かいこうかにゃー。ボクとはなかなかあってくれないもんね、成瀬っち。毎日毎日カレンダーを捲って、なー成瀬っちが会いにきてくれるのを待っていたんだよ。ボク、とっても寂しかったんだよ。えっなぜおまえはいつも真っ赤なんだって? いやだなぁ〜ボクは恥ずかしがりやだからっていつもいってるのに。だから鼻から流れる赤いものは気にしないでね、成瀬っち」

 なんて鼻から出てきたあれをボクっ子に擬人化……って痛すぎるぜ。いろんな意味で。
 要するにな、これは鼻血! 医学的には鼻出血なんだ!

「いいっ? 今から背中に文字をかきたいのねっ」

「はいっ、おおかまいなくぅ〜!」

 この場面でさすがに鼻血はありえねぇという思想が頭の中を支配してしまい、ささっと出た声はうわずちまった。
 しかしそんな様子に気づくことなく、たぶん小指だと推測されるかぼそい指で一心不乱に文字を書き連ねる先輩。もちろん俺はその隙に内ポケットから携帯用ティッシュを取り出す。とにかく、なんとかこの鼻血を誤魔化さなくてはいけない。

 するとしばらくして、「な〜成瀬っち〜なんて書いたか分かる〜?」と言う声が聞こえてきた。

 だが当り前のごとく「わかりません」だ。

 意識がまったくそっちにいかなかった。鼻血で。しかもまだ止まらん。

「え〜」

「すいません」

「成瀬っち〜」

「ごめんなさい」

「なーなるせっちぃ〜」

「アイムソーリ、です」


 とにかく素直に謝るしかない。 

「もぅ〜じゃあしょうがないなぁ〜、こっちむいてっ」

「え、あ……」

 まずい。まだ血が止まっていないのに。

「ほらっ、わたしがわるかったからっ。あたしたち、まだ出会ったばかりだからねっ」

 そう聞いた俺が、お穣さんはなんて書いたんだろうかと邪推をしているうちに、一拍置いたようにして流暢な外国語が耳に響いた。

「――プティ・タ・プティ――」

 そして「これフランス語で少しずつって意味だからねっ、成瀬っち」
 と、獣耳がちょこんとぶつかってそのふわふわ具合を制服ごしに感じつつも、彼女が耳元でこちょこちょと言った瞬間に、


 ――コンコンコンコンコン。


 このタイミングで二匹目のキツネがけたたましく鳴き始めたのだった。




『ユカリちゃんのゆううつ☆』

 この物語は本編とは一切関係がございません。作者の気が向くままに始めたヒロイン応援プランです。
 そしてここでは、あのユカリちゃん(若干幼め)が自宅の鏡の精霊ネコミーととりとめのない会話をしているだけです。
 ジャンル? 不条理なパロディーコメディーです……。どこかでみたことあるようなラノベのタイトルでありましても気にしないで頂ければ幸いです。
 

 第二話 『今日だけ『こ』の付く自由文』

「べ、べつにあとがきなんか読んでくれなくったっていいんだからねっ! それに感想なんか送ってくれなくていいんだからねっ!」

(ユカリちゃん! やめとけよ、そんなこと言ったら誰も読まなくなるだろ!)

「でもね……ツベルクリーナ」

(なっ、名前が変わってる!!! なんかわしの脳裏には注射器が迫ってくるが……)

「どうしたんだい、ユカリちゃん」

「それでも読んでくれたら……」

(あれっ?! 顔を赤く染めてぷいっとそっぽを向き始めたぞ……)

「ユ、ユカリのホウレンソウ入りタマゴ焼き……作ってあげてもいいけど」

(あれは、紫だろがっー!!!)←すいません二度目! もうこのネタは使いません(-_-;)

「ユカリちゃん。それよりも君が元気でいたほうがいいんだよ〜」

「そうなの? ツべルクリーナ」

「そうだよ」

「でも……あたし、ゆううつなの」

「それはまた……どうしたんだい」

「あのねっ、あたしは作者がいまさらになってあたしのプロフィールに八月一日のしし座生まれと加筆修正したことにはほん――――――――の少しも憂鬱さは感じないし、今日から『○』の付く自由業のパロディをここで組み合わせることを思いつかなったのも別に問題ないの。でもね……」

「でも?」

「あたしの知らないところで、あのキツネ娘がハル君を誘惑しているのが憂鬱なの」

(しょーがねぇーよ。主人公補正、主人公補正。あーめんどくせぇ〜)

「まあ、いいじゃないか。こっちではうまくいったんだろ? ユカリちゃん。あのおまじない」

「それがね、こっちでも……」

「えっ?」

「ふえ〜ん。ツべルクリーナ」

「へっ?!」

「あたしねっ、サキちゃんに――あっ新原の沙希ちゃんだよ。あのアヤナミ系っぽい子。で、その子に香辛料セットもらったの。彼女のお勧めはトウガラシだったけど、あたしはオリジナルでババロア、ナツメグ、ウコン、ブラックペッパー、みょうが、サンショウウオをブレンドしたのを顔に塗りたくろうかと思ったけど止めて。オーソドックスにコショウをふりかけたの」

「それで」

「バカ野郎って怒られた」

(おかしいなぁ……)
 
「で、聞いてよ! ツベルクリーナ! ハル君がいうにはね、『なんでユカリは間接的なダメージしか俺に与えてくれないんだ。もっとムチでピシッ、とか、パシッ、とか、わたしのお靴をなめなさいとか言ってくれないんだ』って言われちゃったの」

「で、どうしたんだ」

「何もできなかった……」

「そうか」

「だからゆううつなの、やり方を教えてほしいのー。ネコミー」

「しょうがないな、わしの世界においての先祖代々伝わる『ホ』の字の肉体的まじないを教えてしんぜよう」

「わーい。これできっと大丈夫だよね……、大丈夫だよねあたし……」

(なっ、なんかヤンデレっぽくなっちまった……)

「まかせとけ。それはな、テイッシュペーパーを針状に細かくして鼻の穴にこちょこちょとねこじゃらしの感覚でくすぐるんだよ」

「ホ、ホントー、ありがとーネコミー! あっ、あたしがんばってみるね!」

「ああ、がんばれ。だがなぁーひとつ聞きたいんだが……」

「なぁーに?」

「弁当はどうした?」

「うぐぅ……」

(ユカリちゃん、本気になって鏡を睨むな)

「奴は食わなかったのだな」

「ち、ちがうのー」

「なに?」

「きききょうはねっ、コネコにあげるきぶん、そう、あたし、そんな気分だったのっ!」

「で、どうだったんだ」

「コネコちゃん、のたうちまわって喜んでいたよ」

(あーあ……)

「次回からメロンパンでも持っていったらどうだ?」

「えー……」

「いいから!」

「はーい」

(なあ、作者よ。これ続けていいのか?とわしは問いたいのだが。そろそろ三角関係でもつくって話をこじれさせればどうだ?)
 

 というわけで、次回の『ユカリちゃんのゆううつ☆』は、
 『灼眼のユカリ』です。では!(ふう、本編、おまけ共に長かった。文章の精度が心配です……)











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