8話 勘違い
~Shine‘s story~
ここは、道といって良いのか、細かい石がただ太い線に敷き詰められているだけの砂利だ。
ここをかれこれ俺達は30分歩き続けている。景色もまったく変わらず、変わっているのはたまに生えている草の位置くらいだろうか。ルイの話では、ここをずっと道沿いに行けば、ファリスに着くらしい。
この大陸には、四つの国があって、名前は……ルイが面倒って言って教えてくれなかった。
で、ファリスに居る‘音の守護者‘こと、ミクル……だっけな。そいつは、super6始まって以来(俺達は6代目)唯一の女性守護者らしい。見た目は良いけど性格は荒っぽいとか。(ルイ談)
「で、ファリスっていうのは、どんな所なんだ?」
俺はルイに問う。ルイはためらうことなく教えてくれた。
「ファリスっていうのは、さっきも言った通り、この道を行った所にあるんだ。その途中で、国が変わるから、関所を通って行かないといけないけど、非常時……例えば、どこかとどこかが戦争してるとか、そういう状態じゃない限りは、証明書なしで通してくれると思う。あ、証明書っていうのは、パスポート的なものね。で、今から行く国は、ファリスだよ。」
「ん? 今から行く町がファリスで、今から行く国がファリス?」
不思議なことを言われたので、つい聞いてしまう。
「ああ、そう。ファリスには、街とかないんだ。全部ファリス。」
ああ、そういうことか。市とか街とかないって事か。納得している俺の視界に、大きな城壁らしきものが入ってくる。その城壁には、びっしりと何か書かれている。
「見えたね。アレが関所だよ。ん? 気になってるのはあの壁かい? アレは、特殊結界魔法が張られていて、……つまり、魔法専用のバリアみたいなものさ。」
顔に?マークが出ていたらしい。
やがて、関所に着いた。そこには、筋肉質の銀の鎧を着た兵士が2人立っていて、城壁に1つだけあるドアを守っていた。
その兵士に、なにやら、ルイが話をしている。
ルイが戻ってきた。ルイは俺に笑顔で言う。
「通っていいってさ。さ、行こう。」
俺は兵士にドアを開けてもらって通る。そこで兵士とはサヨナラをした。
続いてルイも通ってくる。ルイがドアを閉めた瞬間に前から見たところ14歳くらいの女の子が走ってくる。そして、手に音符を作り出し、……叩いた。音符でルイが叩かれた。
「痛ったい! 何すんのさ!」
ルイは思いっきり叩かれた背中をさすりながら少女に向かって叫ぶ。
俺はこのとき理解した。この子の周りの空気は限りなく清んでいるような気がした。いや、そう見えざるを得なかった。その顔は、まだ14歳の子供に相応しい幼さを残しているものの、気品があり、庭の彫像のように美しく整っていた。
この子が‘音の守護者‘ミクルなのだと。
俺はしばらくミクルの顔を見つめていた。すると俺に話しかけてきた。
「そう見つめられると変な気がしてたまらないんだけど。」
俺は我に帰る。危なかった。もう少しで一目惚れという男にとっては天国であり、地獄である状態に陥る所だった。
ミクルはまた俺に話しかけてくる。
「君はシャイン君でしょ?」
俺は驚いた。自分のことは一切語っていない。なのに俺のことを知っている。
「驚かせた? でも、よく考えてみてよ。私は音の守護者よ。」
理解する。つまり、小さな音も、大きな音も、自由自在に聞けるというわけか。
さっきまで黙り込んでいたルイがやっと口を開いた。
「ったく……。いきなりこれはないよ……。」
「どうせ何かしに来たんでしょ? 貴方がここに来るなんて、残りの守護者が全員見つかった時ぐらいでしょ?」
ミクルは強い口調でありえないという風に言った。
だが、ルイはそれを否定する。
「全員見つかった。光と風は別の世界に居たらしい。」
ミクルは固まってしまった。それから首を小さく振って、大きくため息をつく。
「じゃあ、いよいよ……?」
ミクルは真剣な表情で言う。3人を囲む空気は一気に重たくなる。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。