居眠りには、ご用心?
青春スクールラブ☆
「アイツ…!!」
俺はガバッ!と、起き上がり口もとに手をそえる。心臓が大きな音をたてうるさい。きっと今の俺の顔は、誰がどう見ても真っ赤だろう。
居眠りには、ご用心?
穏やかな陽射しの中、私達は屋上で昼食をとっていた。と言っても、コーヒー牛乳とパンだけ食べ、隣で彼は寝息を立てている。
起こすのも悪いと思うし、それにいつもの事なので、私はそれをどうかしようとは思わなかった。
(間抜け面だなぁ…。)
幸せそうに眠る彼。一体どんな夢を見ているのやら。
付き合ってなんか、ない。『只の幼馴染み』、それが私達の言い分。そして、紛れもない真実。――彼にとっては。
(片想いって、こんな切なかったんだ。)
側にいるのに、触れれない。彼氏?と聞かれても、否定だけ。恋愛対象にも入らない。なんて不利な位置。
そんな私の心情なんて知らず、呑気に眠るコイツ。ああ、正直うんざりする。まるで一方通行。
(なんか、ムカつく。)
悔しさがこみあげる。思いきり友達感覚か?女となんて、きっと見られてない。
ため息がこぼれる。そういえば、ため息は幸せが逃げる、とか彼は言ってた。 …逃げるんじゃなくて、もう逃げたからため息出るんじゃない。しかも、アンタのせいで。
「うう…ん……」
声をもらす彼。ちょっとドキッとしたけど、まだ眠ってるよう。無防備な寝顔は、信頼の証?私だって、好きな奴が目の前で寝てたら、理性利かないんだから。
ふと、いいことを思いついた。…一般的には良からぬ事なんだけど。
(このくらいの悪戯、許してよね。)
彼の柔らかい頬に両手をそえる。『むにっ』と、軽くつまんでみた。…起きない。今度はもっと、強めに。少し顔をしかめたけど、やっぱり起きない。熟睡状態だ。
(これなら、大丈夫。)
念じる様に、自分にいいかけた。
彼の漆黒の髪を一房掴み、キスを落とす。それから頬に、額に、瞼に…。
(…止まらないかも。)
軽くやるだけのつもりが、やみつきになってしまった。このままでは、気が済むまで触ってしまいそう。それはさすがにまずい。
(あと、少しだけ。)
彼の首筋に顔をうずめる。ペロリと舐め、軽く吸い付く。
「ふふ、痕はさすがに付けないよ。」
そう言って、彼の唇にちゅっ、と優しく口づけた。
「さて…と、そろそろ教室戻らなきゃ。」
私は立ち上がり、踵を返す。最後にくるりと振り向いて
「授業遅れるなよ!!」
眠ってる彼に叫んだ。
その後彼が真っ赤になって慌てるのも、実は途中から起きていたというのも、私は知らない。
屋上から見える空は快晴日和
どうだったでしょうか?甘酸っぱいを目指してみました!なんか気に入ったので、続編みたいな形で、またこのふたりの話作りたいです。